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「Googleアシスタント」の「通訳モード」はどう頑張っても「Gemini」では使えなかった

 グーグルから新たに発売されたスマートフォン「Pixel 9」シリーズは、グーグルが近年力を入れているAI技術をふんだんに取り入れて機能強化がなされています。その1つとして標準の音声アシスタントが、従来の「Googleアシスタント」から「Gemini」に変更されていることが、特徴の1つとして打ち出されているようです。

 Geminiは生成AIの技術を取り入れていることもあって、対話しながら調べ物をしたり、Gmailなどと連携したりできるなど、確かに多くの点でGoogleアシスタントより便利になっていると感じるのですが、一方でGeminiになって利用できない機能もあるようで、その代表例が「通訳モード」です。

 これはGoogleアシスタントに2019年から追加されている、話した内容を別の言語に通訳してくれる機能。Googleアシスタントに「日本語から英語に翻訳して」などと話しかけて呼び出すことができ、最近では「Pixel Fold」などの折り畳み端末で、折り曲げた状態で外側のディスプレイに通訳した内容を表示できる「デュアルスクリーン通訳モード」が利用できるようになっています。

Pixelシリーズの特徴の1つとなっていた、「Googleアシスタント」の「通訳モード」。最近では「Pixel Fold」シリーズの外側のディスプレイに通訳した内容を表示できる仕組みなども用意され、便利に進化していた

 ですがその通訳モード、実は音声アシスタントをGeminiにすると呼び出すことができません。実際Geminiに「日本語から英語に翻訳して」と話しかけると、翻訳したい文章を入力するよう求めてくるのみ。通訳モードは呼び出せません。

「Gemini」に「日本語から英語に翻訳して」と話しかけると、通訳モードは呼び出されずGemini自身が翻訳するので日本語を入力するよう求めてくる

 もちろん音声アシスタントをGoogleアシスタントに変更すれば通訳モードは呼び出せるのですが、その場合Geminiは使えません。なんとも不便な仕様になってしまったな……と思い、何とか解決方法はないかと色々調べてみたところ、通訳モードを直接呼び出せるウィジェットを作成できることが判明しました。

 なので、あらかじめ、Googleアシスタントから通訳モードのウィジェットを作成しておき、音声アシスタントをGeminiに変更した後にホーム画面からウィジェットをタップすれば、通訳モードが呼び出せるのでは……と考えた訳です。

通訳モードを頻繁に使用する人に向けてか、ホーム画面から直接呼び出せるウィジェットを設置できる仕組みが用意されている

そこで早速実践してみたところ、残念ながら結果はNG。ウィジェットをタップすると「Geminiはこの機能に対応していません」と表示されるのみで、通訳モードを呼び出すことはできませんでした。

 これはあくまで筆者の推測に過ぎませんが、通訳モード自体がGoolgeアシスタントと一体になっている一方、同時に2つの音声アシスタントは利用できない仕組みであることから、このような結果になってしまうのではないかと考えられます。

音声アシスタントをGeminiにして通訳モードのウィジェットをタップしたところ、「Geminiはこの機能に対応していません」と冷たい一言が。もちろん通訳モードは起動できず

 では、音声アシスタントをGeminiにした状態で、通訳モードを使いたい人はどうすればいいのかといいますと、当面は「Google翻訳」を代替にするというのが解決策となりそうです。Google翻訳には通訳モードのように対話での翻訳に対応した「会話モード」が用意されているのに加え、折り畳み端末の外側のディスプレイに翻訳結果を表示できる機能も追加されているので、ほぼ代替が可能です。

 ただ、通訳モードはオフラインでも翻訳ができる仕組みも用意されているのに対し、Google翻訳の会話モードは必ずクラウドを使って処理する仕組みなので、インターネット接続が不可欠です。将来的にGoogle翻訳の会話モードがオンデバイスでの処理に対応すれば、問題の大半は解消しそうな感もありますが、Google翻訳は汎用アプリということもあり、グーグルがそうした対応を取るかどうかは不透明。Pixelシリーズで通訳モードを使いたい人には、しばらく悩ましい日々が続くことになりそうです。

実は「Google翻訳」の会話モードでも通訳モードとほぼ同じ使い方ができ、折り畳み端末の外側のディスプレイに通訳内容を表示することも可能。ただし翻訳は全てクラウド経由で処理するのでインターネット接続が必須だ