スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ソニーの完全ワイヤレスNCヘッドホン「WF-1000XM3」が実にイイ!

ヤバい進化を遂げた「WF-1000XM3」を1ヶ月使ってみて

 な~んか寒々していた2019年7月の梅雨時に、超絶ホットなケータイ Watchのニュース記事を読んで熱くなった筆者。ソニーの完全ワイヤレス型のノイズキャンセリング・ヘッドホン「WF-1000XM3」(公式ページ)が発売されるというニュースです。

2019年7月13日発売のソニー「WF-1000XM3」。スマートフォンなどの音源とヘッドホン(イヤホン)がワイヤレス接続なのに加え、ヘッドホン左右もワイヤレス接続である「完全ワイヤレス」ヘッドホンであり、さらに強力なNC(ノイズキャンセリング)機能も搭載しています。充電器となる専用ケースが付属し、出先でも手軽に充電可能。カラーはプラチナシルバーとブラックが用意されています。ソニーストアでの価格は2万5880円(税別)。
装着した様子。完全ワイヤレスなので、コードがまったくなく、スッキリ。

 このWF-1000XM3のニュースを読んだらシレッと「本体の左右それぞれにデータを同時転送する方式を採用」とか「アンテナを最適化することで接続性が改善」とか「動画視聴時の映像と音声のずれを大幅に低減」とか書いてあるのを見た瞬間、筆者は光の速度に近いと感じられるスピードでポチッと予約! 実はこのヘッドホンの従来機である「WF-1000X」(レビュー記事)を使っていたんですが、「この新型は従来機の問題を複数解消している!」と思ったからです。

 てなわけで、今回はソニー製の最新型・完全ワイヤレスNCヘッドホンWF-1000XM3のレビューをば。購入後1ヶ月間使ってみてのレポートをお届けします。でも、とりあえず雑感を書いてしまいますと、「従来機種からヤバいほどの進化を遂げている」です。ソニーストア税別価格2万5880円が安いと感じられるくらいに。

音が全然途切れなーい!

 ワイヤレス(Bluetooth接続)のヘッドホン類では多かれ少なかれ出る問題が、プツプツと音が途切れること。比較的に最近のBluetoothヘッドホンは安定性が高く音途切れも少ないと感ますが、それでも「完全ワイヤレス型(左右分離型)」だと音途切れがけっこうアリガチです。

 多くの完全ワイヤレス型ヘッドホンは、スマートフォンなどの音源とヘッドホンの片側が無線接続し、さらにそのヘッドホン片側がもう片側のヘッドホンと無線接続。2段階で無線接続していたり、頭部という電波には案外邪魔な存在があるから、完全ワイヤレス型のヘッドホンは音途切れの問題が出がちなんだそうです。

 筆者がそれまで使っていた、WF-1000XM3の従来機種のWF-1000Xは、上記のような理由から少なからず音途切れがありました。筆者の場合は「たまに音途切れする」という感じで「たまに音が途切れるけど、NC(ノイズキャンセリング)性能が高いから、まあいいか」という感覚で使ってきました。

約2年前、2017年10月7日に発売されたソニー「WF-1000X」。完全ワイヤレス型Bluetoothヘッドホン(イヤホン)で、このタイプとしては強力なNC性能を備えていました。ただ、使用状況によっては音途切れが目立ちがち。都市部の混雑するエリアだとさらに。現在も販売されており、実勢価格は1万4000円前後のようです。

 WF-1000Xは性能的にも機能的にも非常にいい製品なんですけどね~。使う状況によっては音途切れがアリガチなのでした。ちょい残念。

 ですが! 新型のWF-1000XM3は違った。まるで違った。全然、音途切れ問題に遭遇しておりません。連続的ではないにせよ週に3~4回の頻度で約1ヶ月間使ってきて、音途切れを1度も経験せず。新型のWF-1000XM3に採用された新方式「左右ヘッドホンそれぞれが直接スマートフォンなどの音源とBluetooth接続する」という点が音途切れ無しの理由だと思います。

 しかしまあ、前の機種と新機種でこんなに変わるものか、と。驚くゼ、と。進化度合いがヤバ過ぎてもう1個買いたくなるじゃん、と。でも現在品薄で買えないらしいし予約で買っといて良かったぁ~、みたいな。

新旧機種でこういう違いがあるそうです。筆者の場合、従来機WF-1000Xを使っていて「右のイヤホンの音途切れが少なくない」と感じていました(左のイヤホンから音が途切れることは稀でした)が、それは左右イヤホン間の無線接続が途切れていたからなんですね。なーるほど。
新型WF-1000XM3をiPhoneとBluetooth接続して使っていますが、Bluetooth設定画面などでは左右イヤホンが個別にBluetooth接続している明確な表示はなされません。ウィジェット画面ではバッテリー残量が表示されますが、ホントに個別にBluetooth接続しているの? でも専用アプリ「Headphones Connect」では、左右が個別にBluetooth接続している表示を確認できます。使用中のコーデックなんかも見られますね。

 素晴らしい。スゲく素晴らしい。ジョリーグッドでハラショーでスプレンディドです。

 左右イヤホンがそれぞれ個別に音源とBluetooth接続するようになったことで、音の遅延問題もかなり改善されました。例えば従来機WF-1000Xでトーク系の動画を観た場合、演者の声と口の動きが明らかにズレていました。1秒くらいズレたりもしましたので、もう違和感たっぷり。動画鑑賞には不向きな従来機でした。

 しかし新型WF-1000XM3では、そこまで音声が遅延しない。じっくり口元を見つつ話し声を聞くと、若干の遅延はありますが、「まあこの程度なら許せるかな」という印象です。口元がよく見えない動画などだと遅延に気づかないことも多い。ちなみに、従来機種と比べると、音声遅延は最大約1/4に抑えられているとのこと。

 もうひとつ、新型WF-1000XM3は左右イヤホンと音源が個別にBluetooth接続するということで、左右どちらか1個のイヤホンのみ使うこともできるようになりました(従来機WF-1000Xでは左側イヤホンのみ1個使用ができた)。なので、ラジオのトーク番組をモノラルで聴くとか、単に通話用ヘッドセットとして待受するとかいうときに、片側だけ耳に装着し、もう片側はケースに入れて充電する、ということもできます。

 音途切れ問題が劇的に改善され、音声遅延も少なくなり、左右個別使用も可能になった新型。なんかイキナリ、飛躍的って感じの進化ですね。グレイト。

さらに強力なNC効果と、より豊かになった音質

 WF-1000XM3はNC(ノイズキャンセリング)効果もかなりのものです。メーカー曰く「業界最高クラス(*)のノイズキャンセリング性能」(*完全ワイヤレス型ノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2019年6月1日時点、ソニー調べ、電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る)とのことで、なんか但し書きタップリでモヤモヤしますが、さておき、技術的には新たに「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1e」と「デュアルノイズセンサーテクノロジー」が採用されたそうです。

「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1e」は、ノイズキャンセリングのための処理を少ない消費電力で行います。また、DAC(音声のデジタル/アナログ変換器)や高性能アンプも内蔵されています。
「デュアルノイズセンサーテクノロジー」では、ノイズキャンセリング精度を高めるため2つのマイクを内蔵。外側のフィードフォワードマイクで主な騒音を拾い、音導管部のフィードバックマイクを使ってさらに詳細なノイズを拾って、ノイズ全体を正確にキャッチ。これをもとに非常に正確な逆位相キャンセル波(ノイズを打ち消す音波)を生成しているそうです。

 NCマニアな人でなければ、WF-1000XM3のNC効果に「おーっ!」と驚けると思います。例えば、エアコンが静かに動作している室内でWF-1000XM3のNCをオンにすると、エアコンの音がフッと消えて、自分の心臓の鼓動が聞こえて来たりします。筆者の印象では「完全ワイヤレス型でここまでNC効果あれば最強って言っちゃってイイんじゃね?」って感じ。

 そんなふうに、従来機種をさらに上回ってガッツリ効くWF-1000XM3のNC効果。とは言っても人により印象が異なると思いますので、ぜひ店頭実機などで試してみてください。

 それから従来機WF-1000Xにもあった「アンビエントサウンドモード(外音取り込みモード)」ですが、新型WF-1000XM3にもあります。WF-1000XやWF-1000XM3はカナル型イヤホンで、耳栓のようなスタイルのイヤホン。なので、場合によっては「周囲の音が聞こえにくい」という不都合もあります。その不都合を解消するのがアンビエントサウンドモードで、「敢えて周囲の音を取り込んでイヤホン内に流す」ことができます。

 で、新型WF-1000XM3のアンビエントサウンドモードは、従来機種のそれより一歩進化。具体的には、周囲の音を取り込む度合いを1~20の段階で調整でき、風ノイズ低減モードも加わり、自分好みのアンビエントサウンドモードになるようにより細かくカスタマイズできるようになりました。例えば人の話し声に絞って取り込んだり、クルマが行き来する音まで取り込んだり、状況に応じて周囲の音の取り込み度合いを調節して使い分けらるというわけです。

スマートフォンアプリ「Headphones Connect」を使い、WF-1000XM3のアンビエントサウンドモードを調整している様子。従来機は2つの外音取り込み設定から選ぶ程度でしたので、それよりもずっと細かく調節・設定できるようになりました。もちろん「アダプティブサウンドコントロール」機能も健在。アダプティブサウンドコントロールは、ペアリング中のスマートフォンのセンサーからユーザーの状態(止まっている・歩いているなど)を検知し、NCや外音取り込みなどの効果を自動的に切り換える機能です。

 NC関連の機能性は、より充実したという印象。ですが、前述のBluetoothの接続安定性に加えてNCもアンビエントサウンドモードもブラッシュアップされているので、従来機WF-1000Xから明らかに進化した新型WF-1000XM3という感じ。わりと別モノ感があります。

 それから音質。従来機WF-1000Xからは音質が一変したというような変化はありませんが、新型WF-1000XM3は低音がより豊かになった? みたいな印象があります。従来機WF-1000Xと聴き比べると、新型WF-1000XM3は全体的によりバランスが良いようにも思います。音質についても人により印象が異なると思いますので、ぜひご試聴を!

 細かい点ですが、「Headphones Connect」アプリを使っての音質調整もできます。イコライザーですね。

「Headphones Connect」でWF-1000XM3のイコライザー設定を行っている様子。プリセット×8種とユーザーカスタマイズ可能な3種の合計11種類のイコライザー設定から選べます。

 なお、WF-1000XM3が対応するコーデックはSBCとAAC。aptX非対応なのでAndroid派には残念感がありますね。ハイレゾには非対応でもあり……まあ完全ワイヤレスのBluetoothヘッドホンだから現時点ではしょうがない? でも一応、音質面では「DSEE HX」を搭載し、CDやMP3などの圧縮音源の高音域をアップスケーリングすることにより、ハイレゾ相当の高音質を楽しめるとのことです。

よく保つ電池、使いやすいケース

 新型WF-1000XM3は、電池もけっこう保つようになりました。電池持続時間は、連続音声再生時間として最大6時間(NCオン)/最大8時間(NCオフ)です。従来機WF-1000Xの場合はNCオンオフに関わらず連続音声再生時間が最大3時間。従来機から倍以上のバッテリーが保つようになりました。

 従来機も新型も専用ケースが充電器&モバイルバッテリーになります。専用ケースにUSBケーブルをつなげば、専用ケース内の電池が充電されますし、そのときにヘッドホンを格納しておけばヘッドホンも充電されます。ケースが十分充電されていれば、ヘッドホンをケースに入れただけで充電されます。なので、外出時にはケースがヘッドホン充電用モバイルバッテリーになるというわけです。

 ちなみに、新型WF-1000XM3のケースを満充電にしておけば、WF-1000XM3を3回まで満充電にできます(従来機WF-1000Xのケースは2回までだった)。新型WF-1000XM3の場合、ヘッドホンもケースも満充電にしておけば、トータルで24時間分使えることになります。従来機WF-1000Xの場合は本体+ケースともに満充電にしてもトータル9時間分だったので、新型WF-1000XM3の実質バッテリー持続時間は大幅UPと考えていいと思います。

 あと、ケース自体も使いやすく進化しています。ヘッドホンをセットすると、ヘッドホンの電源が自動的にオフになりつつ充電が始まります。ヘッドホンを取り出すと、ヘッドホンの電源が自動的にオンになります。ケースのフタは開閉しやすく、ヘッドホン自体の脱着もスムーズ。その形状・機構上、充電ミスもまず無いと思います。ケース自体の美しさも目を引きますね~♪

WF-1000XM3付属の専用ケース。ヘッドホン保管用ケース兼充電器です。写真ではケースが自立していますが、実際は自立しません。底面は立体的な曲面になっています。
ケースの開閉やヘッドホンの装着はマグネット式。使うのにコツや注意は不要で、穴にイヤホンを置く程度の動作で正しくセットされます。逆挿しなどはできない形状。ヘッドホンの出し入れもスムーズ。
ケースは閉めた状態でも美しいと感じられますが、フタを開いた状態でもキレイ。USB-Cポートはケース下部にあります。

 このケース、使い始めは「自立しない」「底部にUSB-Cポートがある」あたり、筆者的にはなんか使いにくいような気がしていました。ですが実際に使ってみると、まあ自立させる必要もないし、USB充電中も安定感があるので、「使いやすいケースだな」と思うようになりました。フタ部分がさりげなく金属っぽい質感になっているのもイイですね。

全体的な使い勝手は?

 多用するヘッドホンとしての使い勝手も上々です。ほぼ文句の付け所なし。性能的にも完成度が高いWF-1000XM3ですが、使用感的なスムーズさもナイス。「ソニーこういう製品作り慣れてるわ~」って感じがします。

 例えばそれは、ケースから出すところから感じられます。ちょっと前述しましたが、WF-1000XM3ヘッドホンをケースから出すと自動的に電源オンで、ペアリング済みのスマートフォンなどと自動的に接続完了。それは音声でも案内されます。余談ですが、音声案内は日本語も選べて、サウンド的に「中央高速道路の小仏トンネルで聞ける速度回復喚起音声案内」みたいでサイバーです!

 ともあれ、ケースからヘッドホンを出して耳に挿すだけでOK。使い終えたらケースに入れれば、ヘッドホンの電源が切れて充電開始。

 使用中も便利で、例えば曲などを再生中にヘッドホンを耳から外すと、曲が一時停止されます。そして再度耳に入れると曲の続きが再生されます。

 さらに、ヘッドホンを外して机上などに置いておくと、約5分で自動的に電源がオフになります。その状態から耳に装着すれば自動電源オン。こういった自動動作には、ヘッドホン内側に内蔵された近接センサーが役立っています。

 通常使用時は電源オンオフを意識する必要がないWF-1000XM3。ちょっと付け外ししたときの曲一時停止/再生なども実用的で、非常にラクに使えます。

耳に当たる側に近接センサーが内蔵されています。黒く見える半円状の部分がセンサー。これにより「ユーザーが耳にヘッドホンを入れたかどうか」を検知しています。

 それから、WF-1000XM3の外側にはタッチセンサーがあり、これを使って各種操作を行えます。例えば右ヘッドホンのセンサー部をタップすれば曲の再生/停止、ダブルタップなら曲送り、トリプルタップなら曲の頭出しや1曲戻しです。左ヘッドホンのタップ操作もできます。

ヘッドホン外側の丸いエリアがタッチセンサー。ここをタップすると各種機能を使えます。

 タップ操作のうち、なかなか便利なのがクイックアテンション。初期設定では左側ヘッドホンのセンサーをタップ&ホールド(タップした指をそのまま保持)すると、一時的にヘッドホンの音量が絞られつつヘッドホンに周囲の音が取り込まれて流れます。話しかけられた時や場内アナウンスが流れた時などに対応するためのモードですね。これを長押し的なワンアクションの操作でできるのは実用的です。

 また、前述のとおり、WF-1000XM3は耳から外すと曲が一時停止されたり、あるいは電源オフになったりします。なので、例えば「誰かに話しかけられた」もしくは「話しかけた」という場合にヘッドホン長押しでクイックアテンション機能を使い一時的に会話し、その会話が長引きそうだったらヘッドホンを外せば曲が一時停止され、会話を終えたらヘッドホンを再装着して音楽の続きを聴く、という一連の流れにおいてヘッドホンを手早く操作できます。

 場内アナウンスが流れたのでクイックアテンション操作で聞いてみたら、とりあえず音楽を聞いている場合じゃない、急がなくちゃ! というシーンでも同様、スムーズなヘッドホン操作を行えます。

 と、文章で読むと「ふーん、そうなんだ」という感じですが、実際にそういう操作をすると「このヘッドホン手間がかからず便利だわ~!」という印象に。ヘッドホンを長押ししたり外したり着けたりするだけで、変化する状況にすぐ対応できるわけですから。

 なお、WF-1000XM3のタッチセンサーは、耳から外した時は無効化されます。誤操作防止ですね。でも、近接センサー部前方間近に何らかの障害物があればタッチ操作可能にはなってしまいます。
 といった感じで、ケースへの出し入れや装着や操作まで、全体的に「余計な手間がかからないスムーズな使用感」があります。わりと突出したスマートさをもって使用可能。いい気分で使えます。

 ちょっと話がズレまして、ヘッドホンの装着感ですが、筆者の場合はほとんど問題なし。イイ感じで装着できています。なんかソニーのカナル型イヤホンとは相性がいいようで、工場出荷状態で装着されていたイヤーピースがぴったり合いました。ちなみに付属するイヤーピースは、シリコーン素材のハイブリッドイヤーピース×4サイズ(SS/S/M/L)と、フォーム素材のトリプルコンフォートイヤーピース×3サイズ(S/M/L)の、合計7種類。

 耳への装着ですが、WF-1000XM3は耳に入れて少し回転させるようにし、下の写真のような角度にすると安定的に固定されます。ただ、耳の形などによってはフットしない方もあると思いますので、購入前には試着も忘れずに。

耳の3点で支える「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」を採用しているそうです。イヤーピースと本体の間の少し太い部分は、摩擦が大きめのハイフリクション・ラバー・サーフェスを採用。これにより外れにくくなっているそうです。実際、筆者の場合はWF-1000XM3を装着した状態で顔を強く振るなどしても、ヘッドホンが外れる気がしません。

 装着感も上々で、見た目もシンプル。高い機能性を持ちながらも、全体的な使用感は至ってズムーズです。

 こんな感じで、ひと通り見てきて文句なしのデキと言えるWF-1000XM3。非常に満足度が高い完全ワイヤレスのNCヘッドホンなんですが、わがままを言えばちょっと不満も残ります。

 具体的には、まず防水性がないこと。汗の季節にはとりわけ快適に使える完全ワイヤレスのインイヤーヘッドホンですが、大汗をかいたときのために防水性も欲しいなぁ、と。

 あと、フィット感はイイんですが、ヘッドホン本体がもう少し薄かったり小さかったりすれば、なおイイですね。バッテリー持続時間が短くならない範囲で、今後の小型化に期待します。

 装着つながりで、小さいことなんですが、フィット感UPってよりは万が一の落下防止のための耳フック的なオプションが欲しいな、とか。装着していて落ちそうになることはないんですが、でも一応「耳から絶対落とさない保険」みたいな機構を追加できれば、より安心して使えるような気がします。

 もうひとつ、このヘッドホンのサイズだと、タッチ操作で曲のボリューム調節って……無理なんでしょうか? 誤操作で大音量になっちゃったりすると危ない? でもタッチで曲の送り戻しができるなら、音量調整もできると便利かな~、と思ったりします。

 とまあ、読み返してみても「まあ無ければ無いでいいか」程度の不満でした。ともあれWF-1000XM3、多角的に見ても、十分に抜け目なしのデキだと思います。非常に完成度が高く、またコストパフォーマンス的にも優れた最新の完全ワイヤレスNCヘッドホンですので、視聴・試着がてら、ぜひ実機に触れてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。