みんなのケータイ

登山中はスマートフォンを安全かつ快適に使おう

【iPhone 7】

 先日、富士山に登ってきた(記事はこちら)。富士山の登山シーズン中、登山道や頂上のネットワーク対策をどうしているかを、現地、すなわち富士山の頂上や各山小屋などで、実際の基地局を前に案内いただいた。なかなかタフな取材だったが、久しぶりの登山と初めての富士山登頂を楽しむことができた。

 取材なのでカメラなどの機材も持って行ったが、趣味で登山をするときも、モバイル機器は持って行き、使いやすいように準備していった方が良いと感じた。スマートフォンは緊急時の連絡・通報だけでなく、気象などの情報収集、登山地図、カメラ、気分転換のSNS、各種連絡などなど、いろいろな用途に使うので、平地にいるとき以上に重要アイテムとなる。

須走ルートの登山口にて。富士山の標高は3776mだが、2000m以上まで車で来られる。登山前なのでまだ元気だ
登山マップの定番アプリ「YAMAP」。地図はローカル保存なので圏外でも使える

 登山で使うスマートフォンは、防水性と堅牢性が高い方が好ましい。山は天気が変わりやすく、傘を差すことはムリなので、防水スマートフォンを使うか、防水ケースを使う必要がある。防水スマートフォンでも、手が滑ったときに備え、落下衝撃に耐えるようなジャケットや落下を防ぐストラップを使った方が良い。

筆者はシリコンジャケット「Palmo」のベイスターズモデルとSimplismのLightningストラップを使っているが、どちらも耐久性はそれほどないので、定期的な買い換えが必要だったりする

 筆者のメイン端末であるiPhone 7は防水なので防水ケースは不要だが、岩場で落とすと大変なことになるので、耐衝撃性のあるシリコンジャケットを装着していた。といっても、ディスプレイ面は保護されず、山道で落とすと回収困難な場所に転がって行ってしまう可能性もあるので、普段以上に落とさないように注意を払った。

 スマートフォンの持ち運び方にも工夫が必要だ。登山中は足場が悪くキケンなので、歩きながらスマートフォンを使うのはほぼ不可能である。一方でバックパックの上げ下ろしには時間・手間・体力が必要なので、スマートフォンをバックパックに入れてしまうと、本当に緊急時にしか使えなくなってしまう。衣類のポケットに余裕があればそれでも良いが、口を閉じられないポケットだと屈んだときなどに落としてしまう可能性があるし、そもそもバックパックなどの装具でポケットにアクセスしづらくなることもある。

ミステリーランチの純正チェストポーチ。ミステリーランチは軍関係者にも人気のバックパックメーカーだ

 登山用のパックパックは、ウエストベルト(チェストベルト)にベルトポーチが付いているものが多いが、スマートフォンのように平たいものを入れるのにはやや不向きだ。そこで筆者は、登山用バックパックにメーカー純正のチェストポーチを付けて、そこにスマートフォンを入れていた。登山用バックパック向けのチェストポーチは、着脱がやや面倒だが、容量にはやや余裕があり、スマートフォンだけでなく携行食なども入れられて便利だ。

 Apple WatchやAndroid Wearなどのスマートウォッチも、登山中に活躍するアイテムだ。スマートフォンを取り出しやすくしていても、ちょっとした通知のたびに立ち止まって取り出すのは面倒。かといって通知を逃すようだと、気象速報などの最新情報を取得し損ねることになってしまう。スマートウォッチがあれば、通知確認のためにスマートフォンを取り出さなくて済むので、歩きながらでも最新情報を受け取りやすい。

 泊まりがけの登山となる場合は、スマートフォンやスマートウォッチの充電機器も必要だ。宿泊できる山小屋もコンセントがないことが多いので、十分な容量のモバイルバッテリを持って行こう。

 今回の登山では余裕を持って13400mAhのものを持って行ったが、3台のスマートフォンと1台のデジタルカメラを充電するというヘビーな使い方をしたにも関わらず、4分の1くらいしか減らなかった。iPhone 1台だけで1泊なら、5000mAhくらいで十分だろう。

須走ルート登山道から山頂方面。これだけ近くても山頂が見えるくらいの勾配

 登山中は豪雨に見舞われるとバックパックの中身もびしょ濡れになる可能性があるので、モバイルバッテリやケーブルなどは、ドライバッグと呼ばれる防水バッグに入れておくと良い。登山用のバックパックは内部にポケットなどがないものが多いので、小物や衣類はドライバッグで小分けしておくと、荷物の整理にもなる。

 先日の富士登山は取材だったので、筆者はデジカメを持って行ったが、仕事などでズームが必要というのでない限り、スマートフォンのカメラでも十分だと思う。スマートフォンの写真には自動で位置情報を記録できるので、あとで見返すときにも面白い。充電するべき機材や防水対策しないといけない機材は少ない方が良い。

富士山火口では疲労のあまり自撮りも真顔。九合目からオデコのGear 360で動画撮影したりした

 登山中の歩きスマホはキケンなので、よほどのことがない限り避けるべきだ。登山中は立ち止まるにしても、通行の邪魔にならず、かつ安全な場所に限定される。これは大前提である。しかし登山中は適度な休息も必要になってくるので、そうした休息中、ちょっとスマートフォンを使うのは、気晴らしにもなって良いと思う。とくに富士山の登山道は各社、ネットワーク対策に力を入れているので、SNSなども快適だ。登山する際には、安全かつ快適にスマートフォンを使えるように準備を整えていってみてはどうだろうか。