みんなのケータイ

中国渡航で感じたテクノロジーの進展、厳格な本人確認で“デジタルデバイド”を実感

ずらりと並ぶ宅配ロッカー、サービスが利用できればすごく便利なはず

 先日、中国本土に出かける機会がありました。香港やマカオに訪れたことは何度もあるのですが、中国本土は初体験。日本はもちろん、香港やマカオとは勝手が違うことも多かったです。

 たとえば、決済手段もその1つ。香港では、どこでもクレジットカードが使えて、香港ドルを使うシーンは交通機関などで使うオクトパス(八達通)カードへのチャージが中心です。そのオクトパスカードも、iPhoneのWalletに対応したので、ほとんど現金を使わずに過ごせます。

 中国本土でも、現金はあまり使われておらず。というのも、ご存じの方も多いAlipayやWeChat PayといったQRコード決済が普及しているということもありますが、なにより偽造紙幣(いわゆる偽札)が相当流通しているとのこと。現地のATMでも出てくることがあるようで、同行した方も両替所で「偽札にはくれぐれも注意するように」と声かけがあったほどです。

 また、中国本土のコンビニなどではあまりクレジットカードが使えない様子。コンビニではセルフレジがメインに置かれており、そのセルフレジにも画面とコードリーダーがあるだけ。決済方法は、QRコード決済がメインとなっている様子がわかります。

 現地のシャオミストアでも同様。店員さんのスマートフォンでQRコードを読み取るだけで購入でき、レジカウンターも見当たりません。クレジットカード決済に対応しているようですが、多くの方はQRコード決済でやりとりしていたようです。

さまざまな電気製品を展開するシャオミ、そのシャオミストアでもQRコード決済がメインのようでした

アカウントが停止されて途方に暮れる

 筆者もQRコード決済で、ホテル近くのコンビニで買物しようとしましたが、クレジットカードの二要素認証の対象となってしまい、認証自体は済ませたものの、“決済に失敗した”状況になりました。その後、数回試しましたがうまくいかず、ついにはアカウント自体が停止されることに。

 停止解除には、本人確認が必要とのことで、外国人でも利用できるか心配しましたが、パスポートで認証できるようで、画像をアップロードして認証を試みました。ただ、認証には1日かかるとのこと。

 コンビニの店員さんに「クレジットカードは使えるか?」と聞くと「No」という回答だったので、何も購入できずに店舗を後にしました。

 結局、次の日も利用できませんでしたが、事前に別のQRコード決済サービスのアカウントを作成していたので、それを利用し買物できました。

 現地の決済サービスを外国人でも利用できるのはすごくありがたいのですが、一方でアカウントロックのリスクがあったり、決済時にSMS認証が必要だったりするので、可能であれば複数サービスを登録しておくなど、リスクヘッジが必要だと感じました。

QRコード決済は、スマートフォン1つで買物ができる便利なサービスです。使えればの話ですが

本人確認の敷居が高いネットサービス

 日本のネットサービスの多くは、本人確認の必要なく利用できますが、中国のネットサービスでは、本人確認を求められるケースが多々あります。

 たとえば、都市部にものすごい数が設置されている宅配ロッカー。ECサイトの中には、注文から数時間で届けられるものもあり、ECサイトのアプリから解錠操作ができるほか、ユーザーのスマートフォンがロッカーに近づいただけで自動で解錠されるものもあり、市民にも身近な存在です。

 筆者も、今回の渡航で忘れたHDMIケーブルを購入しようとしたのですが、多くのECサイトで本人確認が求められました。そして、その本人確認には、中国市民に発行される身分証が必要で、筆者には利用できないものでした。

筆者が宿泊したホテルのエントランスにも設置されていた宅配ロッカー
求められた本人確認書類は、市民向けに発行されているもので、外国人には利用が難しいものでした

 日本では身近ではない技術やサービスに感動する一方、技術に追いつけない現状を体験し、年齢や知識ではない要因によるデジタルデバイド(情報格差)を身をもって体験した筆者でした。