みんなのケータイ

 「これ、本当にケータイなの? どうやって電話かけるの?」

 人に見せると必ず訊かれる端末がある。その名も「Heart 401AB」、その名の通り、ハート型のケータイ(PHS)だ。

 外見は女性向けとなっていて、キュートな感じに仕上がっている。男性の筆者にはちょっとハードルが高い。この端末の発表時の記事をみたとき、男性の筆者は、自分にはちょっと可愛すぎるなー、などと思ってあまり興味を持たなかったのだが、そのハートから棒状に変形するギミックをみて、「これは使ってみるべき端末だ……!」というマニア心を煽り立てられたのであった。すなわち、一目惚れしてしまったのだ。

 しかし、そして使ってみると、可愛い見た目とは裏腹に、想像を超えるキワモノだった……。

Heart 401AB
棒状に変形する

 とりあえず電源を入れるにも、どこが電源ボタンなのかもわからない。とりあえず変形させたりして遊んでいると、変形した断面の内側にボタンがあることに気付く。実はこれが電源ボタンだ。

変形中……
電源ボタンは断面に

 ハート型の状態では待受しかできない。操作するためにはクルっと変形させて棒状にする。棒の状態で上側にディスプレイ、下側にタッチセンサーが現れる。

 操作はタッチセンサーでジェスチャー入力する。ダイヤルするにはセンサー部をダブルタップして、ダイヤル画面で数字をひとつひとつトグル入力……。と、とにかく時間がかかる。アドレス帳を使うのよさそう。

見えづらいが、ディスプレイを搭載している
タッチセンサーはこの辺り

 当たり前だが、通話ができる。着信もする。その電話を受ける方法も面白い。着信した時はハートの形態から棒状に変形させると応答になる。電話を切るときはハートの形態に戻す。操作中などで棒状のままだと、着信したときに自動で応答してしまうから要注意だ。

ストラップフォンとのサイズ比較

 ちなみに、この端末を製造している「エイビット」というメーカー、実はウィルコム時代からPHSを扱い、異色の製品を数多くリリースしてきたメーカーだ。最近では、固定電話型で、固定電話も使えるPHS「イエデンワ2 WX05A」や、フリスクサイズでメールも打てる小型PHS「ストラップフォン2 WX06A」、固定回線に接続して迷惑電話をシャットアウトするPHSモジュール「迷惑電話チェッカー WX07A」など、一癖も二癖もある端末を世に出している。

 一風変わっていても、「意外と実用的かも」と思わせる製品を作るエイビット。ただし今回は、遊び心をのほうに全力を尽くしているみたいだ。

 半ば衝動買いしてしまったこの端末、スマートフォンでもかけ放題が使える、という状況では実用できる場面がほとんどやってこず、持て余してしまっている。ストラップホールがついてので、本体が小柄なので、ひもなどをつければ「通話もできるストラップとして」使えそうだなーとか考えてたり。

 目立つところにつけておけば、「これなに?」と必ず訊かれる。人に見せて話題になる、そして通話もできる二重の意味で「話せる」ケータイだ。