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「ギガ」の売買は今ひとつ? メルカリモバイルからJALモバイルへMNP

【iPhone 16 Pro Max】

 NTTドコモとauの新料金プランが発表され、6月第一週から受付を開始。適用は7月からという人も多いけど、改めて携帯電話の料金プランが注目を集めている。

 一方、MVNO各社もそれぞれに料金プランやサービスを工夫しながら、個性を打ち出し、存在感を増しつつある。

 そんなMVNO市場に今年3月に参入したのがオンラインマーケットプレイス「メルカリ」が運営する「メルカリモバイル」。

 ちょうどスペイン・バルセロナでMWC 2025が開催されているタイミングで、本誌をはじめ、モバイル媒体の記者やライター諸氏が日本に不在という中で発表会開催だったこともあり、一部の関係者の間では「このタイミングって、ちょっと空気読めてない」と厳しい指摘を受けていた。

 筆者は幸い、バルセロナに行ってなかったものの、スケジュールの都合もあって、オンラインで出席。とりあえず、試してみようと思い、発表時に即申し込んでみた。

メルカリモバイルは当初、20GBプランで申し込んだ。電話番号は新規発行を選んだ
本人確認はマイナンバーカードを利用。iPhone 16 Pro Maxでも問題なく、読み取ることができた

 契約したデータ通信量である「ギガ」を売買するというコンセプトは、フリーマーケットのサービスを提供するメルカリらしいアプローチ。mineoが提供する「フリータンク」のように、ユーザー同士がデータ通信量をシェアし合うしくみとは対照的。

 メルカリモバイルの料金プランは、月に利用できるデータ通信量が20GB(月額2390円)と2GB(月額990円)があり、1GBあたり200円から売りに出せる。

 ただし、データ通信量のくり越しがないため、1カ月のうちに、足りなくなったら、ギガを買い、余ったら、ギガを売ることを考える必要がある。もちろん、余ったままで何もしなくてもかまわないけど……。

 メルカリモバイルはサービス開始当初、新規契約時のキャンペーンがなく、申し込み時には契約事務手数料として、3300円を支払う必要があった。

 ネット上で「新規もMNPも特典がない?」「契約事務手数料のキャンペーンはないの?」といった指摘を受けてか、3月19日からは20GBプラン限定で、12000ポイント(メルカリポイント)が付与されるキャンペーンを実施。

 ただ、このキャンペーンは5月31日契約完了分までで、現在は登録手数料(税抜)相当の3000ポイントを付与するキャンペーンを6月16日まで実施中。しかしまあ、真っ先に申し込んだ人が何もメリットがないってのは、どうなんですかねぇ。

メルカリモバイル申し込み時の支払い情報。契約事務手数料の3300円はポイントで還元するなどの配慮がサービス開始初日から欲しかったなぁ
eSIMをアクティベートした後、プロファイルのインストールが必要だった

 肝心の「ギガ」の売買はどうなのか。当初、どれくらい売れるかを試したかったので、20GBプランを契約し、「2GB 200円」「4GB 200円」など、いくつかに分けて売り出してみたものの、正直なところ、さっぱり売れない(笑)。

 最後はまとめて売り出してみたんだけど、そもそも月の下旬に10GB以上を買っても使い切れないってのもあり、結局、売れない。他のユーザーが売り出しているのを見ても反応は今ひとつ。

 メルカリの月間利用者は約2200万人と言われているけど、「ギガ」の売買に参加できるのは当然のことながら、メルカリモバイルを契約した人のみ。「ギガ」を買う側の人には良さそうだけど、「ギガ」を売る側から見ると、ユーザー数が少ない現状では「売れ行きは芳しくない」というのが正直な感想。

 そんな中、メルカリは4月25日までのメルカリモバイルの利用動向を公開。購入事例では「45GBまで買っても1890円」「15GBまで買っても1190円」、出品事例では「ギガを売って、通信費が760円黒字に」「10GB売れて、1490円に」といった例が挙げられていたけど、実感とはかけ離れている印象しかなかった。

 その後、料金プランを2GBに切り替え、少し様子を見たけど、あまり売買が活況には見えなかった。結局のところ、母数(メルカリモバイルのユーザー数)がもっと増えない限り、今以上に売買が活発になりそうにないため、ひとまず、撤退することにして、他社にMNPで移行することにした。

いろいろ売り出してみたけど、反応は今ひとつなので、最後は2GBプランに変更して、月初から売り出したが……

 MNPの移行先をどうするか。これまでもMVNO各社は試してきたけど、今回はメルカリモバイルに近いタイミングでサービスを開始した「JALモバイル」を選ぶことにした。個人的には「青組」(ANA)をメインとしているけど、路線によっては「赤組」(JAL)にも搭乗するので、マイルが貯まるのはうれしい。

 ちなみに、JALはかつてKDDIのMVNOサービスとして、インフォニックスという会社と組んで、「JALマイルフォン」というサービスを提供していたが、2013年にサービスを終了したため、12年ぶりの「復活」とも言える。

メルカリモバイルからMNPで「JALモバイル」に転出。JALモバイルはIIJmioが提供するため、SIMカードや書類はIIJmioのパッケージで送られてくる

 JALモバイルのサービス内容は、本誌記事やJALのWebページを参照して欲しいけど、毎月の利用額に応じて、マイルが貯まったり、JALマイレージバンクのLifeStatusポイントが貯まるなどのメリットがある。

 サービスを提供するのはIIJmioなので、基本仕様はIIJmioに準じていて、回線はNTTドコモ網とau網を選べ、余ったデータ通信量を翌月にくり越したり、家族間でデータシェアができるなどの特典も用意されている。

 まったくの余談だけど、競合のANAもMVNOサービスを提供していたことがある。2016年にSBパートナーズと提携し、ソフトバンクの回線を利用した「ANA Phone」を提供したり、So-net(NUROモバイル)と組んで、「So-net MILEAGE SIM」を提供していた。

 筆者も「So-net MILEAGE SIM」を契約していたけど、2017年12月31日をもって、新規受付を終了している。

 メルカリモバイルからのMNPでの移行については、メルカリモバイルもIIJmioもMNPワンストップ方式に対応しているので、MNP予約番号などを発行することなく、JALモバイルのWebページから申し込むことができた。

JALモバイル(IIJmio)へMNPすることにした。幸い、メルカリモバイルもIIJmioもMNPワンストップサービス対応なので、MNP予約番号の発行などもなく、簡単に手続きができた

 以前、楽天モバイル(MVNO)からイオンモバイルにMNPするときにトラブったときのことを考えると、極めてスムーズ。今のところ、MNPワンストップ方式に対応した携帯電話会社及びMVNOは、21社27ブランドだそうですが、モバイル市場の活性化のためにももっと積極的にプッシュして欲しいところです。 > 総務省さん

 メルカリモバイルはeSIMのみの提供だったけど、JALモバイルではeSIMとnanoSIMカードが選べる。今回は貯まるマイルのことも考え、ちょっと多めの10GBプランを契約し、SIMカードもnanoSIMカードを選んだ。

 申し込みから数日後にはIIJmioのパッケージでSIMカードが届き、IIJmioオンデマンド開通センターに電話をかけて、移行完了。ちなみに、IIJmioオンデマンド開通センターは年中無休だけど、利用可能な時間帯が9時~19時なので、昼間が忙しい人はちょっと注意かも。

 ということで、メルカリモバイルはひと区切り付けることにしたけど、「ギガを売買」というしくみは面白いので、もう少しユーザー数が増えてから、再チャレンジを検討しますかね。

 モバイル市場の実状をしっかりと踏まえたアプローチと積極的なアピールを期待したいところです。 > メルカリモバイルさん

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