第440回:EZカーナビリンク とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「EZカーナビリンク」は、auの携帯電話で検索した、レストランや観光施設といったスポットの情報をカーナビゲーションシステム(カーナビ)に転送し、活用できるサービスです。

 携帯電話から「EZナビウォーク」「EZ助手席ナビ」「au one 地図」「Yahoo!地図」といったアプリ/ケータイサイトで場所を検索し、緯度経度情報や名称、住所、電話番号などをBluetoothや赤外線通信を使ってカーナビに転送すると、カーナビの「目的地」として利用できます。

 携帯電話を使って簡単に目的地を設定でき、カーナビゲーションの画面で確認できます。日々更新されるスポット情報も検索できるので、カーナビに登録されていない最新スポットでも目的地として設定できます。

 「EZカーナビリンク」は、KDDI、トヨタ自動車、ナビタイムジャパンの3社によって共同で開発されたプラットフォームを利用したもので、2009年5月からサービス提供が開始されました。

利用イメージ

 2009年9月現在の対応携帯電話は、CA001、G9、H001、P001、Premier3、SH001、S001、T001、W63CA、W65T、W64SH、W63H、W62CA、W62H、W62SH、Spotio、W61Sです。

 また、ナビ側の対応機種は、トヨタ純正モデル 販売店装着オプションナビ(NHZA-W59G、NHZN-W59G、NHDT-W59G、NSDT-W59)となっており、純正品以外では富士通テンのECLIPSE(AVN779HD、AVN669HD)も利用できます。また、ソニーのPND「nav-u」シリーズでは、10月31日発売予定のNV-U75、NV-U75で利用できるようになる予定です。

 利用料は無料です。ただし、通信時のパケット通信量はかかります。

Bluetooth接続で、さまざまなサービス提供を模索するカーナビ

 最近のカーナビは、Bluetooth機能を搭載するものが多くなってきています。道路交通法の改正などによって、Bluetoothハンズフリー機能の需要が高まってきたことから、カーナビメーカー各社が、無線ハンズフリーセットでよく使われるBluetooth機能を搭載するようになってきたようです。

 Bluetooth対応のカーナビは、ハンズフリー通話だけでなく、Bluetooth機能を使った、他のサービスの提供を模索しはじめました。たとえば、Bluetoothの音楽関連機能を使って音楽を楽しむのも1つの利用方法です。

 さらなる応用として、最近、各社から提供されるようになってきた機能が携帯電話によるカーナビ支援です。「EZカーナビリンク」はカーナビ支援サービスの1つとして登場したわけです。

 携帯電話を使ったBluetoothカーナビ支援機能は、現在、他にも各社のカーナビで利用されていて、これらは各社の携帯電話で利用が可能になっています。

 たとえば、富士通テンのカーナビ「ECLIPSE」では、携帯電話を使った機能「ケータイリンクAVN」が用意されています。「ケータイリンクAVN」では、着うたなどの音楽データをダウンロードしたり、ケータイの画像をAVNに転送して壁紙として設定したり、あるいはケータイを簡易リモコンとして利用したりするといったことができます。また、専用サイト「モクテキチネット」で検索したお店や施設情報などを目的地などに設定できます。

 ECLIPSEの場合、「EZカーナビリンク」と「ケータイリンクAVN」を連携する、という形でサービス提供されています。auユーザーなら「EZナビウォーク」「EZ助手席ナビ」で目的地を検索し、車に乗ってBluetoothでカーナビに転送する、というような使い方ができるようになったのです。

 カーナビの携帯電話連携機能では、携帯電話からのデータ転送には、BluetoothのOPP(Object Push Profile)がよく利用されていますが、EZカーナビリンクが利用しているプラットフォームでも、やはりデータ転送にはOPPが利用されています。

 位置情報を表示するファイル形式では、国際標準規格のKML(Keyhole Markup Language)形式を採用するなど、各種標準を積極的に取り入れた仕様となっているため、今後、より多くのBluetooth対応カーナビで利用できると期待できそうです。

 



(大和 哲)

2009/10/6 11:57