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“格安スマホ”のトラブルが2.8倍~国民生活センターが注意喚起

 国民生活センターは13日、消費者から寄せられた相談をもとに、“格安スマホ”購入時の注意すべき事項を案内している。

 契約数を伸ばしている“格安スマホ”ことMVNO。2016年9月末時点で1256万回線と順調に増加している。それにともない、国民生活センターに寄せられた“格安スマホ”に関する相談件数は、2016年度には1045件と、前年の2.8倍に急増したという。

そもそも“格安スマホ”とは

 国民生活センターが“格安スマホ会社”と表現する「MVNO」は、大手キャリア(ドコモ/au/ソフトバンク)から通信設備を借り受けて、通信サービスを提供する事業者。大手キャリアからは資本関係が無い会社が多く、大手キャリアのサービスではない独自のサービスとして提供している。

 大手キャリアより割安な料金のサービスが多いが、そのために各社はさまざまな方法で運営コストを抑えている。具体的には実店舗(キャリアショップ)を持たない、提供するサービス内容を限定する、端末とは別にSIMカード単体で提供するといった方法だ。

 こうした大手キャリアと異なるサービス内容が、トラブルにつながっている事例が多いという。格安スマホを契約して「こんなはずじゃなかったのに!」とならないよう、国民生活センターに寄せられた相談事例を見ていこう。

サポート・修理に関するトラブル

 MVNO事業者は実店舗を持たないことも多く、問い合わせ窓口が電話やホームページなどに限られていることがある。国民生活センターに寄せられた相談では「使い方や色々な不明な点を問い合わせたくても、実店舗がなく、サポートの電話窓口しかないが、何度かけても話し中でつながらない」(60代男性)というものがあった。

 また、大手キャリアで提供されている修理期間中の「代替機」の貸出は、MVNOでは提供されていないことが多い(一部のMVNOでは有料の機種交換サービスなどを提供している)。

 MVNOとセットで販売されている「SIMフリーのスマートフォン」の修理の受付窓口は、MVNOではなくスマートフォンのメーカーになる場合もあり、確認が必要だ。

通話プランでは「クーリングオフ」ができない

 大手キャリアでは、契約から8日以内なら違約金なしで解約できる「初期契約解除制度」(いわゆるクーリングオフ)が利用できる(※初期契約解除とは)。一方、MVNOの音声通話プランは、この制度の対象外となっている。8日以内の解約でも解約金が発生するため事前にサービス内容や契約期間を確認してから契約したい。

キャリアメールなど、大手キャリアの標準サービスがない

 大手キャリアでは、独自のメールアドレス(キャリアメール)を提供しているが、MVNO事業者のサービスでは利用できない。

 一部には独自のメールアドレスを提供しているMVNOもあるが、キャリアメール宛に送る場合は注意が必要だ。「キャリアメール以外をブロックする」設定となっていて受信拒否されるケースがあり、その場合は相手に設定を変更してもらう必要がある。

 また、フィルタリングサービスなど、大手キャリアでは無料で提供されているサービスが有料になっている場合がある。国際ローミングサービスなど、そもそも多くのMVNOでは提供していないものもある。

SIMロック解除していないと使えないケースも

 SIMカードのみを提供するMVNOでは、ユーザー自身で端末を調達することになる。今まで使っていた端末を、そのままでは利用できないケースがある。

 大手キャリアで2015年5月以降に発売された端末であれば、契約元のキャリアでSIMロックの解除を受け付けている。原則として、そのキャリアで半年以上の契約が条件となる。それ以前の端末では、キャリアによって対応が異なる。古い機種をそのまま使いたい場合は確認が必要だ。

中古端末を買ったら通話が使えないケースも

 インターネットオークションや通販サイト、中古端末販売店などでスマートフォンを購入する場合、「ネットワーク利用制限」が適用されていないか注意する必要がある。

 「ネットワーク利用制限」は、盗品だったり、前の利用者が端末代金を支払わなかったりする場合に適用される。通話や通信機能が使えなくなる。そうなった場合、購入元への問い合わせが必要となる。

 ネットワーク利用制限の対象かどうかは製造番号から調べることができる。購入前に、販売者に確認しておこう(※ネットワーク利用制限とは)。

インターネット申込では利用開始日に注意

 MVNOのサービスをインターネットから申し込んだ場合、実際に利用できるのはSIMカードが手元に届いてから。

 一方、手元に届く前に料金が発生する場合がある。SIMカードの受取時から契約となるが、不在配達などで手元に届かない場合でも、申込から数日後に利用開始という扱いになり、その時点から料金が発生する。

MNPで乗り換える場合、元のキャリアに解約金が発生する場合も

 電話番号はそのままでキャリアを変更するMNP(乗り換え)。この制度を利用してMVNOを契約する場合、同時に現在使っているキャリアが解約される。大手キャリアの場合、「更新月」以外の解約では、解約金が発生する場合があるので、現在契約しているキャリアに確認しよう。

「こんなはずじゃなかったのに!」とならないために契約前に確認を

 国民生活センターは、消費者へのアドバイスとして、まずは現在の契約状況を確認し、使いたいサービスの内容を検討するよう案内。

 格安スマホ会社(MVNO)についても、ホームページやパンフレットなどを使って、料金だけで無くサービスの内容を比較するよう推奨している。