第441回:iida とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


KDDIの新プロジェクト

 「iida」は、KDDIと沖縄セルラーが2009年4月から展開しているブランドで、「イーダ」と読みます。「携帯電話を通して、ユーザーの暮らしをデザインする商品を作り出す」という目標を掲げています。

9月に発売された「PLY」

 携帯電話としては、4月に最初のモデルとして、ステンレスフレームやアルミ素材のキーを使う「G9」、現代美術家によってデザインされた「Art Editions YAYOI KUSAMA」、シンプルデザインの「misora」が発表され、9月には5つの層が積み重なった「PLY」、未来の携帯電話をイメージしたという「PRISMOID」といった機種が発表されています。

 このほか、ライフログを収集してユーザーに提案する機能をもつ未来的なデザインケータイ「Polaris」、ヤマハデザイン研究所とのコラボレーションで生まれた楽器ケータイ「ガッキ ト ケータイ」なども、iidaのコンセプトモデルとして発表されています。

 ちなみに、「G9」は、かつてau design projectのコンセプトモデルとして発表された「GRAPPA」をベースとしたケータイであり、「ガッキ ト ケータイ」もau design projectのコンセプトモデルとして発表されたものが引き継がれています。このことからもわかるように、iidaは、au design project、another work*sといったKDDIのデザインプロジェクトを発展的に解消し、1つにまとめたプロジェクトです。

 iidaという名前は、「革新」「想像力」「デザイン」「芸術」を意味する英単語、「innovation」「imagination」「design」「art」の頭文字を取って付けられています。

より多くのデザイナーが参加、周辺機器にも感性を

 iidaは、感性に訴える製品作りを目指すプロジェクトです。au design project、another work*sといった、かつてのKDDIのデザインプロジェクトの成果を含んでいますが、新たな方向性・試みも追加されています。

 その1つとしては、携帯電話そのもの以外にも、周辺アイテムにもさまざまなデザイナーの観点が取り入れられていることが挙げられます。これらは「LIFE STYLE PRODUCTS」として数多く発表されました。

周辺機器にも注力

 既に発売されているものでは、misoraの筐体カラーに合わせたスワロフスキー製クリスタルを使用した「AROMA STRAP」、携帯電話の筐体カラーに合わせて青、白、桃色、茶色を選べる充電器、長いコードを植物の蔓に見立てて造花の葉を付けた充電器「AC ADAPTER MIDORI」、「PLY」専用トレイなどがあります。

 未発売のものでは、マナーモードの騒音を軽減する防振マットをユーモラスな人型にかたどった「manatomo」、草花の影の形をしたケータイクリーナー「peri peri」、水滴の形にして付いていることにも気づかせない滑り止めシール「Drip Grip」などが用意されています。いずれもデザイナーの視点を取り入れたユニークなアイテムです。

 数多くのデザイナーが参加しており、iidaのお披露目となった発表会において、KDDIは、プロダクトデザイナーなどが自身のアイデアを持ち込んで製品化していける土台にしたいと表明しています。その活動の一環として、「iida AWARD 2010」というデザインコンペティションが開催されます。

 最初の試みとなる「iida AWARD 2010」では、国内外の大学生・大学院生を対象に、2009年9月30日より作品の募集を開始しています。KDDIでは、審査の結果、選ばれた学生とともにワークショップを行いながら、将来的に製品化していく予定としています。

 



(大和 哲)

2009/10/13 12:09