みんなのケータイ

 5月29日に記事を掲載したが、クアルコムからSnapdragon搭載のスマートフォンに向けた省電力化アプリ「Snapdragon BatteryGuru」の配信が開始された。筆者の「GALAXY S III Progre SCL21」はSnapdragonを搭載する端末なので、さっそくインストールしてみた。

 アプリを導入する前に気になったのは名前。グール? (悪巧みの)グル? などと前向きとは思えない意味しか思いつかなかったのだが、「Guru」で検索すると、Wikipediaには「グル、サンスクリット語で指導者、教師、尊敬すべき人物などを意味する単語」とある。なるほど、インテリジェントな省電力化に導いてくれるアプリ向けのネーミングと言えそうだ。

 その「バッテリー導師」だが、インストールした直後から効果を発揮するわけではなく、パターン学習のために2~4日間の時間が必要。その間もバックグラウンドで動作するが、省電力化が開始されるのは初期の学習が終わった後からだ。筆者はアプリをインストールした後、2日後に学習が終わると表示された。

 パターンを学習して設定を変更する機能はこのアプリが初めてではなく、例えばモトローラのスマートフォンにも、過去に同種の機能が搭載されている。とはいえ、モバイルデバイスの中心といえるCPUやチップセットを開発・提供するクアルコムが作ったアプリということで、否が応にも期待が高まるというものだ。

 初期の学習が終わり、省電力化が開始されると、アプリの設定画面には省電力化の効果を表すバッテリーメーターや、端末の一部の状態を表すステータスウィンドウが表示されるが、サンプル不足なのか、省電力化の適用・開始直後ではグレーアウトされて数値が表示されず、1日後にまた見て下さいと案内された。日本語化されたユーザーインターフェイスをはじめ、各文言やヘルプテキストも適切で分かりやすく、かなり丁寧に作られている印象だ。

筆者の端末では2日間で初期の学習が終わった。パターン学習自体は継続される
サンプルが不足しているのか、バッテリーメーターなどがまだ表示されていない。同期を行うアプリは、個別に同期のタイミングを指定することもできる

 キモになる省電力化だが、Wi-Fiのオン・オフと、アプリの同期の制御という2つの動作が中心になっている。

 Wi-Fiについては、すでに実用化されている例もあるが、一部の位置情報などを加味しながら、パターンから判断して不要な場所ではオフにするという挙動だ。パターン学習の結果から外れてWi-Fiを使いたい時は手動でオンにすることになるが、こうした操作も、継続的に行われているパターン学習の対象になる。Wi-Fiについて詳細な設定項目はなく、「BatteryGuru」による制御を許可する・しないという設定だけだ。

 アプリの同期は、同期を行うアプリを監視した上で、学習パターンに従って同期の頻度の制御を行う。各同期アプリは、任意に設定しない限り、同期をオフにするといった挙動にはならず、あくまで同期の頻度を下げることで最適化するというものだ。

 こうしたように、ひと通りの設定はパターン学習の結果でフォローされており、面倒な設定は不要。同期についても、オフにするなどの極端な挙動ではないので、アプリにおまかせでも安心感がある。ちなみに、充電中は「BatteryGuru」の省電力化設定や同期管理機能は一時的にオフになる仕組みだ。

 一方、設定画面にある「非アクティブ時の電力節約」という項目は、手動で選択する設定のようだ。初期学習が終わった段階では(この設定による)「電力の節約を行わない」が選択されていた。ほかに選択できる項目は「モバイルデータ通信をオフにする」「すべてのアプリの同期を停止する」という、このアプリにしては強力な内容だ。

 「BatteryGuru」では、パターン学習において、まったく端末を使わない時間帯が検出される場合があるとしており、そうした時間帯がある場合、この「非アクティブ時の電力節約」の設定内容が反映されるという。これは、主に睡眠時が該当すると思われるが、同期をオフにする設定にしていても、パターン学習に従い、(ユーザーが起床して使いはじめるなど)端末がアクティブになると思われる時間の少し前に、同期の設定が元に戻る。

 パターン学習の範囲が広範なため、すぐに効果てきめんとはいかないかもしれないが、使い続ければ続けるほど、自分に最適化された効果を得られそうだ。仮に大きな問題に直面した場合はまた報告したい。