みんなのケータイ
Wi-Fi 6のルーターがなくてもWi-Fi 6で通信する方法(遅い)
2021年6月3日 06:00
最近のスマートフォンや、ノートPC、あるいはデスクトップPCも、高速に通信可能なWi-Fi 6に対応する機種が増えてきている。Wi-Fi 6対応ルーターも、そこそこのスペックのものが安価に手に入るようになり、快適な在宅勤務ライフをエンジョイしている人もいるはずだ。
が、スマートフォンやPCはWi-Fi 6対応でも、ルーターはいまだ古いまま、という人もきっと少なくないはず。かくいう筆者もその1人である。マイarrows 5G F-51AはWi-Fi 6対応だし、サブ端末のiPhone SE(第2世代)もWi-Fi 6対応だし、仕事用のデスクトップPCも最近マザーボードを交換してWi-Fi 6に対応した。
高速通信できる端末がいくつもあるのに、ルーターが従来のWi-Fi 5以前では宝の持ち腐れ。さっさとWi-Fi 6ルーターにアップグレードしたい! と思うのだけれど、なんとなく決定的な何か(今のルーターが壊れるとか、圧倒的なコストパフォーマンスのルーターが発売されるとか)がないと、なかなか買い替えには踏み出せないものだ。
それでもどうにかしてWi-Fi 6を体験したい。今の環境のままで、まだ一度も見たことがないWi-Fi 6ピクトを見たい! そんな人に朗報だ。実は方法はある。Wi-Fi 6対応のWindows PCを所有しているという条件付きだけれど。
Windows 10には、かなり以前から「モバイルホットスポット」という機能が存在する。PCのインターネット接続を、スマートフォンからワイヤレス(またはUSB接続)で間借りする、いわゆるテザリングだ。
このモバイルホットスポットは、SIMを搭載するモバイルネットワークへの接続機能を持つノートPCを使っているときに、スマートフォンからそのノートPCを経由してインターネットにアクセスする(スマートフォン側のデータ通信容量を抑える)、といった用途に用いるのが主だろう。もしくは、有線LANしかないホテルなどで、スマートフォンからそのLAN経由でインターネットにアクセスしたいときなんかにも活用できる。
しかし、それはそれとして、ノートPCだろうがデスクトップPCだろうが、Wi-Fi通信できるPCであればモバイルホットスポット機能は使える。でもって、もしPCがWi-Fi 6対応なら、スマートフォン側からはWi-Fi 6で接続できるのだ。あくまでもスマートフォンとPC間の通信をWi-Fi 6化するだけなので、PCから先のインターネット接続の経路が何であるかは関係ない。だから、Wi-Fi 6ルーターはナシでOKである。
一番手っ取り早い利用方法は、Windows側のタスクトレイに表示されているネットワークアイコンをクリックし、そこに表示される「モバイルホットスポット」から設定画面を開いて有効にすること。あとはネットワーク名(SSID)とパスワードでスマートフォン側からWi-Fi接続するだけだ。接続が完了すれば、ついにWi-Fi 6ピクトと感動のご対面である。
やったぜこれで我が家もWi-Fi 6だ! SNSも動画も一段とはかどるぞ! と喜んではいけない。なぜなら、直接Wi-Fi 5などでルーターに接続する従来の方法よりも、きっとはるかに遅いからだ。ルーターにWi-Fi 5で接続したときと、モバイルホットスポットでWi-Fi 6接続したときのそれぞれのインターネット通信の速度を計測した結果はご覧の通り。なんと10分の1以下の速度になっている。
これは、Wi-Fi 6ではあっても2.4GHz帯であることと、PC側で帯域が絞られる形になっているため。筆者の環境では、Wi-Fi 5ルーターだと5GHz帯で866Mbpsのリンク速度だったのが、モバイルホットスポットでは上り・下りともに2.4GHz帯で286Mbps。これでは速度が出ないのも当たり前だ。5GHz帯で接続するような設定も可能だが、おそらく日本の法律的な制限から有効化できないようになっている。
Wi-Fi 6で接続できるとはいえ、ある意味これは「見せかけ」で、通信速度が今以上に速くなることはたぶんないし、むしろ実用性に乏しい状態になる可能性すらある。通信速度には決して期待してはいけないが、とりあえず「え? ウチ? もちろんWi-Fi 6使えるぜ」と玄人風を装うことができるようにはなるかもしれないので、おすすめである(おすすめしない)。