DATAで見るケータイ業界
「ギガ単価110円」で大手2社が奇しくも横並びとなったMVNO新プラン
2021年4月17日 09:00
通信キャリア各社のオンラインプラン創設やサブブランド値下げに対抗すべく、MVNO各社も新料金プランを相次ぎ投入した。主要各社のプランを整理してみたい。
最小プランで1000円前後まで大胆に引き下げ
ここでは、総務省四半期データによるMVNOシェア上位3社(個人向けMVNOの新規受付を終了している楽天モバイルを除く)のブランドである「IIJmio」「OCN モバイルONE」「mineo」を取り上げる。
表の通り、各社とも最小プランで1000円前後まで大胆に引き下げた価格体系に踏み切った。旧プランと比較して軒並み数十%の大幅値下げで、例えばIIJmioの場合、これまでの「ミニマムスタートプラン」は3GBで1760円だったので半額近い水準になっている。
「ギガ単価110円」で大手2社が奇しくも横並び
さて、価格設定において指摘したいのは、大手2社の「類似性」だ。
さきほどの表をグラフにプロットしてみると分かるのだが、IIJmioとOCN モバイル ONEの価格が10GB付近までほぼほぼ一直線上に位置しているのだ。
このような図になる理由は、2社ともに「1GBあたり110円」ずつ上乗せした料金体系を敷いているからだ。IIJmioの場合、2GBと4GBの差額は220円、4GBと8GBの差額は440円といった形で、いずれも1GBあたり110円の上乗せとなる。同様に、OCN モバイル ONEの場合、1GBと3GBの差額は220円、3GBと6GBの差額は330円で、枠組みはまったく同じだ。正確を期せば「横並び」ではなく、IIJが2月24日に発表した新料金プランを、NTTコムが「踏襲」したことになろう。旧プランでは各社まちまちだったこともあり、大きな転換といえる。
また、MVNO各社の新プランは「1GBあたり 100円前後の上乗せ」というのが1つのラインとなっているようだ。イオンモバイルの「さいてきプラン」は最小の0.5GBからはじまり、あとは1GBから10GBまで1GB単位の料金体系だが、これも「1GBあたり110円」ずつ綺麗に上乗せされた価格になっている。
一方のmineoは、1GBプランが他社より高めとなっているものの、上乗せしているギガ単価は100円をかなり下まわる水準に抑制している。その結果、20GBの価格で見ればIIJmioとほぼ横並びの水準に収まっている。MVNOにとっての仕入れコストを単純化すれば、回線契約にともなう基本料金と、データ量(帯域幅)に応じた接続料から構成される。仕入れ値は各社基本的に同一のため、価格設定が似通ってしまうことはやむを得ない。とはいえ、大手2社がほぼ同じ価格体系を敷いたことは価格競争の打ち止め感を強く印象付ける出来事と言えよう。
通信品質向上、eSIM対応、パケットのシェアやギフト、店舗対応など、価格面だけではない各社の差別化策で、MVNO市場の再活性化に期待したい。