ケータイ用語の基礎知識

第662回:ネットワーク利用制限 とは

 日本は、携帯電話の不正利用対策が最も厳しい国のひとつです。携帯電話各社は、携帯電話が不正に入手されたり、あるいは「振り込め詐欺」を初めとする犯罪に利用されたりすることを防止するため、さまざまな手段を講じています。

 そのひとつが「ネットワーク利用制限」です。これは携帯電話1台1台に割り当てられている固有の製造番号を、携帯電話各社のシステムに登録することで、一定の条件に当てはまる場合、その携帯電話を利用できなくする、というものです。音声通話の発着信、メールやWebブラウジング、アプリなど、通話や通信をネットワーク側で制限するのです。

 端末の製造番号を使って通信を止めるため、基本的に、SIMカードを入れ替えても電話機として使うことはできません。2014年5月現在、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクモバイルが、この不正利用防止の手段を用いています。

ネットワーク利用制限が適用される理由

 携帯電話端末へのネットワーク利用制限は、どういった場合に、かけられるのでしょうか。その理由としては、携帯電話が盗難にあったとユーザーから申し出があった場合が挙げられます。つまり携帯電話を盗んで使おうと思っても、本来の持ち主から盗まれたと申告があれば、その端末は使えなくなるということです。

 ネットワーク利用制限を手元からなくなった端末にかけたい場合、キャリアショップ(ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップ)の店頭で、申し込めます。

 また、契約時の本人確認書類が偽造されている場合も、制限対象になります。氏名や住所、生年月日などで嘘の内容になっていたりする場合も含まれます。また、割賦で購入しつつ端末代金が未払いになったりした場合もネットワーク利用制限の対象になることがあります。

 各携帯会社では、一度、ネットワーク利用制限がかかった端末は、基本的にそのロックを解除しない、という方針です。もしオークションや中古市場で携帯電話を購入する場合は、このシステムに購入対象の携帯電話が登録されていないか、十分に注意しなければなりません。

確認する方法

 一度ロックすると解除しない、ということもあって、携帯電話各社は、携帯電話がネットワーク利用制限がかけられているかと確認するためのWebサイトを用意しています。

・NTTドコモ
 ネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト
 http://nw-restriction.nttdocomo.co.jp/top.php

・KDDI
 ネットワーク利用制限携帯電話機照会
 https://au-cs0.kddi.com/FtHome

・ソフトバンク
 ネットワーク利用制限携帯電話機の確認
 https://ct11.my.softbank.jp/WBF/icv

ドコモのネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト。ここでIMEI番号を入力すると、端末のネットワーク利用制限の状況が確認できる。

 これらのサイトで、携帯電話端末に記録されている数字15桁の「IMEI番号」(KDDIのサイトでiPhoneを検索する場合は数字14桁のMEID)を記入し、実行することで、ネットワーク利用制限状況を確認することができます。IMEI番号は、電話をかけられる状態にしてから「*#06#」を入力すると表示される機種が一般的です。あるいは、本体の電池パックなどを入れる部分などに「IMEI:」の後に記載されています。

 これらのサイトで「×」が表示された場合は、ネットワーク利用制限がかけられており、その端末は携帯電話として利用することができません。

 サイトによっては、不正利用がなくとも「△」という表示がされる場合があります。これは、端末代金が分割払いで支払いが完了していない、などの場合に表示される記号です。なお、一括払いで支払いが終わっているのに「△」が表示される場合は、事業者に確認することで「○」に修正することができることもあります。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)