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キャリア各社の設備投資総額は楽天モバイルの投資本格化で拡大、20年度は1.6兆円規模に

携帯基地局市場と設備投資の実態 2020(1)

 MCAは、市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2020年版」を2月に発刊した。そこで今回から3回にわたり、同レポートをもとに携帯基地局市場の動向を取り上げていきたい。まずは、携帯キャリアの設備投資に焦点を当てる。

楽天モバイルの投資本格化が全体投資を底上げ

 2019年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5728億円、KDDIは3534億円、ソフトバンクが3050億円、楽天モバイルは1871億円、UQコミュニケーションズ(UQC)が211億円、Wireless City Planning(WCP)は150億円の合計1兆4544億円となった。KDDIを除き、各社とも、2018年度よりも投資額は縮小しているが、楽天モバイルの大幅投資増の影響が大きい。

2020年度に1.6兆円規模へ押し上げた楽天モバイルの大幅投資増

 2020年度はNTTドコモが5700億円、KDDIは3500億円、ソフトバンクが3350億円、楽天モバイルは3359億円、UQCが200億円、WCPは150億円の合計1兆6259億円を見込む。キャリア各社による投資抑制が叫ばれていたが、楽天モバイルの参入により、全体投資額での抑制は底を打ったといえる。

ピークを過ぎた2022年度以降も1.4兆円規模で推移

 今後、キャリア各社は5G時代も現在の投資規模で推移し、NTTドコモが6000億円未満、KDDIはモバイル向けに3000億円台半ばの投資が続き、ソフトバンクも移動通信向けに3000億円台前半の投資が見込まれる。高騰している楽天モバイルの投資は4Gネットワークの全国展開が落ち着く2020年度がピークとみられ、2022年度以降は1000億円規模で推移するものとみられる。

 なお、合計投資額としては、楽天モバイルの参入もあり、今後も1兆4000億円を下回らない規模で推移していく見込みである。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/