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パナソニック「ワイヤレスディスプレイアダプター」

 ELUGA X P-02Eの目玉機能の1つといえば、Miracast。端末の画面に表示している内容をそのままワイヤレスで伝送して、テレビなどの大画面に映せる仕組みだ。Xperia Zシリーズのスマートフォンやタブレットなど、Miracast対応端末は他にもいくつかあるけれど、パナソニックのELUGA Xは、同社から発売予定のMiracastアダプタ「ワイヤレスディスプレイアダプター」と最も相性よく使えるのがよいところ。映像の出力先はパナソニックのテレビでなければいけない、ということもなく、HDMI入力端子を備えている外部モニターやテレビなどで汎用的に使えるのも魅力だ。

 ワイヤレスディスプレイアダプターを見たときの第一印象は、小さいの一言。一昔前のiPod nanoみたいな形状で、大画面テレビの脇に置けば全く目立たなくなるようなサイズだ。付属のUSBケーブルとACアダプタで電源を取り、別売のHDMIケーブルでテレビとつなげることになるが、本体よりむしろHDMIケーブルの方がかさばる。HDMIケーブルを買うなら、できるだけ短いものを選ぶとよさそうだ。

ELUGA X P-2Eと比べると、面積は3分の1くらい
外部モニターやテレビとはHDMIで接続する。左側に見える丸いものがWPSボタン
反対側には電源供給用のMicro USB端子がある
HDMIケーブルが長いと収まりが悪い。短めを選ぶのが吉だ

 電源ケーブルを接続するとワイヤレスディスプレイアダプターが起動し、およそ40秒余りでELUGA Xからの接続待ち状態になる。次にELUGA Xでステータスバーから通知パネルを呼び出し、その中にある“Miracast”のボタンをオン。あとは画面の指示に従い、初回だけワイヤレスディスプレイアダプターの側面にある丸いWPSボタンを押せば、Wi-Fi Directで接続してすぐにELUGA Xの画面内容がテレビに映し出される。次回以降はELUGA XでMiracastをオンにすれば、だいたい20秒弱でテレビに画面表示されるので、待ち時間のストレスはほとんどない。

準備ができると、テレビにはELUGA Xでの設定手順が表示される
まずはMiracastボタンをオン
Miracastは屋外で使用してはいけない
自動でデバイスが検索されるので、ワイヤレスディスプレイアダプターが見つかったら選択する
残念ながらWi-Fiを使ったインターネット接続との併用はできない
最後にワイヤレスディスプレイアダプター本体側面にあるWPSボタンをプッシュすれば接続完了だ

 テレビ画面には、端末で操作した内容が逐一映し出される。アクセスしているWebサイトのほか、標準の画像ビューワー「ピクチャアルバム」などで選んだ写真と動画、ワンセグやNOTTV、さらにはドコモの提供するdビデオの動画コンテンツも表示可能。音声はもちろんテレビ側のスピーカーで再生される。これまでHDMIケーブル(とMicro USBの変換アダプタ)をわざわざ持ち出して接続していたわずらわしさを考えると、気が向いたときに手軽にさっと大画面に映し出せるのは本当に簡単で便利。DLNAのように写真や動画などのメディアデータに限定した仕組みではないので使い道も多いうえに、設定手順がはるかにシンプルなのもありがたい。

スマートフォンで撮影した写真をテレビに出力してみたところ
動画をテレビで再生。アプリによって端末の画面と同時表示したり、テレビ側のみ表示したりと、挙動は異なる
Miracast非対応のアプリを使用しているときは、このようにメッセージのみ表示される

 ただし、表示できるのはプリインストールアプリの画面のみで、Google Play Storeからダウンロードできる一般アプリはMiracastには対応しない。とはいえ、テレビなどの大画面に出力する用途としては、他の人と一緒に写真や動画を見たり、Webブラウジングしたり、出かける前に地図を確認したり、というのがメインになると思う。これらはプリインストールアプリですべてまかなえるし、他の一般アプリを表示する必要に迫られることもあまりなさそうなので、大きな問題ではないだろう。

 ゲームを大画面でプレイしたい、という人もいるかもしれない。が、もしゲームに対応していたとしても、Wi-Fiで通信しているため実際の操作からわずかにタイムラグが発生する点がネックになる。データ伝送時は仕様上H.264形式で非可逆圧縮されるため、もともとゲームには向いていない仕組みであるとも言える。どうしてもプリインストール以外のアプリ画面を映したいときは、ELUGA XがMHLに対応していないため、「Android Screen Monitor」を利用するなど、ひと工夫する必要がある。

 ちなみに、ELUGA XのディスプレイはフルHDだが、ワイヤレスディスプレイアダプターの仕様上、出力した映像はHD画質(720p)になる。このあたりも気になる人が多いかもしれない。ただ実際に試してみたところでは、手持ちのフルHD対応のPC用モニターでは時々解像感が失われているように感じることがあったものの、テレビに映して見る分には気にならなかった。もちろんモニターやテレビの性能によるところもあるだろうし、画質と手軽さのバランスをどう捉えるかによっても評価が変わる可能性はあるけれど、少なくとも個人的には不満は感じなかった。

 1つ残念なところを挙げるとすれば、Wi-Fi Directを用いて1対1で通信していることから、Miracast利用時は3G/LTEでしかインターネットにアクセスできないところ。他のインターネットに接続している機器(PCなど)とBluetoothでテザリングする、という手もあるが、ELUGA XのBluetoothはネット接続するためのプロファイルを備えていないようだ。この場合、YouTubeのようなストリーミング形式で配信している動画サイトではパケット通信になってしまうことに注意。ドコモのdビデオのようにストリーミングとダウンロードのどちらかを選べるサービスであれば、無線LANで動画コンテンツをダウンロードした後にMiracastをオンにするとよいだろう。

【お詫びと訂正】
 初出時、ELUGA X P-02EがMHL規格に対応しているように読める表現がございましたが、同機種はMHLには対応しておりません。お詫びして訂正いたします。