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新居の照明の大半をスマート化してスイッチ操作を(ほぼ)不要にした

LDKは天井周囲に作られたコーブ照明を使っている。さらに明るさが必要なときだけ中央のダウンライトを使うイメージだ

 2023年1月に完成した筆者の注文住宅では、照明まわりも筆者がいろいろ口を出してデザインした。照明計画は部屋の明るさ、見た目、使い勝手などに影響するので、どうデザインするかは、施主とインテリアコーディネーターの腕の見せ所だ。

あまり使わないスイッチやコントローラーは普段は目に付かない、台所裏のパントリー内に設置している

 筆者の新居では多くの照明について、「スマート電球などで壁面のスイッチを操作しないで済むこと」を優先してデザインした。

 筆者はApple Watchを常時着用し、スマートスピーカーも使っているので、多くの場合、照明の操作は壁面スイッチよりもスマート化されているほうが便利なのだ。使わない壁面スイッチはあえて操作しにくくても良いから目立たない位置に配置したりもしている。

よくあるダウンライト。明るいし見栄えも良いがスマート化しにくいなどの欠点はある

 よくある天井に埋め込む照明、いわゆるダウンライトは、スマート化が難しい。ダウンライトには厚みのない「GX53-1」という規格のLED照明が使われることが多いが、このGX53-1規格にはスマート対応製品が現状存在しない(少なくとも筆者は知らない)。

 そうなると壁面スイッチで操作するしかないのだが、最近はスマート化された壁面スイッチがある。パナソニックの「リンクプラス」という製品シリーズだ。

リンクプラスのスイッチ。Bluetoothでスマホにつながり、無線アダプタがあれば音声アシスタントやスマートスピーカーとも連携する

 ただ、昨今の半導体不足によりリンクプラスは品薄で、筆者の家を建てたタイミングだと、ハウスメーカー側で「1軒あたり1個」のみ、という謎の個数制限が設けられていた。

 そこで、どうしてもダウンライトを使いたかったLDKの2系統の照明にリンクプラスを採用しつつ、ほかの照明についても、将来的にリンクプラスに換装しやすいよう、ほぼすべての壁面スイッチを1パネルあたり2つまでにしている。

 しかしこのリンクプラス、導入したものの、あまり使っていない。LDKは壁際だけ下がり天井にして、そこにコーブ照明を入れたのだが、そちらをメイン照明として使っているからだ。

コーブ照明の中身。買った家具の梱包のベニヤ板を再利用し、そこにLEDテープを貼り付けるという不格好な素人工事だが、身長2.4mとかないと見えない位置なので問題なし

 コーブ照明には、NanoleafのLightstripという製品を自分で設置した。このLightstripは専用のベースステーションがなく、別途、対応するハブを用意する必要がある。

 筆者が買ったのはThread規格対応バージョンで(現在はMatter対応バージョンが登場している)、ThreadのハブとしてはApple TV 4Kを設定した。Thread規格を使うのは初めてだが、設定は簡単で接続安定性も良好だ。コーブ照明は自体の部屋全体が光るような柔らかい明るさも気に入っている。

寝室もダクトレール。照明を下に向けると眩しいのでフレキシブルな照明器具で間接照明っぽくしている

 そのほかの場所では、ダクトレールを多用している。ダクトレール自体にはスマート機能はないが、照明の種類や数、位置を柔軟に変更しやすいというメリットがある。

 ダクトレールに汎用電球を使うスポットライト器具などを設置し、スマートLED電球を使えば、スマホでコントロールできる、というわけだ。

カウンターキッチンの照明はペンダントライト器具に裸電球っぽいLED電球を採用。この電球もIKEAのトロードフリシリーズ

 ダクトレールは標準的なスポットライトを配置するのが安上がりだが、見た目的に事務所や倉庫っぽくなりがちだ。

 そこで今回筆者はIKEAの「トロードフリ」というスマート照明シリーズを採用した。このトロードフリ、比較的安価という特徴もあるが、電球の種類が豊富という特徴もある。また、センサーやリモコンなどのアクセサリーも豊富で、筆者もリモコンは多用している。

こちらは和室コーナー。ここもペンダントライトにトロードフリのでっかい球形LEDを付けている。光量不足を補うために左右に1個ずつトロードフリの普通の電球も追加

 キッチンカウンターと和室では、ダクトレールからペンダントライト風に吊り下げるタイプの照明器具を使い、そこにちょっとデザインの異なるタイプのトロードフリのLED電球を採用した。事務所や倉庫っぽさは防げていると思う。

書斎のダクトレールには照明だけでなくVRゴーグルのビーコンも吊るしている。いろいろ工夫すると500gくらいまでならカメラとかも吊れて便利なんよダクトレール

 一方、書斎では安価なスポットライトとスマートLED電球を使っている。ここはむしろ事務所や倉庫っぽい雰囲気で良い。

 また、書斎にはダウンライトも配置しているので、その時々で使いやすいほうを使っている。たとえば仕事やゲームをしている間に日が暮れて暗くなったけど立ち上がるのが面倒、というときは、Siriにスマート電球点灯をお願いしている。

 一方で書斎に物を取りに入るとかそういったときは、入り口の壁面スイッチを操作してダウンライトを点灯している。いつでもスマート照明が便利というわけではない。

廊下の照明ブラケット。写真では白色だが実際には電球色にしている(変更できるけど)。あとあえて暗めにしている。ちなみに似た照明ブラケットでも汎用電球が使えないものもあるので注意

 あとは備え付けの照明器具も、なるべく汎用電球が使える製品を優先的に採用した。例えば廊下には壁面に照明ブラケットを設置したが、これは中身にE17電球を使っているので、それをトロードフリのスマート電球に交換している。

IKEAのアプリ上でオンオフ時刻を設定できる

 この廊下の照明については、通るたびにスイッチを操作するのが面倒だが、かといって音声アシスタントにオンオフをお願いするのも面倒なので、時刻で点灯・消灯する設定にしている。夜は点灯しっぱなしだ。

 実のところ、玄関やトイレ、洗面室、廊下、階段など、滞在時間が短い空間では人感センサーのほうが便利だ。

 トロードフリには人感センサー製品もあるので、人が通るたびに点灯、みたいなこともできるが、廊下だと人感センサーが3カ所くらい必要で、それぞれをどこかに貼り付けて定期的に電池交換するとなると面倒なので、いまのところタイマーで運用している。

トイレの人感スイッチ。これならダウンライトだろうがなんだろうが必要なときに点灯し、不要なときに消灯してくれる

 トイレと玄関については、スマート化しても意味が薄いので、照明計画の段階で人感センサーとダウンライトを採用した。その一方で洗面室、ここは洗濯室、風呂の脱衣室、ウォークインクローゼットを兼ねているのだが、ここは柔軟に使えるダクトレールを採用した。

洗面室のコレはスマート電球ではなく、アイリスオーヤマの人感センサー付き電球

 洗面室には当初、スマート電球を設置して数週間使ったが、スマホで操作せず、壁面のスイッチしか使わなかったので、現在は人感センサー付きのLED電球に交換している。やはり出入りが多く滞在時間が短い場所では、スマート電球よりも人感センサーのほうが使い勝手が良い。

 ただそれでも、この洗面室については人感センサーとダウンライトを採用するのではなく、ダクトレールにして正解だったとは思っている。洗面室というものは筆者として初めてだったので、どのような照明が必要かわからなかったからだ。

 いまは2個の人感センサー付き電球で十分だが、洗濯などの作業中の照明が足りないとなったとき、ダクトレールなら電球を追加したり位置を変えることができるし、その一部をスマート電球にする、といったことも可能だ。

 照明計画を立案するという機会は、あまり多くない。しかし生活の快適さにつながることなので、リフォームや新築をやるとなったら、適当にダウンライトを採用するのではなく、スマート化を想定した機器選択や配置にするのをオススメしたい。