法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「OPPO Reno3 5G」はリーズナブルな価格で5G時代を先取り

 昨年来、オープン市場で着実に支持を拡大しつつあるOPPO。今年に入り、SIMフリー端末だけでなく、キャリア向けの端末にも採用され、さらに勢いを拡大しそうな気配だ。

 今回はソフトバンクから発売されたオッポジャパン製「Reno3 5G」の実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

ソフトバンク/オッポジャパン「OPPO Reno3 5G」、約159mm(高さ)×72mm(幅)×7.7mm(厚さ)、約171g(重量)、ミスティホワイト(写真)をラインアップ


日本向けモデルを足掛りに拡大するOPPO

日本に参入するということ

 これまで国内のモバイル市場には、国内だけでなく、海外のメーカーも数多く参入し、製品を展開してきた。

 古くはモトローラやノキアなどが強く、ケータイ時代にはサムスンやLGエレクトロニクスなどが参入し、スマートフォン時代にはアップルがiPhoneで日本市場に挑み、近年はファーウェイやZTEなどが一定の成功を収めてきた。

 しかし、これらの海外メーカーがすんなりと国内市場で認められてきたかというと、そうでもない。

 現在とは市場の状況がかなり違うが、たとえばケータイ時代にノキアは世界トップシェアを持ち、国内でもさまざまな形でプロモーションを展開した。

 しかし残念ながら、十分な支持を得られなかった。

 最後には国内の携帯電話事業者向けに開発し、すでに発表も済ませていたモデルの発売を諦め、日本の端末ビジネスから撤退してしまった。

 決してノキア製端末の出来が悪かったわけではないが、やはり、日本のユーザーにとっては、世界で売れていることより、自分たちの利用環境に合うかどうかが重要であり、ノキア製端末はそこに踏み込めなかったことが敗因とも言える。

OPPOが支持を得た理由

 逆に、タイミング良く、国内向けの製品を投入し、国内市場で存在感を得たメーカーもいくつかある。

 そのひとつが今回取り上げる中国のOPPOだ。

 同社は中国市場をはじめ、東南アジアや欧州の一部でビジネスを展開してきたが、2018年2月に「R11s」で日本市場に参入している。

 その後、矢継ぎ早に端末をオープン市場に投入していたが、大きな転機となったのが昨年の「Reno A」だ。

 それまでに国内市場に投入したモデルの多くは、基本的にグローバル向けのモデルをベースにしていたが、「Reno A」では防水防塵とおサイフケータイに対応した日本専売モデルとして開発され、イメージキャラクターに起用した指原莉乃の存在感とも相まって、2019年のヒット商品となった。

 おそらくOPPOとしては2019年9月に正式サービスを開始する予定だった楽天モバイルとの連動を期待していたのだろうが、楽天モバイルが「無料サポータープログラム」という試験サービスに縮小してしまい、当初の目論見ほどの反響は得られなかった。

 しかし、それでもオープン市場では非常に高い人気を獲得し、販売ランキングでも上位に食い込む勢いを見せた。

 もうひとつの背景として、国内のオープン市場で強かったファーウェイが米中貿易摩擦の影響を受け、主力モデルを販売しにくくなってしまったことも少なからず関係しているが、それでも市場での人気は根強く、現在でも好調な売れ行きを記録している。

オープン市場向けに販売されている「OPPO Reno3 A」(左)、ソフトバンクが販売する「OPPO Reno3 5G」(右)。インカメラの位置などが異なる

 今回、ソフトバンクから発売された「Reno3 5G」は、ネーミングやデザインを見る限り、「Reno A」の後継モデルとしてオープン市場向けに発売された「Reno3 A」の5Gバージョンに位置付けられる。

 ただ、細かい部分の仕様やデザインは異なっており、必ずしも同一のラインアップではないと考えた方が良さそうだ。オッポジャパンとしては、先般、レビューで取り上げたau向けの「OPPO Find X2 Pro OPG01」とともに、初のキャリア向けモデルとなっている。

 ソフトバンクの5Gサービスについては、他社同様、2020年3月に提供を開始したが、サービス開始時の5G対応端末のラインアップは他社に比べて少ない。

 「Reno3 5G」は発売が7月と、他機種よりも遅かったため、今ひとつ市場に認識されていない感もあった。

 そうした状況の中、オッポジャパンは7月にオンラインで発表イベントを開催し、イメージキャラクターとして、前年からの指原莉乃に加え、とんねるずの木梨憲武を起用し、さらに市場に強くアピールしていく姿勢を見せた。

Reno3 5Gの価格

 端末の価格はソフトバンクオンラインショップで6万8400円に設定されており、ソフトバンクの5G対応端末としては、現時点で最安値になる。

 「とくするサポート」を使えば、実質負担額を抑えることもできる。5G対応端末は高いというイメージが強いが、これくらいの価格帯であれば、多くのユーザーが手を出しやすそうだ。

 ちなみに、ソフトバンクでは9月30日までに購入したユーザーを対象に、「OPPO Reno3 5G PayPayキャンペーン」で5000円分のPayPayボーナスをプレゼントするキャンペーンを実施しているほか、エレコム製のVRゴーグルがもらえるキャンペーンも行なっている。


スリムなボディに6.55インチ有機ELディスプレイを搭載

外観

 まず、外観からチェックしてみよう。

 ボディは幅72mm、厚さ7.7mmのスリムなボディに仕上げられており、重量も171gと軽く、手にフィットするサイズで持ちやすい。

背面はマットな仕上げで、指紋の跡などが付きにくい

 ボディの背面はマットで指紋の跡が付きにくい仕上げとなっている。パッケージにはクリアタイプの保護ケースが同梱されている。ちなみに、RenoA 3と違い、防水防塵には対応していないので、水のある環境での利用には注意したい。

右側面は電源キーのみを備える。カメラ部の突起はあまり大きくない
左側面は分割式の音量キーを装備

 Reno3 Aと比較してみると、基本的なパーツ類の配置は同じようにレイアウトされているものの、ボディの四つの角はReno3 5Gの方がややスクエアで、ディスプレイの下側の額縁も少し狭いため、全体的に画面の広さが際立つデザインとなっている。また、Reno3 Aでは下部に備えられていた3.5mmイヤホンマイク端子も省かれている。

下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。すぐ隣にSIMカードスロットがあるが、トレイ部分にピンを挿して、取り出す。外部接続端子とSIMカードトレイの間の穴(おそらくマイク)に間違ってピンを挿さないように注意したい
SIMカードはnanoSIMを採用。外部メモリーカードには非対応

ディスプレイ

 ディスプレイは2400×1080ドット表示が可能な6.55インチの有機ELを採用し、画面占有率は93.4%を実現する。

 Reno3 Aと違い、ディスプレイの左右側面がわずかに湾曲したデザインを採用。

 インカメラもReno3 Aが水滴型ノッチだったのに対し、左上に開けられたパンチホールに収められている。パンチホールのサイズもあまり大きくないため、映像コンテンツなどを視聴するときにも邪魔にならない。

 また、有機ELディスプレイは90Hzのリフレッシュレート、180Hzのタッチサンプルレートに対応しており、なめらかな描画とゲームなどでの優れたタッチレスポンスと実現する。

指紋センサーはロック解除だけでなく、アプリの暗号化やプライベートフォルダなどにも利用できる

 ディスプレイには指紋認証センサーが内蔵されており、インカメラによる顔認証も利用できる。これらの生体認証は画面ロック解除に利用できるほか、アプリの暗号化やプライベートフォルダの解除などにも利用できる。

マスクをつけて顔認証

 顔認証については明るさの自動補正にも対応し、目を閉じた状態での顔認証の解除をさせない設定もできる。

 少し変わっているのは通常通り、マスクを着けない状態で顔認証を登録してもマスクを着けた状態でロックが解除できる点だ。

 個人差があるかもしれないが、ニューノーマルの時代に合った仕様として、注目される。

バッテリーと充電性能

 バッテリーは4025mAhを内蔵し、OPPO独自の急速充電システム「VOOC4.0」に対応しており、同梱のACアダプタを利用することで、約20分で50%、約56分でフル充電が可能だ。一般的なUSB Type-C PD対応ACアダプターでも120分で充電できる。

 ユーザーがスマートフォンを利用する状況を分析し、自動的にバッテリー残量の消費を抑える「省エネオプション」、バックグラウンドで動作する一部のアプリを停止する「省エネモード」なども用意されている。

チップセット

 チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 765Gを採用し、8GB RAMと128GB ROMを搭載する。

 外部メモリーカードには対応していないため、本体メモリーのみで利用することになる。

 Snapdragon 765Gは5Gモデムが統合されたミッドレンジ向けのチップセットで、この価格帯の多くの端末が採用することが予想されている。

 おサイフケータイにも対応しており、国内で提供される各サービスで利用することができる。

Androidをベースに独自のカスタマイズを加えたColor OSを搭載

 プラットフォームはAndroid 10ベースのColor OS7を搭載する。

 他のOPPO製端末のレビューでも説明してきたように、OPPOはAndroidプラットフォームに独自のユーザーインターフェイスを載せ、カスタマイズを施したものを「ColorOS」と呼んでいる。

ホーム画面にはソフトバンクが5G端末向けに提供するサービスのアプリなどが配置されている。Color OSのため、アイコンのデザインは一般的なAndroidスマートフォンと異なる

 Androidプラットフォームのホームアプリなどに比べ、かなり広範囲をカスタマイズしており、設定メニューの項目なども並び順や表記が異なるが、十分に慣れることができるレベルだ。

ホーム画面のモードは3種類から選べる。シンプルモードはタイル表示で、初心者にもわかりやすい

 ちなみに、「Gmail」や「Googleマップ」など、Google Mobile Serviceのアプリは他のAndroidスマートフォンと同じように利用できる。日本語入力はAndroidプラットフォーム標準の「Gboard」を採用する。

ホーム画面で上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。最上段にはユーザーが利用することを予測したアプリが並ぶ
通知パネルのデザインやアイコンも独特。ユーザーの好みに合わせて、並べ替えも可能

 ホーム画面に関連する部分は、ユーザーの好みに合わせて、カスタマイズできる項目が数多く用意されている。

 たとえば、ホーム画面モードは「標準モード」「ドロワーモード」「シンプルモード」、ホーム画面のアイコン表示のレイアウトは「4×6」「5×6」がそれぞれ選べ、ホーム画面で下方向にスワイプしたときの動作も「グローバル検索」と「通知センター」を選ぶことができる。

通知パネル内の「モード」を選ぶと、3つのモードが選べる

 ユーザーの使い勝手を考えた便利機能も充実している。たとえば、三本の指で下方向にスワイプして、スクリーンショットを撮ったり、スリープ時に画面に「O」(英字のオー)を描いてカメラを起動したり、「V」(英字のブイ)を描いてLEDを点灯させるといったジェスチャーによる機能などが用意されている。

 また、画面右側の湾曲している部分に表示されている細いバーを内側にスワイプすると、アプリを簡単に起動できる「スマートサイドバー」が表示される。

画面右側に表示される細いバーを内側にスワイプすると、スマートサイドバーが表示される
スマートサイドバーの[+]をタップすれば、表示するアプリを自由に変更できる

 スマートサイドバーに表示するアプリは自由に登録でき、アプリの起動中に他のアプリのアイコンをドラッグ&ドロップして、画面の分割表示もできる。

 ただ、スマートサイドバーの表示が同様の機能を搭載する他機種に比べ、トリガーになる細いバーの表示が見づらいうえ、やや起動しにくい感もあり、今ひとつ扱いにくい印象が残った。

スマートサイドバーのドラッグ&ドロップだけでなく、3本の指で上方向にスワイプして、画面分割ができる

 慣れもあるかもしれないが、細いバーの視認性を良くしたり、もう少し反応を良くするなど、改善を期待したいところだ。


4800万画素メインカメラを含む4眼カメラ搭載

 OPPOは今やほとんどのスマートフォンのカメラの標準機能となったビューティモードなどの補正機能にいち早く取り組んだことで知られ、中国市場において、ライバルであるファーウェイやシャオミなどと、激しい開発競争をくり広げてきたこともあり、カメラ機能にはかなり注力している。

背面に搭載されたクアッドカメラ。突起はそれほど大きくないが、カバーの装着がおすすめ

 今回のReno3 5Gには4800万画素イメージセンサーにF1.7のレンズ、光学式手ブレ補正を搭載したメインカメラ、800万画素イメージセンサーにF2.2のレンズを組み合わせ、115度の画角でマクロ撮影にも対応した超広角カメラ、1300万画素イメージセンサーにF2.4レンズを組み合わせた望遠カメラ、200万画素モノクロセンサーとF2.4レンズを組み合わせ、陰影を読み取るモノクロカメラの4つのカメラで構成される。

被写体に近付くと、「マクロレンズ」と認識される。約2.5cmまで寄ることができる

 撮影モードとしては「夜景」「ビデオ」「写真」「ポートレート」「その他」を標準で選ぶことができ、「その他」には設定を細かく変更できる「エキスパート」のほか、「ステッカー」や「Google Lens」などのモードが用意される。

カメラのモードは左右(縦持ち時)のスワイプで切り替えが可能。4800万画素をフルに活かした高解像度撮影は設定で[48 MP]を選ぶ必要がある

 「写真」モードで標準設定のまま、撮影すると、ビニング機能(4つの画素を1つの画素として扱い、より多くの光を取り込む機能)が有効な状態で撮影されるため、4000×3000ドットの写真が生成される。

 メインカメラの4800万画素をフルに活かした写真を撮りたいときは、ファインダー画面右上のメニューを表示し、[48MP]を選ぶ必要がある。撮影モードの切り替えはあまり速くないが、「写真」「ポートレート」「夜景」は画角が変わらないため、撮影しやすい。意外に役立ちそうなのがマクロ撮影で、時計やアクセサリーを撮影したり、女性はネイルの仕上がりなどを撮っておくときにも便利そうだ。

作例(リンク先はいずれも原寸大)

夜の駅を超広角カメラで撮影
メインカメラで撮影。ビニング機能が有効になっているため、明るく撮影ができている。解像度は4000×3000ドット
「2X」を選び、標準の2倍ズームで撮影
「5X」を選び、標準の5倍ズームで撮影
[48 MP]を選んで撮影。倍率はメインカメラの標準で固定。解像度は8000×6000ドット
薄暗いバーで撮影。ガラスの質感なども再現され、背景もバランス良くボケている

インカメラ

 サブカメラ(インカメラ)は3200万画素のイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせ、A.I.ビューティモードでは「美肌」「細い顔」「より大きな目」「より小さな鼻」「顎」「より小さな顔」「タッチアップ」「3D」の8つの項目について、補正ができる。

インカメラはパンチホールに収められている。パンチホールのサイズも小さめ。ディスプレイには出荷時に実用可能な保護フィルムが貼付済み

写真アプリ

 撮影した写真や動画はは「写真」アプリで確認できる。最近、Androidスマートフォンは多くの機種がGoogleフォトに移行しているが、独自の写真アプリを提供しているのは注目される。

 ちなみに、撮影した写真などは、「Hey Tapクラウド」(「OPPO Cloud」から移行)にバックアップされるが、Googleフォトもインストールされているため、そちらにもバックアップされる。

撮影した写真はOPPO独自の[写真]アプリで閲覧ができる
[Googleフォト]もインストールされているため、こちらでもGoogleアカウントにバックアップが可能

 少し気になるのは、Hey Tapクラウドについての説明がほとんどないため、どういう位置付けのものなのかをユーザーにわからないことだ。標準でインストールされているのだから、OPPOとして、ユーザーに告知する必要があるだろうし、Reno3 5Gを販売するソフトバンクにも同様の責任があるのではないだろうか。

5Gをはじめるリーズナブルな一台

 2020年3月に各社が提供を開始した5Gサービスは、まだエリアも狭く、目玉となるサービスもないため、ユーザーとしては今ひとつ移行しにくい状況にある。

 特に、ソフトバンクの場合、現時点ではNTTドコモやauのように、データ通信が使い放題になる料金プランを提供していないため、5G対応コンテンツを楽しめるなどのメリットに限られている。

ソフトバンクが提供する「5G LAB」のWebページ。VRコンテンツへのリンクも並ぶ

 5G対応コンテンツはソフトバンクの「5G LAB」で展開されており、スポーツやアイドルなど、それぞれのジャンルのファンには魅力的だろうが、一般的なユーザーに響くところまではアピールできていない印象だ。

 とは言うものの、いち早く5Gサービスを体験したいユーザー、買い換えのタイミングを迎えるユーザーも多く存在し、その多くは「これから買うなら、5Gだよね」という考えを持っているはずだ。

 2019年10月の電気通信事業法改正で端末購入補助が制限されている状況下では、どうしても端末価格が気になってしまうが、OPPO Reno3 5Gの6万円台という価格は手を出しやすいレベルであり、ここ1年ほどのOPPO Renoシリーズの反響から、魅力的に感じるユーザーも多いはずだ。

パッケージにはクリアタイプのカバー、ACアダプタ、USBケーブル、イヤホンが同梱される

 防水防塵に対応していないことや外部メモリーカード非対応など、気になる点はいくつかあるものの、おサイフケータイに対応し、カメラなどの機能も充実しており、5Gをはじめるためのリーズナブルな一台と言えそうだ。

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