ケータイ用語の基礎知識
第701回:登録修理業者制度とは
(2015/3/24 12:55)
2014年4月に改正された電波法によって、「登録修理業者制度」が2015年4月からスタートすることになりました。
これによって、これまではっきりと定められていなかった携帯電話・スマートフォン・PHS・コードレス電話などの修理について、端末製造メーカー以外の業者が修理可能な範囲が明確化されることになりました。
端末メーカーやその委託先の修理業者以外の業者は、総務大臣に登録を行えば、画面割れの修理や内蔵バッテリ交換、外装交換といった、電波特性などの技術適合基準の変更を伴わない修理ならば行うことができるようになります。
また、この制度によって修理された機器であれば、使用するユーザーも電波法違反に問われることはなくなります。
技適マークと失効について
電波法は、すでに技術基準適合証明、いわゆる「技適マーク」がついている機器であっても、例えば電波の出力を大きくするといった「改造」を許していません。そのようなことをした場合は技適マークは失効となり、マークを消さなければなりません。これを破った場合は罪に問われ罰金などを処されることがある、とされています。
技適マークとは、「第466回:技適マーク とは」で解説したように、特定無線設備の技術基準適合証明等のマークの通称です。
電波法の技術基準に適合している特定無線設備、つまり電波を発信する機器でかつ、日本の法律で使えることが許されている機器にはほぼこのマークがついてます。技適マークは、日本国内で法に則って使うことができる機器であることの証な訳です。
日本国内で使える携帯電話・スマートフォンや、電波を発信する機器、たとえばWi-Fiの使えるタブレットやBluetoothが使える家電などにも、このマークのあるシールが貼られていたり、あるいは、設定画面などから表示できるようになっています。
日本国内で販売されている携帯電話・スマートフォンの製造メーカーは、TELECなどの登録証明機関から「認証取扱業者」という、同じ設計の機械に同じ技適番号を割り振る資格を得るとともに、登録証明機関の審査を受けて、製造する端末が電波法の技術基準に適合しているという認証を受けます。これで、技適マークを機械に表示することができるようになります。
改造された機器は技適マークの効力がなくなるということですから、改造した無線機や技適マークのない輸入の無線機などと同様、使用した場合は電波法違反になる恐れがあるわけです。
メーカー以外の業者によるケータイの修理が可能に。ただしメーカー保証の対象外になる可能性
技適を受けた端末の修理に関しては、これまでは端末の製造メーカーあるいはその委託業者が行えることとなっていましたが、それ以外の人や業者が端末を分解してまた組み立てたり、修理を行った場合の規定は、明確になっていませんでした。
このため、厳密に言えば、端末を修理した場合その結果が技適の基準を逸脱していない、つまり「改造」にはあたらないことを証明する必要があったのです。
これを完全にクリアにしようと思うと、たとえば修理など行うたびに技適の取り直しと同様の手順を取って技適の用件を逸脱していないことを証明するなどといった手法を取ることになってしまいあまり現実的とはいえない状態でした。そして、現実にはこのあたりがグレーな状態のまま、携帯電話の修理を請け負う業者が登場していました。
4月からの法改正によって、登録業者であれば、端末が技適マークの認証を受けたときと同じ技術基準に合致するよう修理を行う場合で、かつ修理された端末が他の利用者や機械に妨害を与える恐れが少ないものとして基準に適合している場合に限って、修理を行っても技適マークは取り消されず、元の技適マークがそのまま有効になることが、電波法関係審査基準に明記されることとなりました。
これによって、グレーゾーンで修理業務を行うのではなく、総務省へ正規の届出をした修理業者が、この4月以降は登場することになるでしょう。
なお、業者が行える修理内容は、ディスプレイ、フレーム、マイク、スピーカー、カメラ、操作ボタン、差込口、コネクタ、バイブレータの交換などで、電波の質に影響を与える可能性が低い箇所に限られます。この限定された内容以外の修理となる場合は、従来どおりメーカーあるいはその委託業者のみしか修理することができません。
登録修理業者で修理できる対象部分である場合も、故障箇所と同一かあるいは同等の部品を使って端末が製造されたときと同じとなるように修理することとされており、「改造」にあたるような修理はもちろん不可となっています。
ちなみに、この登録修理業者による修理が行われた端末には「登録修理 Rxxxxxx」
というRの後に6桁の数字を枠で囲み、登録修理業者によって修理が行われた端末であることを表示することが、表示義務規定として定められています。
これは、修理に係る責任の所在を明確にし、技適の範囲を逸脱していないことを証明するためのもので、この表示がある機械はメーカー以外によって修理が行われたものである、ということがユーザーにわかるようにしているのです。
なお、端末メーカーによる修理でない場合、登録修理業者による修理であっても、メーカーによる保証が無効になる可能性がある点は、従来と変わりませんので注意が必要です。
このような、メーカー保証が失効する可能性を、登録修理業者は、修理を受けるユーザーに対して適切に説明などを行うべきである、と総務省では方針を示しています。