DATAで見るケータイ業界

契約数とユーザー1人あたりの収入額で見る楽天モバイルの課題、10~12月期はソフトバンクとKDDIが80万超の純増を記録

 前回に引き続き、携帯各社の決算から主要数値を比較してみたい。今回は、契約数とARPU(1契約数あたり収入)を取り上げる。

10~12月期はソフトバンクとKDDIが80万超の純増を記録

 2022年12月末時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが8654.3万(前四半期比65.9万増)、KDDIが6325.5万(同84.0万増)、ソフトバンク(PHS除く)が5112.7万(同87.2万増)、楽天モバイル(MNO)が449万(同6万減)となった。

 2022年10月末をもって料金相当額のポイント還元が終了し、11月から実質的な課金がはじまった楽天モバイルだが、 駆け込み解約が一巡したことで純減の幅は7~9月の22万減から縮んでいる 。紹介キャンペーンや法人向けプランの展開、ホームルーター「Rakuten Turbo 5G」の投入など、矢継ぎ早に新たな施策を投入しているが、1~3月期に純増へとつながるかが注目点だ。

 一方、残る3キャリアは安定的に契約数を積み増している。

 中身を見ると、NTTドコモの「通信モジュール」は37.2万増、ソフトバンクの「通信モジュール等」が61.3万増なので、スマートフォンなどの純増は2社とも30万前後だったことが分かる。このうち、KDDIの「IoT累計回線数」は、海外の数字なども含まれるため参考値としての提示となるが、10~12月期は200万増を記録している。

「1GB無料」を廃止したばかりの楽天モバイルと、残る3社のARPUには大きな開き

 続いてARPUの動向を見てみよう。各社が開示するARPUのうち、通信料収入が基準となっている「回線系ARPU」の値は、NTTドコモが4090円(前四半期比10円増)、KDDIが3990円(同10円増)、ソフトバンクが3840円(同40円減)、楽天モバイルが1805円(同354円増)と、ソフトバンクを除く3社が増加となった。

 NTTドコモとKDDIは、22年7~9月期に前四半期比でプラスに転じて、2四半期連続のプラスと、改善傾向が持続している。一連の携帯料金官製値下げの影響から脱しつつある様子が見て取れる。

 前四半期比増減でグラフ化すると楽天モバイルの好調さが目立つものの、これは「1GB無料」廃止のタイミングという特殊要因に支えられている側面が強い。実際、ARPUの水準は他キャリアと比べて半分程度と、その差は鮮明だ。

 利用者にとってはメリットではあるが、23年度中の黒字化を目標とする同社にとって厳しい状況に変わりない。「第一目標であるARPU 3000円」の実現に向け、ARPUの上昇に寄与するとされる5Gエリアの拡大などがさらに求められよう。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/