スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhone 11のカメラを5段階もアップグレード!!!

5つのレンズを追加するUlanzi製ケースで遊ぶ♪

 本連載前回分「iPhone 11 Pro Maxが顕微鏡になったゼ!!!」で、Ulanziの顕微鏡機能搭載型iPhoneケースを紹介したが、今回もまたUlanziのiPhoneケース。モノは「ULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Max」である。

Ulanziの「ULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Max」。iPhoneのレンズに4つのコンバージョンレンズとCPLフィルターを追加できるケースだ。Amazonにて4188円で購入

 俺の場合、iPhone 11 Pro Maxをメイン端末として常用しているが、とりわけカメラ機能について非常に実用的だと感じている。画質も良いし色調なども良好。ウェブメディア用の写真を撮っても十分役立つレベルだと思う。

 なので、「スゲくイケてるiPhone 11 Pro Maxのカメラ機能をもっと役立てたいゼ!!!」とよく思う。iPhone 11 Pro Maxのカメラ機能のツカエル度を高めたいと度々考えているのだ。

 そんなところで見つけたのが上記のケース。まずCPL(円偏光)フィルターがあること。さらに180°魚眼レンズと2倍望遠レンズがあり、10倍マクロレンズと20倍マクロレンズまである。iPhone 11 Pro Maxのレンズは3種あるが、これに加えて5種のレンズバリエーションが増える計算。3レンズ→8レンズへとグレードアップして4188円なら超お得じゃないスか!!! という、かなり頭悪そうな論理で衝動買いしたのであった。

 ちなみに、このレンズ付きケース、バリエーションとしてはiPhone 11 Pro Max用以外に、iPhone 11 Pro用やiPhone 11用も存在する。原稿執筆時にチェックしてみたら、日本のAmazonではiPhone 11 Pro Max用とiPhone 11用が売られていて、どちらも4188円だった。

3つのケースは、左側からiPhone 11 Pro Max用、iPhone 11用、iPhone 11 Pro用。iPhone 11シリーズ全機種に対応するラインナップが揃っている

 てなわけで以降、ULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Maxについてレビューをば。特にiPhone 11 Pro Maxの超広角レンズで使えるCPLフィルターに期待!!!

どんなケースなのか?

 ULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Maxは、iPhone 11 Pro Maxに4つのレンズとCPLフィルターを追加できるというケース。主な特徴を写真と説明文で見ていこう。

iPhoneケースとしては薄く脱着しやすい樹脂製ケースで、レンズ部とその周辺は金属で作られている。各ボタンに問題なくアクセスでき、iPhone画面側をこちらに向けた状態では左下にストラップホールがある
レンズ部をずらして使うが、iPhone 11 Pro Maxとケースのレンズ部の関係を見ておこう。CPLフィルターはiPhoneの超広角レンズにのみ使える。iPhoneの広角レンズには10倍マクロレンズと180°魚眼レンズが使えて、iPhoneの望遠レンズには20倍マクロレンズと2倍望遠レンズが使える
レンズ部にはマグネットで閉じる金属製レンズカバーがある。CPLフィルターは超広角レンズまでずらして使用(カチッと定位置で止まる)。もちろんiPhone側では超広角レンズを選んでおく。偏光度合いの調節はCPLフィルター部の黒い外枠を指先で回す。この状態でiPhoneの広角レンズや望遠レンズも使用可能。なお、レンズカバーは開いた状態に固定されないので、場合によっては手でレンズカバー押さえつつ撮影する必要がある。
10倍マクロと20倍マクロを使う状態。倍率はiPhone側のレンズ切り替え(倍率切り替えの1xと2x)で行う。標準カメラアプリで使用する場合、20倍マクロ撮影はデジタルズーム撮影になると思われるので、画質を追求する場合は使用レンズを強制的に切り替えられるアプリを使うといいだろう
ちなみにこのケースのベース部分は、本連載前回分で紹介した顕微鏡ケースと同じもの。なので、レンズ部を顕微鏡部と交換することができる。

 機構としてはこんな感じ。顕微鏡ケースのUlanzi U-Lens Microscope For iPhone 11 Pro Maxと、このULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Maxの、ベース部分が共通品なのでレンズと顕微鏡を手間なく交換可能。俺的にはこれも“購入を後押しした理由のひとつ”となった。

大期待のCPLフィルターだったが……けっこう失望

 まずはCPLフィルターから。iPhone 11 Pro Maxの超広角レンズにのみに使える円偏光フィルターですな。

 一般的なCPLフィルターの効果は、被写体の不要な反射光を抑え、より自然な色合いの写真を撮れること。例えば、水面の反射が抑えられて水や水中の色や様子がよりクリアに撮れたり、木々も同様に色鮮やかさが増したりする。あるいは空中の光の乱反射も抑えるので、空がより深い色になったり、写真全体のコントラスト感が上がったりも。

 iPhone 11 Pro Maxの超広角レンズは描写も発色も画角的ダイナミックさも良好なので、これにCPLフィルターが加わったら……ウヒヒ♪ 鬼に金棒で、より美しい写真が得られる!!! 実際に撮影してみたので、以下に写真と説明文で見ていこう。

左がCPLフィルター不使用時、右がCPLフィルターの効きを最大に調節した様子。画像はリサイズのみの処理だが……正直なところCPLフィルターの効きが弱い。また、CPLフィルター部の状態(若干ガタがある)によっては、画面端にフィルターリングの影(いわゆるケラレ)も生じる
角度を変えて再トライ。曇天ということもあって微妙にネムい写真ではあるのだが、それにしてもCPLフィルターの効き目が弱い。ケラレもやっぱり気になるし

 効き目の弱いCPLフィルターで、さらにフィルター周囲のリングによる調節も行いにくい。調節時、どうしても画面内に指が入ってしまう。ので、その都度、オートホワイトバランスによる色味が変わったり露出が変わったり。反射が変化する様子がよく見えず、CPLフィルターの調節でけっこう疲れてしまう。AF/AEロックをしてなら多少スムーズになるが……。

 それから、ガタが多いからか、場合によっては像が二重になってしまうこともある。像が二重になりつつケラレも生じたり。↓こんな感じ。

左がCPLフィルター不使用時、中央がCPLフィルターの効きを最大に調節した様子だが、山の稜線を見ると像が二重になっている。CPLフィルターのガタが原因と思われる。右は像が二重になり、さらにケラレも生じている

 この“像が二重になる現象”は再現性がイマイチない。CPLフィルターのガタ状態によっては問題がなかったりもする。

 でもまあ、像が二重になる現象を抑えようとか、CPLフィルターとしての効き目の弱さをなんとかカバーして撮ろうとか、そういう気にはならなかった。正直なところ「こんなCPLフィルターなら使わない方がマシ」という気分。期待しただけに、かなり失望してガッカリで「あ〜あ」って気分の俺なのであった。

遊べる180°魚眼、わりとシャープな2倍望遠

 続いて、iPhone 11 Pro Maxの広角レンズで使える180°魚眼レンズと、望遠レンズで使える2倍望遠レンズ。これも写真と説明文で見ていこう。

左がiPhone 11 Pro Maxの広角レンズ、右が望遠レンズによる撮影
カメラの向きを変えずにケースのレンズを使用して撮影。左が180°魚眼レンズ、右が2倍望遠レンズ。180°魚眼での撮影は、ケースのレンズカバーが写り込んでしまった。2倍望遠レンズはけっこうシャープに写る感じ
左がiPhone 11 Pro Maxの広角レンズ、右が望遠レンズによる撮影
カメラの向きを変えずにケースのレンズを使用して撮影。左が180°魚眼レンズ、右が2倍望遠レンズ。こちらも180°魚眼撮影時にレンズカバーがちょっと写り込んだ

 180°魚眼レンズについては、正直なところ、俺がこれまで使ったスマートフォン用の魚眼レンズとしては、割とサイテーな部類。収差が凄いし、解像感も良くない。まあ、極小の魚眼レンズだからしょうがないですな。

 しかし、ここまで画質が悪いと逆にそれが持ち味と感じたりもする。マイナーなオールドレンズを使って、2020年の風景を50年くらい昔の画質で写しているような。見方を変えれば、こういうふうに写せるレンズってなかなかナイので、この180°魚眼レンズはアリかもしれない。案外遊べる180°魚眼レンズだと思ったりした。

 2倍望遠レンズの方は、けっこうシャープに写るし、解像感もフツーにある。また「もうチョイ寄りたい!」を実現してくれるしで、なかなかツカエル感がある。まずまずイイと思う。

このマクロレンズはなかなかイイ!!! けど撮影がちょいムズ

 最後にマクロレンズを。10倍マクロレンズと20倍マクロレンズが使用可能だが、これもまた写真と説明文で見ていこう。

左がiPhone 11 Pro Maxの広角レンズ、右が望遠レンズによる撮影。キーボードのキートップを撮影したが、けっこう接写できてますな
左が10倍マクロレンズ、右が20倍マクロレンズによる撮影。キートップの質感がわかるくらいの近接撮影が可能だ
iPhone 11 Pro Maxの広角レンズ、右が望遠レンズによる撮影。文庫本の文字を撮影
左が10倍マクロレンズ、右が20倍マクロレンズによる撮影。印刷の詳細がわかり、さらには紙の質感までよくわかる程度の接写が可能だ

 10倍も20倍もどちらも十分な実用性を持ったマクロレンズといった印象。「えっここまでディテイルが撮れるの!?」と軽く驚けるくらいの接写が可能であり、レンズ性能にも問題がないように思える。

 ただし、ピントはレンズから一点の距離でしか合わない。ので、そのポイントを探るのに、ある程度の慣れが必要になると思う。

 また、“超”が付くほどの接写になるので、被写体にiPhoneの影が出がち。状況によっては、ある程度しっかりライティングする必要が出るかもしれない。

 それと、マクロレンズとしては十分実用的だが、やはり超接写となるのでカメラ(iPhone)の固定など扱いにおいて“ちょいと難しい”という印象。でもレンズ付きケースでここまでシッカリ撮れるのは満足度が高い。

 てな感じのULANZI U-Lens for iPhone 11 Pro Max。俺的にはCPLフィルターがかなり残念であり、180°魚眼レンズも若干微妙な印象となったが、望遠レンズやマクロレンズはけっこう優秀。望遠もマクロもiPhone 11 Pro Maxの少々の弱みなので、それらを補えて4188円という価格はなかなかのコストパフォーマンスだと思う。けっこう遊べるし実用性もあるレンズ付きケースなので、興味のある方はじっくりとチェックしてみてほしい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。