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実は顔認証もOK、指紋認証との合わせ技でNX越え?
【arrows Fit F-01H】
日沼諭史
(2015/10/29 06:00)
基本性能をその時のフラッグシップモデルより抑えた、ミドルレンジにクラス分けされるarrows Fit F-01H。セキュリティ機能についても、フラッグシップのarrows NXにはIris Passportという最新テクノロジーの虹彩認証があるのに対し、arrows Fitはそれより前の世代のARROWS NXで採用していた指紋認証が搭載されるなど、やや控えめな仕様になっている。
虹彩認証と指紋認証のどちらが優れているか、というのは、方式も違えばそれぞれに一長一短もあり、単純に比較することはできないのだけれど、指紋認証の方が実績は多く、どちらかというと安定した“枯れた”技術ではある。だからこそ、コストパフォーマンスを重視するミドルレンジ端末のarrows Fitに導入できたとも言える。
筆者がARROWS NXシリーズで長く使い続けてきた指紋認証ということもあって、端末背面のセンサーを指先でなぞるだけでロック解除できるのは、全く違和感がなく快適そのもの。サッとなぞればサッとホーム画面に切り替わってササッと操作できてしまう。ただ、初めて指紋認証搭載機を使う人でない限り、そこに新鮮さは感じにくい。ミドルレンジとはいえ、せっかく新しい世代の端末なのだから、もっと新しい体験はできないものだろうか……。
と思ったら、もちろんあったのだ。arrows FitはAndroid 5.1を採用しているため、Android 5.0から加わった新しいセキュリティ機能「Smart Lock」を利用できる。これはどういうものかというと、端末をスリープから復帰させた時のロック解除に、特定の端末(スマートウォッチなど)や特定の場所、特定の音声なんかをキーとして利用できるもの。例えば、自分のスマートウォッチが近くにある時や、自宅にいる時であれば、使用者本人である可能性が高いと判断されるので、ロック解除の認証を省略できるようになる。
で、Smart Lockでは、内蔵カメラを使った顔認識によるロック解除方法(トラステッドフェイス)もサポートされている。あくまでも顔全体がキーであり、瞳だけがキーとなる虹彩認証とは違うのだけれど、カメラ(センサー)を自分の顔に向けて認証するという点ではかなり似た使い勝手のものだ。
arrows Fitの場合、このトラステッドフェイスと指紋認証(とバックアップ用のパターン、暗証番号など)をほぼ同時に利用できるのが面白いところ。指紋認証を設定し、さらにSmart Lockも設定しておくと、顔認証でも、指紋認証でも、パターン認証や暗証番号でも、どの方法でもロックを解除できるのだ。
画面点灯直後は真っ先に顔認証が行われるので、端末を顔から適切な距離を保って持つ。ほとんど瞬間的に認証処理が行われ、画面のカギマークが解錠状態のグラフィックに変化する。その後、最後に画面を上方向にスワイプするだけでホーム画面が表示される。顔認証が失敗した時は、指紋認証を使うか、バックアップ用として設定したパターン認証や暗証番号を使ってロック解除できる。
しかしちょっぴり残念なことに、顔認証は顔の輪郭を捉えられないと認識できないので、やや手を伸ばし気味にして(顔から離れた場所で)端末を持たなければならず、使い勝手が良いとは言いがたい(端末のインカメラの画角によって使いやすさは変わるだろう)。顔認証後にさらに画面をスワイプするひと手間が必要な点も、arrows NXの虹彩認証とは異なっている。自然な構えで認証でき、しかも処理後に即座にホーム画面を表示するarrows NXの虹彩認証は、その点よく考えられているなあと関心してしまう。
が、それはともかく、arrows Fitでいちいち顔認証のために手を伸ばして構えるのが面倒なら、画面点灯直後から指紋センサーをなぞれば良い。顔認証と指紋認証の使い分け、あるいは顔認証しながら指紋認証も行う、いわば同時“ダブル認証”で、素早くロック解除が可能というわけ。
指先が濡れている時や、周囲が極端に暗い時のように、それぞれの認証方法が苦手とするシチュエーションでも、両方同時に使えるarrows Fitならサクッと使い始められるし、セキュリティも保たれる。これはけっこう気持ちがいい。ミドルレンジながらも最新端末らしい機能を実現できる“ダブル認証”は、arrows Fitを手に入れたらぜひ試してほしいテクニックだ。