法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Galaxy S23 FE」、フラッグシップを手軽に楽しみたいGalaxyファンのための一台

 auから人気のGalaxyシリーズのハイパフォーマンスと優れたユーザビリティを手軽に楽しめる「Galaxy S23 FE」が発売された。

 スマートフォンとしては、国内向けに初登場となる「FE(Fan Edition)」の名を冠した期待のモデルだ。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

au/サムスン「Galaxy S23 FE SCG24」、約158mm(高さ)×76mm(幅)×8.2mm(厚さ)、約209g(重さ)、ミント(写真)、クリーム、グラファイトをラインアップ

フラッグシップの魅力を手軽に

 現在、国内外で販売されているスマートフォンは、ほとんどの機種がスレート状のボディにディスプレイを搭載したデザインを採用しているため、外観は似通っているが、搭載するチップセットやディスプレイサイズなどの違いにより、各社のラインアップは「フラッグシップ」「ミッドレンジ」「エントリー」などにクラス分けされることが多い。

 かつては「ハイスペックなモデル=長く使える」という判断もあって、各社のフラッグシップモデルが好調な売れ行きを示していたが、近年は総務省による端末割引が制限されたことに加え、半導体不足や円安、物流コスト増などの影響を受け、端末価格が高騰し、20万円を超えるフラッグシップも珍しくなくなっている。

 その一方で、ミッドレンジの端末の機能やスペックが充実し、ここ数年で各社の売れ筋に成長した感があるが、各携帯電話会社や端末メーカーとしては、今までと違った切り口のフラッグシップを模索している。

 今回、auから発売された「Galaxy S23 FE SCG24」もこうした新しい位置付けのフラッグシップモデルと言えそうだ。

 サムスンが展開する「Galaxy」シリーズでは、“プレミアムライン”とも言えるフォルダブルの「Galaxy Z Flip」シリーズと「Galaxy F Fold」シリーズがもっともハイスペックかつ高価格のモデルだが、本来のフラッグシップは「Galaxy S」シリーズであり、かつては上半期に「Galaxy S」シリーズ、下半期に「Galaxy Note」シリーズが展開されてきた。

 現在は「Galaxy S」シリーズに統合され、今年1月には2024年モデル「Galaxy S24」シリーズがグローバル向けに発表され、国内向けモデル発売の発表が待たれている。

 これに対し、今回の「Galaxy S23 FE」は、ネーミングとしては昨年4月に国内向けに発売された「Galaxy S23」シリーズだが、後述するようにチップセットの仕様などが違い、販売価格も8万8000円(au Online Shop価格)に抑えられている。

 auが掲げる「とっておきがここからはじまる。毎日に全力な学生のための一台。」というキャッチコピーからもわかるように、春商戦へ向けて、若い世代のユーザーに使って欲しいモデルというわけだ。

 ちなみに、「FE(Fan Edition)」というネーミングは、これまでもサムスンがグローバル向けモデルで何度か展開しており、国内向けには昨年、タブレットの「Galaxy Tab S9 FE」がはじめて投入されているが、おそらくはじめて登場したのは2016年に発表された「Galaxy Note 7」がバッテリーの不具合で発売中止になり、その後、問題を解決した製品を待ち望んでいたユーザー(ファン)のために「Galaxy Note FE」として、発売したことに遡る。

 これ以降、本来のフラッグシップモデルである「Galaxy Sxx」シリーズとは別に、Galaxyのユーザー体験を楽しみたいファンのためのモデルに、「FE」の名を冠して、ラインアップに追加している。

 まったくの余談になるが、NTTドコモは今年1月にソニー製「Xperia 10 V Fun Edition SO-52D」を発売しているが、あちらは「Fun=楽しみ」であるのに対し、「Galaxy S23 FE SCG24」は「Fan=ファン、愛好者」であり、少し意味合いが異なる。

「Galaxy S23」よりもひと回り大きなボディ

 まず、外観からチェックしてみよう。「Galaxy S23 FE」は昨年4月発売の「Galaxy S23」シリーズと同じネーミングが使われているが、ボディサイズは「Galaxy S23」よりもひと回り大きく、幅76mm、厚さ8.2mm、重さ209gというサイズにまとめられている。

背面は光沢仕上げのフラットなデザイン。ボディカラーにもよるが、ミントはあまり手の跡が目立たない
左側面はボタン類などがない仕上がり。カメラ部分の突起は約2mm程度
右側面は上部側にシーソー式の音量キー、隣に電源キーを備える
本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。3.5mmイヤホン端子は備えられていない

 「Galaxy S23」シリーズにはグローバル向けに「Galaxy S23+」(国内未発売)がラインアップされているが、「Galaxy S23+」はディスプレイが6.6インチを採用するなど、「Galaxy S23 FE」とは微妙にサイズが異なる。

 ボディのデザインは「Galaxy S23」などと共通で、フラットな前後面にアルミフレームで構成されており、持ちやすい形状に仕上げられている。「Galaxy S23」に比べると、ひと回り大きいサイズだが、「Galaxy S23 Ultra」ほどの大きいサイズではないため、「Galaxy S23」や「iPhone 15」といった標準サイズのボディの端末から乗り換えやすいという見方もできる。

「Galaxy S23 FE」(左)と「Galaxy S23」(右)の背面。ひと回り大きさが違う
「Galaxy S23 FE」(左)と「Galaxy S23」(右)でWebページを表示。SNSの表示なども含め、より広く表示できるのはメリットが大きい

 耐環境性能はIPX5/8準拠の防水、IP6X準拠の防塵に対応しており、「Galaxy S23」や「Galaxy S24」(日本未発売)と同スペックとなっている。

 本体に耐衝撃性能はないが、サムスン純正のカバーや保護フィルムなどが豊富に揃っており、au Online Shopの「au +1 collection」やサムスン公式オンラインストア、家電量販店などで購入できる。

 バッテリーは4500mAh大容量バッテリーを内蔵し、最大25Wの急速充電に対応するほか、Qi規格準拠のワイヤレス充電にも対応する。「Galaxy Buds」など、ほかのワイヤレス充電対応機器に給電できるワイヤレスバッテリー共有にも対応する。パッケージには電源アダプターが内蔵されていないため、市販品を購入する必要がある。

パッケージには本体のほかに、取扱説明書、USB Type-Cケーブルが付属。サムスンが提供するデータ移行ツール「Smart Switch」はほかのプラットフォームからも移行しやすい

 バッテリーの容量としては、「Galaxy S23」の3900mAhよりも15%も大容量化が図られているが、サムスンが示した実使用時間の目安を確認すると、「Galaxy S23 FE」はインターネットが最大19時間、ビデオ再生が最大21時間となっているのに対し、「Galaxy S23」はインターネットが最大20時間、ビデオ再生が最大22時間となっており、バッテリー容量が多いはずの「Galaxy S23 FE」の方がわずかに連続使用時間が短い。

 同様の傾向はauが示す連続通話時間や連続待受時間などでも見て取れるが、これは後述するチップセットの違いによるものと推測される。ただ、実用上はほとんど差がわからない程度の違いであり、あまり気にする必要はないだろう。

視認性に優れた6.4インチDynamic AMOLEDディスプレイを搭載

 ディスプレイは「Galaxy S23」よりもひと回り大きいフルHD+対応6.4インチDynamic AMOLED(有機EL)を搭載する。ディスプレイの性能としては、コントラスト比が200万対1、ピーク輝度は最大1450nitsと非常に明るい。「Galaxy S23」の最大輝度1750nitsには及ばないが、他社のフラッグシップモデルと比較してもトップクラスの性能と言えるだろう。

 ゲームや動画再生時に気になるリフレッシュレートは60~120Hzで、出荷時に設定されている「最適化」を選んでおけば、再生する内容に合わせて、スクロールやアニメーションもなめらかに表示できる。省電力を重視したいときは、[標準]を選ぶことで、リフレッシュレートを60Hzに固定できる。

リフレッシュレートは[設定]アプリの[ディスプレイ]-[動きの滑らかさ]で設定が可能。通常は[最適化]を選択。電力消費を抑えたいときは[標準]を設定

 ブルーライトをカットする「目の保護モード」も用意されており、標準で「最適化」の設定が選べるほか、ユーザーの好みに合わせて、色温度を選べる「カスタム」での設定もでき、時間帯に合わせて、自動的にON/OFFする機能も備える。

 生体認証はディスプレイ内に光学式指紋センサーが内蔵する。超音波式を採用する「Galaxy S23」や「Galaxy S24」(国内未発売)と違う点だが、実用上はそれほど大きな差がない印象だ。

 ただ、市販の保護フィルムや保護ガラスを貼付したときは、指紋を再登録した方がいいだろう。ディスプレイ上部のインカメラを利用した顔認証にも対応するが、指紋センサーに比べ、セキュリティ面がやや劣る点は理解しておきたい。ちなみに、顔認証はマスク着用時の解除に対応していないが、メガネなどは筆者が試した限り、問題なく、ロック解除ができている。

 また、生体認証と連動する形で、サムスン独自の「Samsung Pass」が利用できる。たとえば、Webサイトへのログインやアプリ起動時などにユーザー名とパスワードを入力するとき、Samsungアカウントと指紋認証を利用することで、安全かつ簡単にログインできる。「Samsung Pass」に登録した情報は、同じSamsungアカウントを設定したほかのサムスン製デバイスでも利用できる。

ディスプレイ内蔵の指紋センサーとSamsungアカウントを連動して利用できる「Samsung Pass」は、各サービスへのログインやアプリの起動などを登録できる

米クアルコム製Snapdragon 8 Gen 1を採用

 「Galaxy S23 FE」は「Galaxy S23」や「Galaxy S23 Ultra」、「Galaxy S23+」(国内未発売)と並ぶ、「Galaxy S23」シリーズの一機種だが、大きく違うのはチップセットになる。

 「Galaxy S23 FE」はチップセットは米クアルコム製Snapdragon 8 Gen 1を採用している。「Galaxy S23」などで採用されているSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxyよりもひとつ前の世代のチップセットであり、2022年モデルの「Galaxy S22」と同じチップセットということになる。

 チップセットとしてはいずれも4nmプロセスルールで製造されているが、内部的にはモバイルデータ通信やWi-Fiなどのシステムが違っており、5Gのモバイルデータ通信で言えば、「Galaxy S23」がSub6/ミリ波対応であるのに対し、「Galaxy S23 FE」は「Galaxy S22」同様、Sub6のみの対応となっている。

 ただ、ミリ波についてはエリアも利用シーンも極めて限られているため、あまり気にする必要はないだろう。パフォーマンスについてはベンチマークテストでの比較でSnapdragon 8 Gen 2の方が20~30%程度、パフォーマンスが高いとされているが、一般的な用途では体感できるほどの差がないため、最高スペックを求めるのでなければ、十分すぎる性能と持っていると言えるだろう。

 最近はiPhone 15シリーズの例を見てもわかるように、チップセットの性能がかなり成熟してきたこともあり、ひとつ前の世代のチップセットを搭載し、コストを抑える製品が増えてきており、「Galaxy S23 FE」も同じ方向性でSnapdragon 8 Gen 1を採用したと推察される。

 メモリーとストレージは8GB RAMと256GB ROMを搭載しており、外部メモリーカードには対応しない。このあたりの仕様は基本的に「Galaxy S23」や「Galaxy S24」と共通となっている。

 ネットワークは5G NR/4G LTE/WiMAX 1+に対応するほか、ローミング時には3G W-CDMA/2G GSMなども利用できる。5Gは前述の通り、Sub6までの対応だが、auが5G向けに転用する700MHzや1.7GHzにも対応する。

 SIMカードはnanoSIMカードとeSIMのデュアルSIMに対応する。Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax準拠で、2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯のIEEE802.11axでも接続ができる。BluetoothはVer.5.3に対応する。

本体上部にピンで取り出すSIMカードスロットを備える。SIMカードはnanoSIMカードを採用し、eSIMも利用可能

 位置情報を測位する衛星対応は、サムスンのスペックで米GPS、露GLONASS、中国Beidou、欧州Galileoが明記されているが、衛星による測位情報を調べるアプリを起動すると、日本のみちびき(QZSS)の信号も受信できている。

 ちなみに、「Galaxy S23」や「Galaxy Z Flip5」なども同様にみちびきの信号を受信できているので、同じ仕様と考えていいだろう。ほかの国内向けGalaxyシリーズ各機種同様、FeliCaも搭載しており、おサイフケータイの各サービスに対応する。

FeliCaを搭載し、おサイフケータイの各サービスが利用可能

 プラットフォームはAndroid 14ベースのOne UI 6がインストールされる。日本語入力はサムスン独自の「Samsungキーボード」が搭載される。One UIはサムスン独自のユーザーインターフェイスで、全体的な構成のわかりやすさとカスタマイズ性に優れている点が従来から評価されている。

 最新版のOne UI 6では、ホーム画面を下方向にスワイプしたときに表示されるクイックパネルのレイアウトが一新され、詳細クイックパネルがすぐに表示できたり、アプリなどの通知を優先順と時系列順に表示できるなどの変更が加えられている。

ホーム画面は最下段にDock、中央に[天気]ウィジェット、上段に検索ボックスがレイアウトされる。au向け端末のため、auアプリのフォルダも表示される
ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧画面が表示される。アプリはフォルダーにまとめることができ、左にスワイプすると、次のページが表示される。アプリ画面のグリッドは「4×6」「5×5」「5×6」に拡張できる
ホーム画面で下方向にスワイプしたときに表示されるクイック設定パネル。One UI 6でデザインとレイアウトが変更され、[Wi-Fi]や[Bluetooth]のボタンが大きくなり、ディスプレイ関連でも[目の保護モード]や[ダークモード]を簡単に切り替えられるようになった
シンプルな構成の「かんたんモード」も用意される。[設定]アプリの[ディスプレイ]-[かんたんモード]で設定が可能。標準設定に比べ、アイコンが大きく表示され、高コントラストキーボードが設定される
「かんたんモード」設定時のアプリ一覧画面。フォルダーでまとめての表示や左スワイプでページ切り替えなどの基本操作は同じだが、アイコンが大きく表示され、グリッド数も変更される
内蔵バッテリーの電力を使い、ワイヤレスイヤホンの充電ケースやスマートウォッチなどを充電可能な「ワイヤレスバッテリー共有」。[設定]アプリの[バッテリー]-[ワイヤレスバッテリー共有]で設定できる。クイック設定パネルのボタンにも追加可能

 最近のOne UIは大画面化が進むスマートフォンの使い勝手をユーザーインターフェイスでカバーすることが考えられているようで、端末を持ち直して操作するようなシーンを極力、少なくしている。

[設定]アプリの[ヒント]を選ぶと、One UI 6の新機能を確認できる
[設定]アプリの[便利な機能]では、Galaxy独自の便利な機能が並ぶ。[ラボ]は開発中の機能が利用できる
ディスプレイ右上のバーを内側にスワイプすると表示される「エッジパネル」には、よく使うアプリなどを登録しておくことができる。[設定]アプリの[ディスプレイ]-[エッジパネル]で設定できる。アプリ以外に、[連絡先][タスク][天気][ツール]などを表示させることもできる
エッジパネルのショートカットから[YouTube]と[ブラウザ]をまとめて起動し、上下に分割して表示。大画面ならではの使い方

夜景にもポートレートにも強いトリプルカメラを搭載

 カメラは背面にトリプルカメラ、ディスプレイ上部のパンチホール内にインカメラを搭載する。デザイン的には「Galaxy S23」とほぼ同じの背面カメラだが、細かい部分に仕様の違いがある。

 背面は最上段から順に、1200万画素イメージセンサー/F2.2の超広角カメラ(13mm相当)、5000万画素イメージセンサー/F1.8広角カメラ(24mm相当)、800万画素イメージセンサー/F2.4望遠カメラ(75mm相当)で構成され、前面は1000万画素イメージセンサー/F2.6のインカメラ(26mm相当)を搭載する。

本体背面にはトリプルカメラを搭載。カメラ部分のデザインは「Galaxy S23」などと共通

 カメラのスペックとしては「Galaxy S23」と比較すると、望遠カメラのイメージセンサーが1200万画素から800万画素に変更されているが、実際に撮影した印象はそれほど大きな差がないばかりか、3倍ズーム撮影時、「Galaxy S23」は被写体によってはややコントラストが崩れ、白っぽく写ってしまうことがあったのに対し、「Galaxy S23 FE」は黒い被写体もしっかりと引き締まった写真を撮ることができていた。

 個体差や環境の違いが関係しているかもしれないが、おそらくカメラを構成する画像処理ソフトなども更新されているため、仕上がりに差が出てくると推察される。

 実際の撮影については、ほかのGalaxyシリーズで定評があるように、AIによるシーン自動認識などで、面倒な設定をしなくてもそれぞれのシーンに合わせた最適の設定で撮影できる。夜景やポートレートにも強く、非常に美しい写真や動画を撮影することができる。インカメラを利用した自撮りも1人と2人で撮影する画角を切り替えられるほか、顔のパーツごとに補正する機能も搭載する。

ポートレートで撮影。モデル:るびぃボンボンファミンプロダクション
インカメラで撮影。Galaxyシリーズではおなじみの「手のひらシャッター」で撮影が可能
夜景を撮影。ライトアップされた駅舎はクリアに撮影されている
夜景を超広角(0.6x)で撮影。広角カメラの写真と比べ、まったく遜色のない明るさで撮影できている
望遠カメラで撮影。広角カメラの光学3倍に相当するが、暗くなることもなく、きれいに撮影できている
30倍のスペースズームで撮影。さすがに解像感は落ちるが、夜景のデジタルズームでここまで撮影できれば、十分な印象
いつもの薄暗いバーで撮影。カクテルの微妙な色合いやグラスの水滴、背後の照明などもきれいに映すことができている
日中に国立競技場入口付近を超広角カメラで撮影。背景の空もあまり不自然な青さがなく、建物もくっきりと撮影できている

 撮影した写真や動画は、サムスン独自の[ギャラリー]アプリで閲覧することができ、マイクロソフトのクラウドストレージ「OneDrive」と同期ができるほか、Googleの[フォト]アプリでバックアップすることも可能だ。

 [ギャラリー]アプリでは[編集]メニューで[露出]や[明るさ]の調整、[角度補正]、[スタンプ]や[テキスト]の追加などができるほか、Pixelシリーズの「消しゴムマジック」のように、背景に写り込んだ人物を消す[オブジェクト消去]などの機能も利用できる。

 また、写真や動画は[共有]から[クイック共有]を選ぶことで、同じSamsungアカウントを設定したほかのデバイスや近くのAndroidデバイスと共有することもできる。[クイック共有]は従来、「ニア・バイ・シェア(Near By Share)」と呼ばれていた機能で、ほかの端末で[クイック共有]や[ニア・バイ・シェア(Near By Share)]を有効にすれば、受信できる。

 [クイック共有]のメニュー内にあるQRコードのアイコンをタップすれば、共有用のQRコードが表示され、[クイック共有]に対応していない端末やiPhone、iPadなどとも共有ができる。

 しくみとしては[Galaxy S23 FE]の[クイック共有]でQRコードのアイコンをタップすると、クラウドに写真や画像がアップロードされ、QRコードでほかの端末にURLを渡し、ダウンロードしてもらうという流れだ。

手頃な価格でフラッグシップの楽しさや便利さを実感できる一台

 ここ数年で大きく変化した国内のスマートフォン市場は、高価格化が進んだフラッグシップモデルの落ち込みをリーズナブルな価格で必要十分な機能を搭載したミッドレンジのモデルでカバーする構図が続いている。

 ミッドレンジのモデルでも十分だとする考えも理解できるが、各メーカーとしては多彩な機能を搭載したフラッグシップモデルを使って欲しいという願いもある。そこで、各メーカーはこれまでのフラッグシップとは少し方向性や位置付けの異なるモデルを企画し、市場に投入しはじめている。

 今回の「Galaxy S23 FE」は、フラッグシップモデルが持つ多彩な機能や楽しさ、利便性を搭載しながら、8万8000円というリーズナブルな価格を実現した新しい位置付けのモデルになる。昨年4月に登場した「Galaxy S23」と同じシリーズながら、チップセットや画面サイズなどが違い、うまくコストダウンを図りながら、ユーザーが手にしやすい価格を実現している。

 auのスマホトクするプログラムを利用すれば、2年後に返却するという条件付きながら、月額1800円強で購入できる。実質負担額も4万円程度と安く、端末が持つポテンシャルを考えれば、十分に元が取れる製品と言えそうだ。

 悩みどころとしては、グローバル向けには今年1月に「Galaxy S24」シリーズが発表され、例年通りであれば、4月~5月あたりに国内向けモデルが発表される見込みであることだろう。

 ただ、昨年の「Galaxy S23」の一括価格が11万4800円だったことを考えると、「Galaxy S24」は当然、これを上回る可能性が高く、「Galaxy S23 FE」との価格差は3万円以上になりそうだ。

 また、昨年モデルの「Galaxy S23」は、すでにau Online Shopでの販売が終了しており、auショップなどでの店頭在庫を残すのみとなっている。

 これらの点を考慮すると、リーズナブルな価格でフラッグシップモデルを手にするなら、「Galaxy S23 FE」は最適な一台と言えそうだ。ぜひ、auショップの店頭で手に取り、実機を試してみていただきたい。