みんなのケータイ
危うく没収? 気をつけたい、入国時のスマートフォン持ち込み制限
【Galaxy S10+ SCV42】
2020年2月5日 06:00
前回の本コーナーでも書いたけど、昨年末は休暇ということで、インドネシアのバリ島に出かけてきた。「また海外ローミングの話?」と思われるかもしれないけど、今回はまったく別のお話。
ここ数年、筆者は年末の少し早いタイミングでお休みをいただいて、海外などに出かけ、年末の仕事納めの頃に帰国するというスケジュールで動いている。早く出発するのは航空券が取りやすいとか、ホテル代が安いというのが理由。仕事納めまでに帰国するのは、年末最後に編集部などに挨拶をするため。いや、年末の飲み会に出るためという説も……(笑)。
そんなスケジュールで動いているものだから、実は年末に海外に出かけても仕事を積み残していて、渡航先のホテルで原稿を仕上げたり、校正をチェックしていることも少なくない。昨年末もそのパターンで、現地に入ってから、連載の原稿などをまとめようと考えていた。たとえば、そのひとつが12月23日に掲載された「『AQUOS sense3』は必要十分をパワーアップさせた安定の定番モデル」という連載の記事。出発前にほぼ原稿を書き終え、写真やスクリーンショットも撮っておき、あとは「キャプション」と呼ばれる写真の説明文を書き、全体を再チェックするだけの状態にしておいた。ただ、旧機種との比較もあるし、NTTドコモ版とSIMフリー版の両方を取り上げていたため、これらの端末も渡航時に持って行くことにした。
インドネシア・バリ島のデンパサール空港に到着し、入国審査を受け、パスポートにスタンプを押してもらい、無事に預け入れ荷物を受け取り。最後に荷物のX線検査があり、ベルトコンベアーにすべての荷物を載せて、通した後、外に出ようとしたら、最後の最後に税関職員から「待った」がかかった。
税関の職員曰く、「手荷物を見せて欲しい」とのこと。パソコンやスマートフォンなどはロストバゲッジで行方不明になると困るので、機内持ち込みの小さいスーツケースとカバンに入れているんだけど、そっちの荷物の中身を見たいという。特に怪しいものを持っているわけではないので、カバンを開けて、「はい、どうぞ」と見せたところ、職員から 「なぜ、スマートフォンを何台も持っているんだ?」 という質問(もちろん、英語)。拙い片言英語で、「自分は携帯電話やスマートフォンの記事を書くライター」「今回は休暇で来ていて、バリ島で働くわけではない」「やり残した仕事があって、日本に記事を送るので、動作確認のため、複数台を持ってきた」などと説明したところ、「どこで記事を書いているのか?」と言われたので、即座にケータイ Watchの連載のページを表示して提示。続いて、 「おまえはYouTubeはやってないのか?」 と聞かれたので、今度はImpress Watch Videoの「法林岳之のケータイしようぜ!!」を表示して、見せたところ、画面と筆者を交互にを指さしながら、 「おー、ほんとだー」 (と推察されるインドネシア語のやり取り)と、同僚の職員と盛り上がっている様子。
いろいろ見せている内に、筆者がこういう仕事をやっていることはなんとか理解されたんだけど、最後に責任者と思しき人が出てきて、 「ここでは入国時に2台しかスマートフォンを持ち込めない」 と説明。「日本はインドネシアと違って、SIMフリーが中心じゃないし、国際ローミングの料金も高くなるから、普通の人でも2台以上、持ち込むことはありますよ」と、半ば強引な説明で反論したけど(笑)、「規則は規則なので、そのまま通過させるわけにはいかない。バリ島で端末を売却しない約束を守ってもらうため、ここに預かり金(デポジット)を置いていって欲しい」とのこと。
つまり、バリ島の税関としては、海外から持ち込まれたスマートフォンが売り捌かれて、国内市場に影響が出ることを危惧しているわけだ。そう言えば、どこぞの国の「有識者」が出席する「ナントカ研究会」でも似たような説明を……。
って話はともかく、責任者の方曰く、預かり金を支払えば、そのまま端末は持ち込んでも構わないし、帰国時に税関に立ち寄れば、預かり金は返却するとのことなので、しかたなく、支払うことにした。
ところが、話はここで終わらない(笑)。持ち込んだ端末の内、シャープのAQUOS sense3の2台と旧機種のAQUOS sense2は、税関職員がよく知らない端末という解釈なのか、預かり金の対象にはならず(だったら、スルーしてよ)。結局、税関職員が選んだのは、筆者が持ち込もうとした端末の内、サムスンの「Galaxy S10+ SCV42」とアップルの「iPhone XS」(NTTドコモ版)の2台。Galaxy S10+ SCV42は自分のau回線で契約しているメイン端末で、iPhone XSは前回も紹介したタイのAISの国際ローミングサービス「SIM2Fly」のeSIMが登録された端末。インドネシアでも知られている端末を選んだようだ。
そして、2台の端末のおおよその実売価格を聞かれ、税関職員が算出した預かり金が「750万ルピア」(約6万円)。しかもクレジットカードは使えず、支払いは現金のみ。日本円を預けてもいいとのことで、「必要だったら、ATMでインドネシアルピアを引き出してもいいよ」という。しかし、1週間ほどの滞在で、ホテルなども支払い済みで、ほとんどの行き先でクレジットカードを使うつもりだったので、そんな大金を日本円で持っているわけもなく、「6万円と言えば、今持ってる日本円のほぼ全額。これを預けたら、バリ島で生活できないよ」と泣きついたところ、なぜか預かり金はあっさり3万円に減額された(笑)。
とまあ、そんなこんなで、最終的に預かり金として、3万円を預け、滞在中は残りの現金とクレジットカードで、慎ましやかに休暇を過ごすことになりました。帰国する日に空港に着いて、税関に立ち寄ったところ、入国日とは別のスタッフが笑顔で対応してくれ、無事に預かり金の3万円は手元に返還。手持ちの現金が少ないこともあり、買い物や食事も質素に済ませたので(元々、物価安いし)、いい節約になったと言えるかもしれません(笑)。
この一連のお話を仕事関係の人たちに伝えたところ、本誌でもおなじみの山根康宏氏が「中国では基本的に2台まで。厳しいときは没収されることもあります」と教えてくれた。ネットで「入国 携帯電話 持ち込み 制限」などのキーワードで検索すると、アジアや南米では持ち込みが制限されるという記事も見つかったけど、いずれも持ち込んだ端末が国内で売られることへの対策のようだ。実際に端末を没収されるのか、あるいは預かり金で済むのかは、国と地域によって、だいぶ違うみたいだけど、いずれにせよ、あまり何台もスマートフォンを持って行くのは賢明ではないということですね。これから春先へ向けて、卒業旅行などで海外に出かけるみなさんは、お気をつけて。