法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「Galaxy S23」、テクノロジーと環境配慮を両立させた新定番フラッグシップ

 サムスンは4月6日、今年2月にグローバル向けに発表していたフラッグシップモデル「Galaxy S23」シリーズの国内向けモデル「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」を発表した。国内では従来に引き続き、NTTドコモとauが両機種を販売し、新たに楽天モバイルが「Galaxy S23」を販売することになる。すでに、グローバル版のレビュー記事は掲載済みだが、今回は国内向けの「Galaxy S23」を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

au/サムスン 「Galaxy S23 SCG19」、146mm(高さ)×71mm(幅)7.6mm(厚さ)、168g(重さ)、クリーム(写真)、ラベンダー、ファントムブラックをラインアップ。NTTドコモ「Galaxy S23 SC-51D」も同じ。楽天モバイルはクリームとファントムブラックのみ

厳しい市場環境でも安定した人気を保つGalaxy

 この十数年、急速な進化と共に拡大してきた国内外のスマートフォン市場。端末やプラットフォーム、サービスの成熟度が高められてきた一方、昨年あたりから徐々に市場環境に厳しさが増していることが伝えられている。コロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻、急激な円安などの影響は大きく、端末の開発や製造コストが高騰し、ハイエンドモデルやフラッグシップモデルだけでなく、ミッドレンジのモデルも価格が上昇している。その結果、世界的にスマートフォンの販売台数が落ち込み、なかでも昨年末以降の商戦期では出荷台数が2割近く減ったという統計も伝えられている。

 そんな厳しい国内外の市場において、堅調な売れ行きを記録しているのがサムスンの「Galaxy」シリーズだ。

 「Galaxy」シリーズはフォルダブルの「Galaxy Z」シリーズを筆頭に、フラッグシップの「Galaxy S」シリーズ、ミッドレンジやエントリーの「Galaxy A」シリーズを展開しているが、昨年発売の「Galaxy S22」シリーズは厳しいと言われた国内市場においても「Galaxy S22」が前年の「Galaxy S21 5G」から微減、「Galaxy S22 Ultra」は前年の「Galaxy S21 Ultra 5G」を上回る販売を記録したという。昨年と一昨年は取り扱う携帯電話会社や価格などに違いがあるため、一概に比較できないが、ライバルメーカーが軒並み数十%以上の落ち込みを記録する中、安定した人気を保っている。

 4月8日に国内向けに発表された「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」は、今年2月にグローバル向けに発表された「 Galaxy S23」シリーズの国内向けモデルになる。グローバル向けモデルとの大きな差分は、 国内の各携帯電話会社対応のバンドとおサイフケータイ対応 が挙げられる。ラインアップについては、グローバル向けで「Galaxy S23」「Galaxy S23」「Galaxy S23+」「Galaxy S23 Ultra」の3機種が発表されたのに対し、国内向けは「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」の2機種のみが投入される。中間サイズの「Galaxy S23+」は、昨年の「Galaxy S22+」に引き続き、見送りとなった。

 また、「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」を取り扱う携帯電話会社としては、従来に引き続き、NTTドコモ、auが両機種を販売するのに加え、楽天モバイルが「Galaxy S23」を販売する。楽天モバイルは過去にもサムスン製端末を取り扱ってきた実績があるが、国内ではiPhoneに次いで人気の高いGalaxyを取り扱うことで、より幅広いユーザー層を獲得したい姿勢がうかがえる。

 今回は4月20日に発売された「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」のうち、標準モデルの「Galaxy S23」について、レポートする。前述のように、国内ではかつて最大3機種の「Galaxy S」シリーズが展開されていたが、発売当初こそ、「Galaxy S22 Ultra」など、もっとも画面サイズの大きいモデルが注目されるものの、一年を通して見ると、どの世代でも標準モデルの方が売れており、「Galaxy S」シリーズの本来の主力モデルに位置付けられる。

 価格は販売する3社によって、若干の差異があり、NTTドコモは13万6620円、auは13万6330円、楽天モバイルは14万7700円に設定されている。

 NTTドコモとauは端末を2年後に返却することで、実質負担額を半額に抑えられる端末購入プログラムで販売する。楽天モバイルは端末購入プログラムを提供していないが、分割手数料を0円で24回払いが利用できるほか、楽天カード限定で48回払いを選ぶこともできる。購入した機種をどれくらいの期間、利用するのかにもよるが、少しでも負担額を減らしたいのであれば、端末購入プログラムや分割払いを選ぶことになりそうだ。

ジャストフィットなサイズ感を継承したボディ

 まず、外観からチェックしてみよう。Galaxy Sシリーズの標準サイズのモデルは、世代を追うごとに、少しずつデザインが変化してきたが、2020年発売の「Galaxy S21 5G」、2022年発売の「Galaxy S22」は、基本的なデザインを共通にしながら、進化を遂げてきた。今回の「Galaxy S23」もその流れを継承しているが、背面のカメラ部を『縦3眼レンズ』と呼ばれる3つのリングを並べたデザインに仕上げ、「Galaxy S23 Ultra」や「Galaxy S23+」(国内未発売)などとほぼ同じデザインにまとめている。従来のカメラ部を覆うパーツを備えたデザインも良かったが、シリーズとしての統一感やシンプルさが重視されたと言うことだろう。

背面にはトリプルカメラが並ぶ。カメラ部のデザインは変更され、「Galaxy S23 Ultra」などと同じ縦3眼デザインを採用
本体下部にはUSB Type-C外部接続端子、SIMカードスロットを備える
左側面には何も装備されていない
右側面には中央付近に電源キー、上部側(左側)にシーソー式音量キーが並ぶ。中央の下寄りの仕上げが異なる楕円パーツはおそらく内蔵アンテナをカバーする部分

 ボディのサイズとしては高さと幅がわずかに0.3mmずつ増えたものの、厚みはまったく同じで、重量も変わらない。7.6mmという厚さはカメラ部の突起もごくわずかで、スリムで美しいデザインに仕上げられている。

「Galaxy S23」(左)と「Galaxy S22」(右側)の本体前面。本体のサイズ感はほとんど変わらない
「Galaxy S23」(左)と「Galaxy S22」(右側)の本体背面。カメラのレンズ周囲のパーツがなくなったことで、かなりすっきりとしたデザインに仕上がった
「Galaxy S23」(左)と「Galaxy S22」(右側)の本体下部。本体側面や背面周囲の仕上がりはほとんど変わらない

 ボディ周りでもうひとつ注目されるのは、従来モデルに引き続き、リサイクル素材を積極的に活用していることが挙げられる。前後面のガラスには再生ガラス、背面フィルムもリサイクルPET、SIMトレイやボタン類にはリサイクルアルミニウム、内部の金型結合部品やボタン類の内側部品、スピーカーモジュールなどにも再生素材が使われており、従来よりも多くの再生素材を活用している。再生素材とは言うものの、実際に触ったときの質感などは何も変わりなく、上質な仕上がりとなっている印象だ。「Galaxy S23 Ultra」のグローバル版のレビューでも触れたが、限られた資源を有効活用することはスマートフォンに限らず、これからの社会にとって、重要な課題であり、スマートフォンを一年間に数億台を生産するサムスンのような企業が取り組むことは、高く評価できるものだろう。

本体下部にピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを備える。nanoSIMカード1枚のみを装着できる。eSIMにも対応しているため、デュアルSIMで運用できる

 耐環境性能は従来モデルに引き続き、IP5X/IP8Xの防水、IP6Xの防塵に対応する。かつては『日本独自』とも言われた防水防塵は、Galaxyだけでなく、今やグローバル市場でもフラッグシップモデルを中心に対応する例が増えたが、サムスンは日本市場で求められた防水防塵というニーズをいち早く取り入れ、グローバル向けモデルにも展開することで、市場をリードしている。

従来モデルよりもロングライフ化を実現

 バッテリーは従来の「Galaxy S22」の3700mAhよりも容量が増やされ、3900mAhの大容量バッテリーが搭載される。容量としては5%程度しか増えていないが、 AIを利用した省電力技術の向上により、連続動画再生で10%以上、連続音楽再生で30%以上、ブラウザによるWebページ閲覧では40%以上のロングライフ化を実現しているという。実際に、今回試用した際、いっしょに持ち歩いた「Galaxy S22」に比べ、電池残量の減りが緩やかだった。従来の「Galaxy S22」や「Galaxy S21」は非常にバランスのいいフラッグシップモデルだったが、ボディサイズの制約もあり、バッテリー駆動時間に物足りなさを指摘する声があったが、今回の「Galaxy S23」ではそうした要望にも応えているわけだ。

 また、電源周りでは外部電源からの直接給電に対応する。スマートフォンにACアダプタやモバイルバッテリーを接続し、充電しながらゲームをプレイしたり、通話をすると、端末が発熱したり、内蔵バッテリーの性能が劣化すると言われているが、「Galaxy S23」では[Game Launcher]アプリ内で設定を変更することで、ゲームプレイ中は外部電源から直接、本体に給電し、バッテリーには充電しない動作を設定できる。同様の機能はシャープ製端末が「ダイレクト給電」として採用していたが、「Galaxy S23」でも利用できることになる。

6.1インチDynamic AMOLED搭載

 ディスプレイは従来モデルに引き続き、フルHD+(2340×1080ドット表示)対応6.1インチDynamic AMOLED 2X(有機EL)を搭載する。同時に発売された「Galaxy S23 Ultra」はひと回りサイズが大きい6.8インチディスプレイを搭載しているが、サイズだけでなく、ディスプレイの形状も微妙に異なる。「Galaxy S23 Ultra」はディスプレイの左右両側端がわずかに湾曲しているのに対し、「Galaxy S23」はフラットに仕上げられている。湾曲したディスプレイは映像コンテンツなどを再生したとき、没入感が得られるメリットが半面、フラットに表示できるエリアが狭くなるため、ディスプレイサイズが6.1インチの「Galaxy S23」は従来に引き続き、フラット仕上げになっているようだ。

 ディスプレイの内側には超音波式の指紋センサーが内蔵されており、画面内指紋認証による画面ロック解除ができる。指紋認証はレスポンスもよく、操作感は他製品と大きく変わらないが、少し変わっているのが指紋登録時の画面表示だ。画面内指紋センサーの場合、画面に表示されたエリアに指紋を登録したい指先を何度も当てるが、多くの機種では途中から「指先の当てる位置をずらしながら登録してください」といったメッセージが表示される。これは指先の中央部分だけでなく、周囲の特徴点も認識するためだが、「Galaxy S23」では画面内の指先を当てるグラフィックの位置が少しずつずれて表示されるため、自然と指先の周囲の部分の特徴点も認識される。

指紋登録時、指先を当てる円の位置が少しずつ動くことで、指先の周囲の指紋も着実に登録できるようにしている

 生体認証については、画面内指紋認証のほかに、顔認証にも対応する。ただし、顔認証はよく似た顔や写真などで画面ロックが解除される可能性があるため、セキュアに使いたいときは指紋認証のみを利用するようにしたい。

Snapdragon 8 Gen2 for Galaxyを搭載

 チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 8 Gen2 for Galaxyを採用し、メモリーとストレージはRAM 8GBとROM 256GBを搭載する。microSDメモリーカードなどの外部メモリーには対応しない。Snapdragon 8 Gen2は2023年の各社のフラッグシップモデルに採用される見込みだが、「Galaxy S23」と「Galaxy S23 Ultra」には「for Galaxy」の名を冠したものが採用される。これは単純にGalaxyに採用されているという意味合いではなく、クロック周波数が異なる専用のものが採用されている。一般的なスマートフォンの用途であれば、わざわざ専用バージョンを採用することもなさそうだが、「Galaxy S23」シリーズはカメラの画像処理能力の向上に加え、前述のように、外部電源接続時の直接給電に対応するなど、ゲームでの利用をかなり強く意識しており、ゲーミングスマートフォンを名乗るライバル機種にひけを取らないパフォーマンスを実現しようと考えたようだ。

 ネットワークについてはNTTドコモ、au、楽天モバイルのそれぞれのバンドに対応し、国内外の5G NR/4G FDD-LTE/4G TD-LTE/3G W-CDMA/2G GSMで利用できる。SIMカードはnanoSIMカードとeSIMのデュアルSIMに対応する。「Galaxy S22」シリーズ以前はeSIMに対応していなかったが、今回の「Galaxy S23」であれば、ネットワーク障害や災害発生時に備え、複数のモバイル回線を契約しておくことができる。

One UIのホーム画面。販売する携帯電話会社よって、メニューは異なる。画面はau版で、中段の左側にauが提供するサービスのアプリ(ショートカット)がまとめられている
ホーム画面はカスタマイズが可能。ホーム画面やアプリ画面のグリッドを変更できるほか、ホーム画面上にアプリもすべて表示するようにも設定できる

 プラットフォームはAndroid 13ベースのOne UI 5.1を採用する。基本的な使い勝手はこれまでの「Galaxy S22」シリーズなどに準じており、大きくは変わらない。出荷時設定ではホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示され、アプリ一覧画面は左右にスワイプして、切り替えることができる。アプリ一覧画面ではアプリアイコンをドラッグして重ねると、フォルダーにまとめることもできる。また、ホーム画面にアプリ一覧のランチャーを表示したり、iOSなどと同じように、ホーム画面のみで構成するユーザーインターフェイスに切り替えることもできる。

ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧画面が表示される。アプリ一覧でフォルダーを作成できるほか、最上段からアプリを検索することも可能
画面最上段から下方向にスワイプすると表示されるクイック設定のパネル。[Wi-Fiテザリング]などもワンタッチで変更できる

 iOSに関連しては、iPhoneからの乗り換えるユーザーのために、体験アプリ「Try Galaxy」が公開されている。Safariで「Try Galaxy」と検索するか、本誌記事に掲載されているQRコードを読み取ると、Webページが表示され、Safariの共有ボタンから「ホーム画面に追加する」を選ぶと、Webアプリがホーム画面に追加される。[Try Galaxy]アプリを起動すると、One UIによるホーム画面が表示され、ユーザーインターフェイスを体験することができる。実際にiOSのホームアプリを変更しているわけではなく、あくまでも仮想的にユーザーインターフェイスを体験できるものに過ぎないが、[カメラ]アプリを起動すると、カメラを使うシーンのデモが流れたり、[ギャラリー]アプリで撮った写真に写り込んだ余計なオブジェクトを消すデモが体験できたり、いくつかの機能を体験すると、[メッセージ]アプリにサムからメッセージが届くなど、なかなか芸が細かい。「Galaxy S23」シリーズそのものの機能というわけではないが、Galaxyへの移行を検討するiPhoneユーザーが手軽にOne UIを体験できるものとして、一度、試してみて欲しい。

 話が脱線したので、元に戻そう。One UIの機能では、画面右側の上部から内側にスワイプして表示される「エッジパネル」も継承されている。ホーム画面にアプリのショートカットを並べるのではなく、よく使う機能などを登録しておくと、すぐに起動できるので、便利だ。

本体の右側の上の部分を内側にスワイプすると表示されるエッジパネル
エッジパネルにはよく使うアプリや連絡先などを登録しておくと便利。表示するハンドルの位置なども変更可能

 日本語入力はiWnnベースの「Samsungキーボード」(旧Galaxyキーボード)が搭載される。Androidプラットフォームの日本語入力はほとんどの機種がGboardに移行してしまい、独自の日本語入力はGalaxyの「Samsungボード」のほかに、AQUOSの「S-Shoin」、arrowsの「Super ATOK ULTIAS」などに限られている。そんな状況においても日本のユーザーのための日本語入力を継続して、搭載していることはうれしいことだ。機能的にもカスタマイズ性に優れており、他の日本語入力や他のプラットフォームから移行したユーザーも設定を変更することで、これまでと同様の環境を構築できる。

動画も静止画も夜景に強いトリプルカメラ

 スマートフォンにとって、もっとも重要な機能のひとつであるカメラは、各社の競争が激しさを増している。今回の「Galaxy S23」はデザインが変更された背面にトリプルカメラを搭載する。本体の上端から1200万画素/F2.2超広角カメラ(13mm相当)、5000万画素/F1.8広角カメラ(23mm相当)、1000万画素/F2.4望遠カメラ(70mm)で構成され、広角カメラは4つの画素をひとつの画素として撮影するピクセルビニングにより、暗いところでの撮影は「ナイトグラフィー」を謳い、かなり強くアピールしている。

本体背面に搭載されたトリプルカメラは、レンズ部周囲のパーツをなくし、縦3眼レイアウトを採用。すっきりとしたデザイン

 暗所での撮影は各社共、かなり注力しているが、そんな中でも「Galaxy S」シリーズは元々、夜景など、暗いところでの撮影に強く、非常にバランスのいい写真を撮ることができていた。今回の「Galaxy S23」もその流れを受け継ぎ、さらに暗いところでの動画撮影やインカメラでの撮影などが強化されている。

 撮影モードについては「ポートレート」「写真」「動画」が基本で、「その他」を選ぶと、細かく設定できる「プロ」や「プロ動画」、夜景などに強い「ナイト」、前後のカメラを使う「ディレクターズビュー」、背景をぼかした動画が撮影できる「ポートレート動画」などが選べる。これに加え、「EXPERT RAW」を選ぶと、天体ハイパーラプスも撮影できる。「Galaxy S23 Ultra(グローバル版)」のレビューでも触れたが、都市部など、街の明かりが多いところではなかなか星空の動きのある写真は難しいが、キャンプなどで郊外に出かけたときは、クルマの屋根に小型の三脚などを立て、数分程度、撮影してみると、これまでとは違った天体写真を撮ることができるはずだ。

夜景をバックにポートレートで撮影。日没後の暗い中でもこの明るさで撮影できる。背景のライティングもきれい。モデル:るびぃ>ボンボンファミンプロダクション
ポートレートで撮影。背景をぼかしつつ、人物にしっかりとフォーカスが当てられている
[50MP]モードに切り替えて撮影。日没前のやや暗めのシーンだったが、ビルの明かりなどもいかしつつ、クリアに撮影できている
Expert RAWの天体モードでは星座などを表示しながら、撮影ができる
30倍スペースズームで月を撮影。「Galaxy S23 Ultra」の100倍スペースズームには及ばないが、月をこれだけ捉えられるのは秀逸
ホテルの窓越しに夜景を撮影。空は真っ暗だったが、ナイトグラフィーにより、街並みの明かりもライトアップも再現された写真に仕上がった
夜景をバックに人物の動画を撮影。背景の建物のライトアップを活かしつつ、人物の氷上も明るく捉えている

 また、撮影後の写真の編集では、標準の編集機能を使い、背景に映り込んだ人物などを消去する「オブジェクト消去」などの機能もサポートされる。GoogleのPixelシリーズでおなじみとなった「消しゴムマジック」と同様の機能で、もう少しわかりやすい手順や表記が望まれるものの、標準機能でサポートされていることは大きい。この他にもアドビの「Lightroom」のモバイル版を使い、Expert RAWで撮影したRAWデータの写真を編集できるようにするなど、より高度な写真編集を楽しみたいユーザーのニーズにも応えられるようにしている。

撮影した写真や動画は[ギャラリー]アプリで表示ができる。OneDriveと連携してバックアップすることが可能。Googleフォトも利用できる
撮影した写真を表示し、編集メニューから[オブジェクト消去]を選択
消去したい対象物をなぞって囲う
中央部分の人物を消去することができた

新定番フラッグシップモデルへ進化を続ける「Galaxy S23」

 冒頭でも触れたように、ここ数年のコロナ禍の影響により、端末価格が全体的に値上がり傾向にあるため、スマートフォンの売れ行きにはブレーキがかかり、なかでも各社のフラッグシップモデルは厳しい状況にある。そんな中において、「Galaxy S」シリーズはライバル機種に比べ、安定した人気をキープしており、市場での存在感を着実に増している。

 今回、国内向けにNTTドコモ、au、楽天モバイルから発売された「Galaxy S23」は、これまで積み上げられてきた「Galaxy S」シリーズの標準サイズのモデルの魅力を受け継ぎながら、着実に進化を遂げており、非常に完成度の高いモデルに仕上げられている。特に、カメラ周りは写真や動画撮影時の画像処理などを中心に、改善が図られ、夜景や暗所での撮影なども存分に楽しむことができる。友だちや家族が持つライバル機種と撮り比べて見て欲しいレベルの仕上がりだ。

 また、従来の「Galaxy S22」や「Galaxy S21 5G」で物足りないとされてきた電源周りもバッテリー容量の増量だけでなく、AIによる省電力技術の最適化により、実使用においても駆動時間のロングライフ化が実現できている。ゲームなどを楽しんでいるときの外部電源の直接給電など、バッテリーへの負荷を抑える機能も有用だ。

 唯一、物足りない点があるとすれば、やはり、オープン市場向けのSIMフリーモデルの展開だろう。昨年、サムスンは「Galaxy M23」を国内向けに投入し、はじめてオープン市場向けのSIMフリーモデルの展開をスタートさせた。今のところ、これ以外のモデルは投入されていないが、サムスンは今年、自らのオンラインショップをオープンさせており、オープン市場向けSIMフリーモデルを展開する下地は整いつつある。ぜひ、「Galaxy S23」シリーズでもオープン市場向けSIMフリーモデルの展開を期待したいところだ。

 価格的な制約から、ここ数年は各社のミッドレンジモデルの販売が拡大し、フラッグシップモデルの位置付けが難しいとされてきたが、「Galaxy S23」はフラッグシップモデルとして必要な機能、期待される機能をしっかりとサポートし、幅広いユーザーのニーズに応えられる新定番フラッグシップモデルに仕上げられている。全国の各携帯電話会社のショップだけでなく、東京・原宿の「Galaxy Harajuku」をはじめ、期間限定でオープンする大阪・なんばの「Galaxy Studio Osaka」、東京、名古屋、関西、福岡で開催される「Galaxy Pop-up Studio」などで実機を体験することができる。ぜひ、現地に足を運んでいただき、「Galaxy S23」の完成度の高さを実感していただきたい。