三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

カメラ特化スマホ「Xiaomi 14 Ultra」の実力は? 思わず欲しくなるピカイチの写り!

 ようやくカメラ性能に特化したスマートフォンの真打ちが登場した。「Xiaomi 14 Ultra」である。

 近ごろ「ライツ」や同社のレンズ名を掲げる端末が増え、iOSにも「Leica LUX」というアプリが出るなど話題になっているが、「ライカ」を名乗る端末の中でも「Xiaomi 14 Ultra」は写りと使い勝手で一歩先を行く仕上がりになっている印象を受けた。

 スペックや価格など詳細は本誌別記事を参照してほしい。

存在感抜群のカメラユニット

 この端末の特徴はカメラユニットだ。「Xiaomi 14 Ultra」はメインカメラ、2つの望遠カメラ、超広角カメラの4眼構成になっている。目を引く円形のユニットに高性能なカメラを押し込んでいるスタイルになる。ライカとの共同開発によるその写りはなかなかのものだ。

「Xiaomi 14 Ultra」のカメラユニット
メインカメラ
  • 35mm判換算約23mm F1.63
  • ソニー製1型「LYT-900」センサー
  • 「LEICA VARIO-SUMMILUX光学レンズ」採用
  • 無段階可変絞りシステム(F値1.63~4.0)
望遠カメラ
  • 35mm判換算約75mm F1.8 フローティング望遠レンズ
望遠カメラ
  • 35mm判換算約120mm F2.5 ペリスコープレンズ
超広角カメラ
  • 35mm判換算約12mm F1.8

 撮影画面はいたってオーソドックス。各種モードへの切り換えも簡単で「プロ」モードによるマニュアル設定撮影も可能だ。

4つのカメラによる画角比較カット

 超広角から10倍程度までは素晴らしい写りだ。さすがに60X、120Xになると塗り絵感があるが、ここまでの超望遠が撮れるのは面白い。

0.5X
1X
2X
3.2X
5X
10X
30X
60X
120X

メインカメラに機械的な絞り羽根を搭載

 1型という大型センサーを搭載しているメインカメラは機械的な絞り羽根を積んでいる。

 設定より絞り値をコントロールすることによって、被写界深度と背景ボケを変化させることができる。擬似的な「ポートレートモード」とは違い、光学的で自然な表現が魅力だ。

絞り値による写りの変化
F1.63
F2
F2.8
F4

魅惑のカラースタイル搭載

 ライカの世界感を再現した2つのカラースタイルも準備されている。

 ディスプレイ右上にあるアイコンをタップすると「Leica Vibrant(Leica バイブラント)」「Leica Authentic(Leica オーセンティック)」という2種類のスタイルを選択できる。

 前者はスマートフォンらしいメリハリのある色調で、後者は落ち着きのあるトーンとなっている。

「Leica Vibrant(Leica バイブラント)」
「Leica Authentic(Leica オーセンティック)」

豊富なフィルター効果

 「ノーマル」を含めて「Leica VIV」「Leica NAT」「Leica BW NAT」「Leica BW HC」「Leica Sepia」「Leica Blue」。それに加えて「グリー」「R600」「P100F」「F50」「KC64」「KP160」「ブラックゴールド」「ビビッド」の15種類ものフィルターも備える。

 好みに応じてライカっぽい仕上がりのカットを手にすることが可能である。

「ノーマル」
「Leica VIV」
「Leica NAT」
「Leica BW NAT」
「Leica BW HC」
「Leica Sepia」
「Leica Blue」

ユーザー心をくすぐる「透かし」機能

 「ライカで撮ってるんだぜ」と自慢できる透かし機能もある。撮影情報などベーシックな情報のみを入れるモードもある。

「標準」
「Leica」

大注目の「Photography Kit」

 「Xiaomi 14 Ultra」には撮影体験を向上させてくれる「Photography Kit」が用意されている。これは端末に合体させるもので、ケース、シャッターボタン搭載バッテリー内蔵グリップ、フィルターリングなどからなる。

 グリップから本体の充電もできるし、指がかりのいい大きなシャッターボタンでの撮影ができるのは素晴らしい。ダイヤルで露出補正をしたり、レバーで焦点距離を変えられるなどコンパクトデジタルカメラ顔負けの機能を有している。

 設定から操作のカスタマイズもできるので自分なりの使い勝手を追い求めることが可能なのもいい。これを装着して撮影をすると「コンデジはもう不要だな」と感じる人もいるだろう。

装着時
リングとシャッターボタン搭載バッテリー内蔵グリップ
スマートフォンでの撮影体験を向上させてくれるボタンとダイヤル

「Xiaomi 14 Ultra」でブラブラ実写スナップ

 というわけで「Photography Kit」を装着した「Xiaomi 14 Ultra」でアチコチをブラブラと撮り歩いてみた。その感覚はスマートフォンではなくコンデジのそれであった。操作性だけでなく、メインカメラの画質には舌を巻いたほど。それほど撮影体験が素晴らしかったのである。

カバーと傘と自転車。その生々しい質感が実にいい
超広角カメラのヌケ感と色再現も見た目の印象に近い
手水舎を撮ったが、滴る水と龍の描写が美しい

 紫陽花に接近してシャッターを切った。精細感とボケ感はコンデジ顔負けである。

「Photography Kit」は撮影する気持ちを高めてくれる。素早くアンダーに露出補正をしてイメージどおりの仕上がりになった
マニュアルでの撮影も可能だが、カメラ任せ + 露出補正でほぼ満足のいく写りを手にすることができた

 光を浴びるジャパニーズウイスキー。ガラスと瓶の透明感、コントラスト、色合いのすべてがいい印象だ。

1型センサーをクロップで。発色、精細感ともにお見事
同じカットをクロップなしで。伸びやかでゆとりのある絵作りがいい

 逆光でも雰囲気のあるカットが撮れた。さすがにダイレクトに点光源をフレームに入れるとフレアとゴーストが発生するので注意しよう。

「Photography Kit」があると焦点距離と露出補正がとてもやりやすい。ホールド感も高まるのでフレーミングにも集中できる
1型という大きなセンサーなので低照度にも強い。暗部のノイズ感も整っており不自然さはあまり感じられない

 「Photography Kit」のグリップがあると望遠域でもしっかりとフレーミングできるのがいい。ダイヤルに割り当てた露出補正でアンダー目にセットしてシャッターを切った。シャープでメリハリのあるカットになった。

ピカイチの写りで思わず欲しくなった!

 「Xiaomi 14 Ultra」は「ライカ」ブランドを背負ったスマートフォンの中でピカイチの写りだ。メインカメラの描写と、10Xまでの望遠は本当に素晴らしく感じた。

 「Xiaomi 14 Ultra」に無料で付属する「Photography Kit」を装着すれば、写りに高い「操作性」がプラスされて、ほぼ完璧なカメラスマートフォンに変貌する。

 ややダイヤル類の動作が軽すぎるところや、縦位置時に操作しにくい面もあるが、それは慣れが解決してくれるかもしれない。もし、より使いやすい新型の「Photography Kit」が今後出たりすると楽しい。

 試用していて思わず欲しくなり、撮影中に大手量販店に行ったが当然「売り切れ」であった(笑)。人気が出るのも納得である。

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三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau