みんなのケータイ
ミャンマーでプリペイドSIM購入に挑戦
島田純
(2014/11/4 06:00)
「東南アジア最後のフロンティア」とも呼ばれるミャンマーのヤンゴン空港で、データ通信に対応したプリペイドSIMカードを購入、SIMフリーのスマートフォンを使って、ミャンマーのモバイルデータ通信を体験してみました。
2014年10月末現在、ミャンマーではMPT、Ooredoo、Telenorの3社が携帯電話事業を展開しており、筆者がヤンゴンを訪問した際は、MPTとOoredooのプリペイドSIMカードがヤンゴン空港およびヤンゴン市内にて販売されていました。
Telenorについては、残念ながら筆者が訪問した10月中旬の時点ではヤンゴン市内でSIMカードが販売されていませんでしたが、ヤンゴン空港内にはTelenorのカウンターが設置されていたほか、市内の携帯電話ショップなどでもTelenorのSIMカード取扱いの準備が進められており、街中でTelnorのロゴを頻繁に見かけるなど、間もなくTelenorがヤンゴン市内で正式にサービス開始されることが実感できました。
プリペイドSIMカードに話を戻しましょう。MPTのプリペイドSIMカードは、1500チャット(約150円)で販売されており、データ通信を利用する場合はデータ通信用のアクティベーションに1万チャット(約1000円)が別途必要となります。
MPTのプリペイドSIMでデータ通信を有効にするためには、SMSの送信などによってデータ通信を有効にする必要があるほか、APNの設定が必要です。空港カウンターにてSIMカードを購入する場合、これらの手続や設定は空港カウンターのスタッフに代行してもらうことが可能です。
MPTのデータ通信料金は、定額制のパケットパックなどは用意されておらず、3G(W-CDMAまたはCDMA)でデータ通信を利用すると、1分あたり4チャット、GSMでデータ通信を利用した場合は1分あたり2チャットの通信料がプリペイドSIMの残高から消費されます。
時間制でのインターネット利用は、PCと接続して利用するデータ通信用モデムなどで「必要なときだけデータ通信を利用する」という使い方には適していますが、スマートフォンの利用で常時データ通信を利用するのには適しているとは言い難く、MPTのプリペイドSIMを利用する場合は「データ通信を使わない場合はモバイルデータ通信を無効にする」という使い方をすると必要があります。
一方で、OoredooのプリペイドSIMでは、データ通信用のパッケージも用意されています。パッケージの料金は、有効期間1週間で通信量200MBのプランが3000チャット(約300円)などとなっており、スマートフォンからSNSなどを利用する場合はMPTよりも使いやすいサービスと言えるでしょう。
ただし、MPTもOoredooもヤンゴン市内の通信状況は快適とは言えませんでした。市内の中心部では屋外で電波状況が良くてもデータ通信が非常に低速で、Twitterなどを更新するのもストレスを感じました。
電波が圏外になることが無くても、データ通信が突如無効になることもあり、ヤンゴン市内ではモバイルインターネットはほとんど使いものにならなかった。というのが正直な印象で、ミャンマーのモバイル通信環境は東南アジアの近隣諸国と比べても、まだまだ改善の余地が大きく残されています。
それでも、ヤンゴン市内では地元の人々がスマートフォンをあまりにも当たり前に使っているので「ミャンマーの携帯電話普及率は10%」という認識でヤンゴン市内を訪問すると、大きな衝撃を受けるものと思います。
ヤンゴン市内で使われているスマートフォンを見てみると、最も多いのは中国のHuawei製のスマートフォンで、それを表すかのように、街中ではHuaweiの広告を頻繁に目にしました。
ヤンゴン市内ではHuawei以外にも、携帯電話メーカーや通信事業者など、携帯電話関連の会社の広告が街中に数多く掲載されており、ミャンマーでこれから携帯電話関連の市場が成長していくことが実感できます。
滞在中のモバイルインターネット環境は、データ通信速度が遅かったり安定しなかったりしたことでストレスを感じることが多かったミャンマーのモバイルデータ通信ですが、ヤンゴン空港ではMPTのLTEネットワークを検出することに成功。残念ながら接続することはできませんでしたが、LTE提供開始に向けた準備はミャンマーでも進められています。
MPTによるLTEの正式な開始予定などはアナウンスされていませんが、より高速なデータ通信方式であるLTEの導入も含めて、3社体制のもとで今後の競争とサービス改善に期待ができそうです。
なお、ミャンマーの通信事業者MPTは、日本のKDDIと提携することを発表。提携の発表後、KDDIは日本の通信事業者では初となる、ミャンマーでのデータローミングを開始するなど、従来は外国人がデータ通信を利用することが難しかったミャンマーの通信事情は大きな変化を続けています。