法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Zenfone 11 Ultra」、大画面で生まれ変わったフラッグシップモデル

 パソコンやPCパーツだけでなく、国内のオープン市場向けに早くからSIMフリースマートフォンを投入してきたASUS。その主力に位置付けられる「Zenfone」シリーズの最新モデル「Zenfone 11 Ultra」が発売された。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

ASUS「Zenfone 11 Ultra」、約163.8mm(高さ)×76.8mm(幅)×8.9mm(厚さ)、約225g(重さ)、スカイラインブルー(写真)、エターナルブラック、ミスティグレー、デザートサンドをラインアップ

変化が見えはじめた各社のフラッグシップモデルの方向性

 ここ数年、国内で販売されるスマートフォンは、各社とも「ミッドレンジ」や「ミッドハイ」に位置付けられるモデルの拡充を図っているが、その一方で、各社のフラッグシップモデルやハイエンドモデルにも変化の兆しが見えてきている。

 たとえば、シャープは昨年、フラッグシップモデルの「AQUOS R8 pro」とは別に、NTTドコモ向けに『準フラッグシップ』とも言える「AQUOS R8」を投入し、その流れは今年の「AQUOS R9」にも引き継がれた。ソニーも今夏発売のフラッグシップモデルの「Xperia 1 VI」において、従来モデルから仕様やソフトウェアを大幅に見直し、より幅広いユーザーが日常的に使える製品へ転換を図ろうとしている。

 先日、Googleから「Pixel 9」シリーズが発表されたばかりだが、「Pixel」シリーズはここ数年、フラッグシップモデルと同じチップセットを採用しながら、少し価格を下げたモデルを約半年後にリリースしており、今年5月に発売された「Pixel 8a」は好調な売れ行きを示している。サムスンの「Galaxy」は標準的なフラッグシップモデル「Galaxy S」シリーズ、フォルダブルデザインを採用したプレミアムラインの「Galaxy Z」シリーズを展開しているが、各携帯電話会社が取り扱うモデルと同日に、オープン市場向けのSIMフリー版の販売を開始し、新しい販路を広げる一方、フラッグシップモデルに迫る性能を実現する「Galaxy A5x」シリーズも着実に進化させている。

 今回取り上げる台湾ASUSの「Zenfone 11 Ultra」も従来モデルから大きく変貌をとげたフラッグシップモデルだ。ASUSと言えば、パソコンやPCパーツなどでもおなじみのメーカーだが、スマートフォンでは国内で「格安SIM」や「格安スマホ」といったキーワードが語られはじめて間もない2014年にSIMフリースマートフォン「Zenfone 5」を発売し、それ以来、数々の製品を国内市場に投入し続けてきた人気ブランドのひとつだ。近年では2019年の「Zenfone 6」や2020年の「Zenfone 7」、2021年の「Zenfone 8 Flip」で、本体上部に備えられたカメラを前後にフリップさせる「フリップカメラ」を搭載するなど、ユニークなモデルが注目を集めたが、2021年からはコンパクトなボディに最上位のチップセットを搭載したフラッグシップモデル「Zenfone 8」、2022年には「Zenfone 9」、2023年には「Zenfone 10」を国内市場に投入。ハイスペックなコンパクトモデルを求めるユーザーを中心に、高い支持を集めた。

 今回発売された「Zenfone 11 Ultra」は、これらの後継モデルに位置付けられるが、ディスプレイの大型化に伴い、ボディデザインを一新し、新しいフラッグシップモデルに生まれ変わっている。

 従来の「Zenfone 10」までの『コンパクトフラッグシップ』というコンセプトも一定の支持があるが、ライバルメーカーのフラッグシップモデルは大画面ディスプレイを搭載した製品ばかりなうえ、SNSや動画視聴、ゲームなど、スマートフォンで利用するコンテンツも大画面ディスプレイの方が有用であることを踏まえ、大きくデザインを変更したようだ。

 また、もうひとつの背景としては、「Zenfone」シリーズと並ぶゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズが着実に成長してきたため、その最新モデルと一部を共通化することにより、開発の効率化を図った面もあるようだ。

 販売価格は搭載されるメモリーとストレージの容量の違いにより、2つのモデルが用意され、12GB/256GBのモデルが13万9800円、16GB/512GBのモデルが15万9800円に設定されている。公式ストアのASUS Storeのほかに、ASUS Store楽天市場店、Amazon、コジマ、Joshin、ソフマップ、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラなどでも販売される。原稿執筆時点ではMVNO各社での取り扱いがない。

美しい光沢ラインが浮かぶ背面デザイン

 まず、外観からチェックしてみよう。前述の通り、今回の「Zenfone 11 Ultra」は「ROG Phone 8」シリーズをベースにしているため、外観もほぼ同じテイストのデザインが採用されている。「ROG Phone 8 Pro」の「AniMe Vision」のようなギミックはないが、マットな仕上げの背面にはASUSのシンボルマークである『Aモノグラム』の一部が光沢のラインで描かれ、印象的なデザインにまとめられている。

背面はマットな仕上げで、ASUSのシンボルマーク『Aモノグラム』の一部で光沢ラインが描かれている。ガラスの表面に細かい凹凸を付けることで、指紋や手の跡を残りにくくしている

 フラットなボディに単色で仕上げるモデルが多い中、こうしたグラフィックを組み合わせるのは個性を求めるユーザーにも好まれる。

本体下部には左側面側(写真内右側)にUSB Type-C外部接続端子、中央にピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える

 従来の「Zenfone 10」とのサイズ的な違いは、幅が68.1mmから76.8mm、高さが146.5mmから163.8mmに増えているものの、厚さは9.4mmから8.9mmにスリム化している。重量は172gから225gと50g以上、増えているが、ディスプレイサイズの大型化やバッテリーの大容量化、背面カメラのトリプルカメラ化など、ハードウェアが大きく変更されていることを考えれば、しかたのないところだろう。

左側面にボタン類などは備えられていない。カメラ部の突起は約3mm
右側面には電源ボタン、シーソー式の音量キーを備える

 耐環境性能は「ROG Phone 8」シリーズと同等で、IPX5/IPX8防水、IP6X防塵に対応しており、幅広いシーンで安心して利用できる。耐衝撃性能は明記されていないが、パッケージには背面に装着するカバーが同梱される。ただ、同梱カバーは左右側面の中段から上段付近が空いた構造のため、側面からの落下時には少し不安が残る。もし、気になるようであれば、市販のケースなどを検討するのも手だ。

パッケージには本体のほかに、保護ケース、USBケーブルが同梱される。充電器は同梱されない
背面に装着した付属のケース。硬質な樹脂を採用
付属のケースは背面と上下をカバーしているが、側面の一部はカバーされないため、少し不安が残る

 バッテリーは5500mAhを内蔵し、本体下部のUSB Type-C外部接続端子を使い、最大65Wの急速充電に対応する。急速充電ではバッテリー残量が0%の状態から、39分でフル充電が可能としている。Qi規格準拠のワイヤレス充電も利用可能だ。

  電源周りの機能としては、「バイパス充電」 が搭載されている。「通常充電」ではシステムに電源を供給しながら、同時にバッテリーにも充電するため、端末内の温度が上昇し、バッテリーに負荷がかかてしまう。「バイパス充電」ではシステムのみに電源を供給し、端末の発熱を抑えられるため、ゲームや動画視聴時にも安定した動作が期待できる。「スマートバイパス充電」に設定すれば、バッテリー残量と使用量に基づいて、バッテリーの充電を自動的に停止し、システムのみに給電できるため、こちらもバッテリーの負荷と発熱をコントロールできる。

 ただし、「バイパス充電」と「スマートバイパス充電」は充電器を取り外してしまうと、設定が「通常充電」に戻るため、充電しながら、ゲームをプレイしたり、連続して動画を視聴するときなどに設定するモードと考えた方が良さそうだ。

 今回のパッケージには、USBケーブルが含まれているものの、充電器は同梱されていない。そのため、必要であれば、別途、購入するしかないが、ASUS Storeで販売されている「ROG 65W ADAPTER &1.2M USB-C CABLE」(4580円)は、原稿執筆時点で入荷待ちとなっている。もちろん、市販品の65W対応の充電器を利用してもかまわない。

迫力ある大画面の6.78インチ有機ELディスプレイを搭載

 ディスプレイは最大2400×1080ドット表示が可能なフルHD+対応6.78インチAMOLED(有機EL)を搭載し、ガラス面はCorning Gorilla Glass VIctus 2を採用する。出荷時にフィルムなどは貼られていないが、純正アクセサリーとして、「Zenfone 11 Ultra Antibacterial Glass Screen Protector(ZF11U_SCREEN_GLASS)」(3480円)が販売されている。

 今回の「Zenfone 11 Ultra」が昨年の「Zenfone 10」に比べ、 もっとも大きく変わったのがティスプレイの対角サイズ だ。従来モデルは5.9インチだったため、1.88インチ(約4.8センチ)も大型化したことになる。とは言うものの、今やほとんどのフラッグシップモデルが6インチ台半ば以上であることを考慮すれば、この変更は現実的な判断と言えそうだ。これだけの大画面化を実現しながら、ボディの持ちやすさに大きく影響するボディ幅が1cm未満の増加に抑えられているのも評価すべきポイントだろう。

 ディスプレイの仕様としては、1~120Hzの可変リフレッシュレートに対応する。通常はリフレッシュレートを[自動]に設定して利用するが、60Hzや120Hzに固定することもできる。ゲームなどで、より高いリフレッシュレートが求められるときは、[Game Genie]アプリにより、最大144Hz駆動に設定することも可能だ。

 明るさは2500nitsと非常に明るく、色域もDCI-P3 107%とかなり広い。有機ELディスプレイの特長を活かした常時表示「Always-on Panel」にも対応し、点灯時間はタップ後10秒、常時、時間帯設定が選べる。

 他製品ではあまり見かけないのが「スクリーンライト」という機能で、端末を充電中や通知の受信時に、画面ロックで消灯中でも画面の右上や左上にアイコンを点灯させることができる。かつての「着信LED」のような機能をディスプレイ上で実現したものと言えそうだ。

ディスプレイのリフレッシュレートは「自動」「120Hz」「60Hz」から選べる。最大値の144Hzは[Game Genie]アプリで設定可能
有機ELの特性を活かした「Always-on Panel」も設定可能。「タップ時に10秒表示する」に加え、「期間の設定」を選べば、特定の時間帯のみ、機能させることが可能

 生体認証は指紋認証と顔認証に対応する。ディスプレイの内側には光学式指紋センサーが内蔵されており、画面ロック解除などに指紋認証が利用できる。インカメラを利用した顔認証は、スペック表に表記がないものの、マスクを装着してのロック解除も利用できた。

チップセットは最高峰の「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載

 パフォーマンスを左右するチップセットは、2024年のフラッグシップモデル向けとなる米Qualcomm製Snapdragon 8 Gen 3を搭載する。

 スマートフォンに搭載されるチップセットは、年を追うごとに性能が向上してきたが、最近は世代がひとつ進んでもCPUやGPU性能が2~3割程度の向上にとどまるため、ひとつ前の世代のフラッグシップ向けチップセットを採用したり、同じSnapdragonシリーズでも1クラス下のチップセットを選んだりする製品が増えてきている。なかにはコスト面を考慮してか、同じシリーズながら、他メーカーのチップセットに切り替える製品も見かける。

 これらに対し、「Zenfone 11 Ultra」は本来のフラッグシップ向けのチップセットを搭載することで、王道を進もうとしている。その背景には、やはり、「ROG Phone 8」シリーズという兄弟モデルの存在により、共通化が図られているためだ。それと同時に、ここ1~2年のチップセットは、AIのパフォーマンスを大きく左右するNPUの性能向上が著しいことも関係している。

 メモリーとストレージについては、冒頭の価格でも触れたように、RAM(メモリー)12GB/ROM(ストレージ)256GB、RAM 16GB/ROM 512GBという2つのSKUが用意される。外部メモリーカードには対応していない。一般的な用途であれば、256GBでも十分と言えそうだが、スマートフォン向けのゲームは大容量のものが多いうえ、AIを活かした機能は搭載するメモリー容量によって、性能が左右されるため、 ゲームやAI関連でよりパフォーマンスを求めるなら、RAM 16GB/ROM 512GBのSKUを選んだ方がベターかもしれない

通信関連のスペック

 モバイルネットワークについては5G NR/4G LTE/3G W-CDMA/GSMに対応する。5GについてはSub6のみの対応だが、NTTドコモの5Gに割り当てられたバンドのひとつである「n79」にも対応しており、NTTドコモ及びNTTドコモ網を利用したMVNO各社のユーザーも安心して利用できる。auやソフトバンクが4G向け周波数帯域の一部を5Gに転用するバンドにも対応している。

 SIMカードはSIMカードトレイに2枚のnanoSIMカードを装着し、デュアルSIMでの利用が可能だ。ただし、eSIMには対応しない。「ROG Phone 8」シリーズのレビューでも触れたが、このタイミングでeSIMに対応していないのは、やや残念な印象が残る。

SIMカードスロットは本体下部の中央部分に備えられる。SIMカードトレイは表裏に1枚ずつnanoSIMカードを装着可能

 Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/axに準拠し、2.4GHz/5GHz/6GHz対応の無線LAN製品に接続できる。Bluetooth 5.4をサポートし、米QualcommのaptX Adaptive、aptX Losslessにも対応し、ワイヤレスでのハイレゾオーディオを楽しむことができる。衛星を利用した位置情報の測位機能は、米GPS、露GLONASS、中国BeiDou、欧州Galileo、日本QZSS(みちびき)、印NavICに対応する。

 また、従来モデルや「ROG Phone 8」シリーズと同じように、FeliCaを搭載し、おサイフケータイの各サービスが利用できる。モバイルSuicaについては、JR東日本が公開した2024年7月現在の対応機種一覧に、まだ「Zenfone 11 Ultra」が掲載されていないが、ほぼ同じ仕様と「ROG Phone 8」シリーズが掲載されているので、問題なく、利用できると見ていいだろう。

Android 14に「Zen UI」を搭載

 プラットフォームはAndroid 14を採用し、「Zenfone」シリーズで採用されてきた「Zen UI」を組み合わせる。日本語入力はAndroidプラットフォーム標準の「Gboard」を搭載する。ソフトウェアアップデートは大型アップデートが2回、セキュリティアップデートが4年、提供される。

 基本的なユーザーインターフェイスはAndroidプラットフォーム標準に準じており、ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。アプリ一覧ではアプリをフォルダにまとめることができないため、インストールしたアプリが増えてくると、縦へのスクロールが長くなっていく。目的のアプリを探すときは、アプリ一覧から検索できるが、Googleマップのアプリを使いたいとき、正式なアプリ名の[マップ]を入力しなくても「地図」と入力すれば、該当するアプリが検索される。

ホーム画面はスタンダードなレイアウトを採用し、すっきりとしたデザイン
ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される

 ホームアプリは「ASUS Launcher」しか用意されていないが、カスタマイズはできる。ただし、[設定]アプリには項目がないため、ホーム画面をロングタッチして表示される[ユーザー設定]から操作する。[ホーム画面]-[レイアウト]では、ホーム画面を上方向にスワイプして、アプリ一覧を表示する[2レイヤーモード]、ホーム画面にすべてのアプリアイコンを表示する[1レイヤーモード]が選べるほか、[ホーム画面]-[グリッドサイズ]では表示するアイコンのグリッド数を選べる。カスタマイズしすぎたときは、[デフォルトの壁紙とアイコンスタイルに戻す]でリセットすることもできる。また、[ユーザー設定]-[アプリロック]では、特定のアプリにロックをかけ、起動時に指紋認証やPINコードの入力を求めるようにも設定できる。

画面右半分で下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。ボタンも大きく、キャプションも表示され、わかりやすい。通知は画面の左半分を下方向にスワイプすると、表示される
ホーム画面やアプリロックなどの設定をするための[ユーザー設定]の画面。ホーム画面をロングタッチして、画面下段の[ユーザー設定]を選ぶか、アプリ一覧の下段のアプリ検索ボックス右側のメニューから[ユーザー設定]を選ぶと、表示される。[設定]アプリ内からは表示できない
[ユーザー設定]の[ホーム画面]では、レイアウトやグリッドサイズなど、ホーム画面を細かく設定することが可能
システムナビゲーションは「ジェスチャーナビゲーション」と「ナビゲーションバー」が選べる
ロック画面で文字を描くと、各機能を起動できるASUS製スマートフォンではおなじみの機能も搭載される
「エッジツール」を有効にすると、内側にスワイプしたときにサイドバーが表示され、登録されているアプリなどをすぐに起動できる
「フローティングウィンドウ」を利用すれば、[カレンダー]アプリで予定を作成中に、[マップ]アプリを重ねて表示するといった使い方ができる
[Game Genie]ではゲームをプレイしやすくするための設定が可能
[Video Genie]では動画の再生中に、着信やアラートなどを拒否するなど、動画に集中する設定ができる
[ヒント]アプリでは「Zenfone 11 Ultra」の注目機能が解説され、各機能の設定画面へ移動できる

 また、今回の「Zenfone 11 Ultra」は、新たにAI対応機能を搭載している。

 たとえば、「AI文字起こし」は[音声レコーダー]アプリで録音した文字起こしができる機能で、日本語や英語、フランス語などに対応する。音声認識の精度は今後の進化を期待したいところだが、会議や打ち合わせ、取材などで録音した音声がテキスト化できるのは非常に便利だ。

 [AI通話翻訳]は外国語との音声通話をリアルタイムで翻訳し、テキスト表示できる機能で、英語や中国語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、日本語に対応する。[AI通話翻訳]の設定画面で[着信側の言語]と[発信側の言語]をそれぞれ設定するが、そもそも端末は発信も着信もするものなので、どちらに何を設定したらいいのかがわかりにくい。[端末側の言語]と[相手側の言語]といった表記にして、もう少しわかりやすく表現して欲しいところだ。

 同じく音声通話関連では、[AIノイズキャンセリング]が利用できる。周囲の環境音を分析し、通話中の音声をクリアにするというものだが、標準の[電話]アプリだけでなく、サードパーティ製の通話アプリなどでも利用できる。

「AI通話翻訳」を使えば、外国語を翻訳しながら、音声通話が可能。ただし、「着信側の言語」「発信側の言語」という表現が今ひとつ
「AI通話翻訳」が有効になっていると、着信時に[AI通話翻訳]のボタンが表示される
[音声レコーダー]アプリで「文字起こし」を利用すると、話している言葉をテキストに書き起こすことが可能
「AIノイズキャンセリング」では周囲の環境を学習して、ノイズを抑えた通話が可能

5000万画素広角カメラに6軸ジンバルモジュール搭載

背面にはトリプルカメラを搭載。メインで利用する広角カメラは6軸ジンバルモジュールを搭載しているため、動きながらでもぶれを抑えた撮影が可能

 カメラは背面に広角、超広角、望遠のトリプルカメラを搭載する。メインで利用するのは、1/1.56インチ5000万画素イメージセンサー(ソニー製IMX890)/F1.9の広角カメラ(23.8mm)で、従来の「Zenfone 10」や「ROG Phone 8」シリーズなどから継承した6軸ジンバルモジュールを搭載することで、動きながらの撮影でもぶれの少ない動画を撮影することができる。ちなみに、8月21日公開分のImpress Watch Video「法林岳之のケータイしようぜ!! #777」(YouTubeでは8月23日公開)では、実際に端末を固定して、自転車で移動したときの動画も紹介しているので、興味のある方はご覧いただきたい。

 ワイドなシーンでの撮影に便利なのは1300万画素イメージセンサー/F2.2の超広角カメラ(12.7mm)で、最大120度の視野角で撮影ができる。メインカメラに対し、約3倍の光学ズームでの撮影ができるのが3200万画素/F2.4の望遠カメラ(65.3mm)で、光学式手ぶれ補正にも対応する。Hyper Clarityズームで10倍、デジタルズームでは最大30倍の望遠撮影にも対応する。

 ディスプレイ上部のパンチホール内には、3200万画素/F2.05インカメラ(22mm)を内蔵する。インカメラは画素配列がRGGB配列ではなく、RGBW配列のものを採用しており、高画質で明るい撮影が可能で、視野角も最大90度と、かなり広い。ツーショットや背景を活かした自撮りにも適している。

 撮影モードとしては、「写真」「ポートレート」「動画」「タイムラプス」「スローモーション」「パノラマ」「ライトトレイル」などが用意されている。「その他」を選ぶと、ISO感度や露出など、細かい設定ができる「Pro」モードを選ぶこともできる。

ポートレートで撮影。背景は自然なボケ。モデル:望月ゆうり(X(旧Twitter):@Tiara00107、Instagram:@mochi.yuri_、所属:ボンボンファミン・プロダクション
1枚目と同じくポートレートで撮影したが、こちらはボケ味を強くして、被写体を強調
インカメラで撮影。画角が広いため、背景を活かした撮影もできる
[カメラ]アプリで[0.7x]を選び、超広角カメラで撮影。周辺の歪みも抑えられている
[カメラ]アプリで[1x]を選び、広角カメラで撮影
[カメラ]アプリで[2x]を選んで撮影。[1x]と同じ広角カメラだが、ロスレスで2倍のズーム撮影が可能
[カメラ]アプリで[3x]を選び、望遠カメラで撮影
[カメラ]アプリで[10x]を選び、望遠カメラによる「Hyper Clarity」(10倍ズーム)で撮影。暗部にはノイズがあるものの、あまり粗さを感じさせない仕上がり
[カメラ]アプリで[30x]を選び、望遠カメラで30倍ズームの撮影。拡大すると、さすがに粗さは目立つが、スマートフォンの画面で表示するレベルでは十分な画質
薄暗いバーで撮影。後ろ側からライトで照らされているが、氷の表面などもきれいに再現されている
夜の路地を撮影。奧と手前では明暗差があるが、バランス良く撮れている

 撮影した写真や動画は、[ギャラリー]アプリで確認できる。Googleフォトの[フォト]アプリもインストールされているため、撮影した写真や動画を自動的にGoogleフォトにバックアップすることもできる。[ギャラリー]アプリでは、フィルターやカラー調整、描画、モザイクなどの編集機能が利用できるが、Pixelシリーズの「消しゴムマジック」のような機能は用意されていない。Googleフォトの[フォト]アプリで「消しゴムマジック」などの機能が利用できるようになったので、『消したい』ときはそちらを利用すればいいだろう。

撮影した動画や写真は[ギャラリー]アプリで表示できる。[ギャラリー]アプリの編集機能は画質調整の項目があるものの、「消しゴム」などの機能はない。Googleフォトの[フォト]アプリを使えば、「消しゴムマジック」などが利用できる

正統派フラッグシップへ生まれ変わった「Zenfone 11 Ultra」

 ここ数世代は『コンパクトなフラッグシップ』というコンセプトで、他製品との差別化が図られてきたASUSの「Zenfone」シリーズだが、今回の「Zenfone 11 Ultra」ではディスプレイを6.78インチに大型化したことに伴い、ボディが大きくなったが、幅で1cm弱、高さで2cm弱にの増加に抑えられている。デザインは同じASUSで人気のゲーミングスマートフォン「ROG Phone 8」シリーズをうまく活かすことにより、美しく存在感のあるボディに仕上げられている。チップセットやカメラ、バッテリーなど、ハードウェアのスペックもトップクラスであり、おサイフケータイや防水防塵などの日本仕様もしっかりとサポートした『正統派フラッグシップ』へ生まれ変わった印象だ。

 13万9800円(256GB版)、15万9800円(512GB版)という価格は、かつての価格から考えれば、決して安いわけではないが、価格に見合う十分な性能を持ち、ユーザーを存分に楽しませてくれるモデルに仕上げられている。

 悩みどころは、やはり、事実上の『兄弟モデル』である「ROG Phone 8」シリーズの存在だろう。贅沢な悩みとも言えるが(笑)、スタンダードなチョイスは「Zenfone 11 Ultra」、「AniMe Vision」をはじめとしたサイバーな演出を楽しみたいなら、「ROG Phone 8」シリーズというところだろうか。ぜひ一度、店頭などで実機を手に取り、どちらを選ぶか、贅沢に悩んでいただきたい。