iPadはビューア、iPhoneはエディタという使い分け

2011年6月6日 06:00
(白根雅彦)

 最近、共著であるが、インプレスジャパン刊の「できる」シリーズで、スマートフォンの入門書を書かせてもらっている。機種ごとに最適化した書籍として出させてもらっているので、いまのような端末発売シーズンには、毎週のように締め切りがあり、毎週のように「著者校」という作業が行なっている。

 著者校というのは、最終段階に近い試し刷り(いわゆるゲラ)を著者がチェックするという作業だ。スケジュールなどにもよるが、だいたいは編集部の会議室に陣取り、赤ボールペンを片手に、A4紙に印刷されたゲラへとひたすら赤字で訂正を書き込む、という手順で行なっている。わりとアナログだ。

 そうは言っても、普通、著者校作業にはノートパソコンを持ち込む。原稿の事実確認や追加・リライトに使うからだ。しかし、わたしはあえてノートパソコンではなく、iPad 2とiPhone 4を使っている。この組み合わせ、意外と著者校作業には相性が良いのだ。

 Webに掲載されている情報確認には、iPad 2のブラウザを使う。iPad 2の標準ブラウザはFlashに対応しないなど、パソコンに劣る部分もあるが、しかし著者校作業で不足を感じることはほとんどない。取扱説明書など容量の大きいPDFも、汎用ビューアアプリ「GoodReader」があれば、快適にダウンロードして閲覧できる。

 タブレットというのも、こうした作業ではなかなか便利だったりする。著者校は数人の著者で一緒にやることも多いが、何か相談ごとがあるとき、iPad 2ならほかの人と回し読みもしやすい。場所も取らないので、ゲラと一緒に卓上に並べやすい。

 また、iPad 2はバッテリーの持ちも良いので、電源を繋がないでも数時間の著者校作業でバッテリー切れになることもない。スリープ状態からの復帰も速いので、必要なときにすぐにブラウザなりを使うことができる。

 しかし、原稿の追加やリライトには、iPad 2ではなくiPhone 4+Bluetoothキーボード+ATOK Padを使っている。この組み合わせについては前回も書いたが、日本語入力時の変換精度はATOK Padの方が高いし、ソフトウェアキーボードは使いにくいし、テキストを書くだけならば大きな画面も不要だ。iPad 2はビューアーとしては優秀だが、エディタとしてはiPhone 4の方が優れた面が多い。

 ただ実際のところ、iPad 2とiPhone 4、そしてBluetoothキーボードを合わせると、重さ的に最小クラスのノートパソコンと大差がない。だったらノートパソコンを持ち込んだ方が手っ取り早い、とも思ったりもするが、しかし、タブレットならではの便利なポイントもある。とりあえず当面は、この組み合わせでやっていくつもりだ。タブレットにゲラを表示し、そこに赤字を書き込んでほかの人と共有できる、なんていう使いやすいアプリがあれば最高なのだけど……いや、そこは紙でやっても変わらないか。