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電動キックボードで都内を移動してみた

 電車やバス、タクシーなどこれまでの交通機関に加えて、最近ではシェアサイクルや小型モビリティといった新しい交通機関が登場しています。

 携帯各社も、モビリティサービスへの取り組みを始めているほか、コロナ渦においては「密を避ける交通手段」が注目されています。

 一方、パリなど海外ではシェアサイクルなどとともに「電動キックボード」のシェアリングサービスが普及しています。日本では、原付や自動車扱いとなるため、ヘルメットの着用義務や保安基準への適合などが求められ、なかなか諸外国のように普及することは難しいと思っておりました。

 ところが、昨年から都内や大阪、神戸などの一部地域を対象に、一定の基準を満たせば公道で走りやすくなる実証実験が実施されています。

 特定の事業者のシェアリングサービスを利用すれば、これまで原付扱いだった電動キックボードを手軽に利用できるようになりました。

 普段からシェアサイクルを使用しており、若干気になっていた電動キックボードですが、キャンペーンをきっかけに今回使ってみることにしました。

借りたり返したりはアプリで

 今回はLuupの電動キックボードサービス「LUUP」を使用しました。

 免許証の登録や交通ルールのテストをクリアするなど初期登録を済ませる必要がありますが、貸出時も返却時もスマホで1分もかからずに手続きできます。

 アプリでは、各ポートにあるキックボードや自転車の状態を確認でき、貸出時はQRコードを読み込み、返却予定のポートを選択すれば手続きできます。

貸出時のながれ

 返却時は、ポートの枠内に正しく駐車し、駐車しているキックボードの写真を撮影し送信すれば、返却完了します。

返却時のながれ
今回は、キャンペーン期間中だったため、一定時間無料で利用できた

 キックボードの電源は、貸出時に自動で入り、返却時に自動で切れるしくみ。ポート以外での一時駐車もアプリで設定します。

助走を付けてレバーをひねるとスタート

 乗り方は、普通のキックボードのように片足をボードにのせてもう片足で地面を蹴って助走をつけます。そのタイミングで右ハンドルのアクセルレバーをひねると加速できます。

 左側のハンドルには、クラクションやウインカーを操作できるボタンが備わっており、方向転換する際などに利用できます。

 ハンドルの中央には、速度計と電池残量がわかるディスプレイが搭載されています。

ハンドル部にはスマホホルダーがある。走行中の操作は当然厳禁
中央には速度計と電池残量が確認できるディスプレイ
左側にはウインカーとクラクションスイッチ
右側にはアクセルレバーとミラー

免許は普通免許でOK、交通ルールは複雑

 今回の実証実験における特例制度では「小型特殊免許」が必要です。いわゆる耕運機などを運転する際に必要な免許ですが、普通自動車免許があれば小型特殊自動車を運転できます。ただし、原付免許では小型特殊自動車を運転できないため、今回の電動キックボードは運転できません。

 また、交通ルールですが「走行できるのは車道・自転車道」で、歩道は通行できません。一方通行の道路でも「自転車を除く」など自転車が逆走できる場合は双方向に通行ができます。車道では、基本的に一番左側の車線を通行できますが、自転車道や自転車専用通行帯がある場合は、そこを通らないといけません。

自転車道が設置されている箇所では自転車道を走行しなければいけません。東京臨海部では自転車道が歩道に整備されている場所が多い一方で、橋梁部や構造物などで途切れている箇所も多く、そのたびに車道と自転車道を行ったり来たりする必要があります

 原付や自転車と異なる点としては「制限速度が15km/h」と「二段階右折が禁止されている」ことです。

 制限速度15km/hで、ボードにもリミッターが備わっており15km以上はアクセルをひねっても加速しない仕組みです。一方、下り坂ではどうしても加速してしまうので、速度には十分気をつけたいところ。

 また、二段階右折が禁止されているため、大きな通りでも小回り右折しなければいけません。最も、足を地面についてキックボードを押している状態であれば歩行者扱いとなり、歩道を通行できるので、右折する際は一旦降りて押し歩いて右折することをLUUPでも推奨しています。

 このほか、今回の特例制度では一部乗車して通行できないエリアや道路があります。アプリでピンク色に網掛けされている箇所は、押し歩いて通行/通過します。

アプリのマップ、ピンク色の網掛けがあるエリアや道路は、ボードに乗って走行できない

ちょっとした移動に便利、ポートの増加に期待

 電動キックボードに関しては、歩道を暴走したり信号無視が多いなど交通違反をするユーザーが多いという報道が一部でありましたが、今回筆者が乗った範囲ではそのような光景は見られませんでした。

 制限速度が15km/hということで、大通りで車と並行して走るのには勇気が必要ですが、駅から少し離れた目的地に向かう場面など、ちょっとした移動に便利な交通機関にこれから成長していくのではと期待します。

 一方で、前述のルール違反をするユーザーの存在や、ポートがまだまだ少ないエリアがあるなど課題もあると思います。今後法改正などもされるだろうと思いますが、皆様も一度経験されてはいかがでしょうか。真冬のライドには、ぜひ手袋もお忘れなく!

 なお、今回の特例制度はLUUPなど特定の事業者のサービス限定の制度です。都内など実証実験エリアでも、個人所有のボードなどには一切適用されませんので、ご注意ください。