DATAで見るケータイ業界
5G商用化を前に本番を迎えるインフラベンダーの競争構図
2018年7月20日 12:18
MCAでは、今月「第5世代移動通信 技術・設備投資動向・関連産業サービス開発動向 2018年度版」という調査レポートを発刊した。
今回は、同レポートより5Gの最新動向についてご紹介したい。第1回目は、国内のモバイルキャリアと携帯基地局などインフラベンダーの供給関係について整理していきたい。
上図は、3Gから4Gそして5Gへと約10年おきに通信技術の世代交代が起こるなか、モバルキャリア別にインフラベンダーの関係がどのように変化してきたかを簡単にマップ化したものである。
5Gのインフラベンダーに関しては、まだ商用化されていないので、MCAによる推定である点はご注意いただきたい。
国内のモバイルキャリアが採用しているインフラベンダーのトレンドとしては、世代交代するごとに国内系から海外のインフラベンダーへスイッチしていることである。
その背景には、3GからLTE(4G)、5Gへと技術規格が世界で一本化していくなか、コスト競争力や標準化でリードする海外ベンダーの前に国内ベンダーの牙城が侵食されてきたということが挙げられる。
次にキャリア別で、その傾向を見ていくと、5GでもNTTドコモは比較的国内系を引き続き採用していくと見られるが、KDDIとソフトバンクは海外系が中心になっていくと分析している。
また、上図には掲載されていないが、第四のモバイルキャリアである楽天についても本レポートでは取り上げている。それによると、基地局系ではノキアが中心となるが、ファーウェイのほか、海外のvBBUベンチャーも一角を占めるのではないかと注目している。
5Gの商用化が近づく中、海外勢の攻勢に国内系はどう対抗していくのか。または、これまでの独立独歩から海外勢と手を組むという選択肢もあるかも知れない。そして、レガシーな通信ネットワークをひっくり返そうとするベンチャーがどのような活躍を見せるのか。
世界で最もネットワーク品質の高さを求められる日本で5G機器が採用されれば、インフラベンダーにとっては、その後に本格展開を迎える各国進出への大きな足がかりとなる。インフラベンダー間の熱い戦いはいよいよ本番を迎えている。