みんなのケータイ

 MVNOブームに乗って、SIMロックフリーのAndroidスマートフォンが続々登場する中で、意外と見かけないなと思っていたのが従来型の携帯電話でSIMフリーのモデル。

 そんな、ありそうでなかった端末に挑戦してきたのが、SIMロックフリーの端末専門のメーカー、フリーテル(プラスワン・マーケティング)だ。

手にすっぽりと収まる「freetel Simple」

 ストレート型の携帯電話「freetel Simple」は2014年11月に発表。当初は2015年1月発売とされていたけれど、発売延期を経て、8月28日に発売された

 小さい携帯電話が好きな筆者も購入しようとしたのだが、人気のために即売り切れ。そうこうしているうちに、発売3日で販売終了、まぼろしの機種に……。

 もう二度と手に入らないのかとあきらめていた先日、ある量販店をのぞいていたら展示処分品となっていた「Simple」に遭遇、衝動的に購入してしまった。

小さいもの同士ということでワイモバイルのPHS「ストラップフォン2」(エイビット製)と並べてみた

 前置きが長くなったが、端末を見てみよう。基本的には、3Gによる通話が中心の、その名の通りシンプルな携帯電話。「フィーチャーフォン」というより「ベーシックフォン」という表現が近いかもしれない。通話とSMSのみが利用でき、パケット通信には対応しない。

端子はキャップつきだが防水ではない。ストラップホールもちゃんとある
デュアルSIMだが、片方はGSMのみの対応。日本では2つ目のアンテナが立つことはない
電池の下に標準SIMスロット×2とmicroSDスロットがみっしり詰め込まれている

 ただし、通話専用というわけでもなく、なぜか「FMラジオ」に「MP3プレイヤー」、「ボイスレコーダー」が搭載されている。意外と多機能なのだ。

感度はよいがチャンネルスキャン機能がないFMラジオ
パソコンに繋ぐとストレージとして認識されるので、音楽ファイルを放り込むだけ

 テンキーの押し心地やレスポンスはなかなか悪くない。ただし、発売延期となった理由のひとつ「半濁点入力のレスポンスが悪い」というのは、発売時点でも直っていなかったようだ。

「レスポンスが悪い」とはどういうことかというと、「ば」を入力した後に濁点キーをさらに5連打して、運がよければ「ぱ」に変わる、というイメージ

 ひとつ苦労したのが、連絡先の登録。赤外線やBluetoothでの転送は対応していないため、スマートフォンでSIMカードに連絡先を書き出して、Simpleから読み込むことで、まとめて転送できた。

 電話帳の表示にも難があるようで、スマホで「名字」+「名前」で分けて入力していると、Simpleでは「名前+名字」で表示されてしまう。決定的なのが、連絡先に読み仮名入力機能がないこと。電話帳での表示順が「読み順」にならず、「文字コード順」で並んでしまうのだ。対処方法は連絡先の一番前にひらがなを振ることくらいだろうか。

連絡先の表示順は諦めるべきだろうか
通話時間の表示機能なども

 NTTドコモのSIMカードで通話してみた。3Gで小柄な筐体ながら、クリアに聞こえる。1000mAhのバッテリーを搭載しているので、待受専用なら1週間程度は使えそうだ。

 まさにかゆいところに手が届くような端末なのに、もう一歩と思ってしまう部分が多い「Simple」。連絡先の使いづらさが改善されれば、小型の通話専用端末としてバリバリ活躍できそうだが……。残念ながら発売終了となってしまい、入手困難な状況だが、フリーテルの今後の製品に期待したい。