ケータイ用語の基礎知識
【第1009回】頻発する災害への備え、スマホの充電をできる限り長持ちさせるコツ
2024年3月29日 00:00
地震を筆頭に災害が頻発している昨今。いざ被災者になったとき、スマートフォン・携帯電話は、情報を得たり、誰かと連絡をとったりと「命綱」となります。そんなスマホもバッテリーがなければどうにもなりません。今回は災害時にそなえてできる限りバッテリーを長持ちさせる方法をご紹介します。
災害の影響で停電してしまうと、次に充電できるのは48時間後か? 72時間後か? 電気はインフラの中でも比較的早く復旧するとはいいますが、災害の規模によっては、バッテリーが切れるまえに電気が戻るとは限りません。
モバイルバッテリーなどを用意しておくのも良いですが、可能な限りバッテリーを長く保たせる方法を、平常時から憶えておくと役に立つでしょう。最低限憶えておくことは、以下の2つです。
- iPhone:「低電力モード」にする
- Android:相当する省電力モード(「スーパーバッテリーセーバー」など)にする
- 両方:モバイル通信/Wi-Fiどちらか必要な通信のみに切り替える
余裕があったら下記を思い出してみてください。これらも消費電力を下げるには効果的です。
- ディスプレイの明るさは極力下げる
- ディスプレイの自動オフ時間も短くする
- アプリのバックグラウンド動作は停止する
- モバイルバッテリーは常日頃から準備しておく(常備されている避難所などもある)
低電力モード・スーパーバッテリーセーバーがしてくれることとは
iPhoneには「低電力モード」と呼ばれる電力モードがあります。普段は、使われることはほとんどありませんが、「設定」-「コントロールセンター」から設定することで、ホーム画面下から呼び出せる「コントロールセンター」画面にウィジェットを追加することもできます。
「低電力モード」は、一般的に利用者が節電してiPhoneを使わなければならないときの設定をiPhoneが自らほとんど行ってくれる便利なモードです。ですから、「電池を長く保たせよう」と思ったら、一番簡単なのはまず、この低電力モードを利用することなのです。
この低電力モードでは、iPhoneは、以下のような設定を自らに行います。
- (1)自動ロック設定が30秒に
- (2)ディスプレイの明るさを低下
- (3)iCloud写真の同期を一時停止
- (4)自動ダウンロードを一時停止
- (5)メールの自動受信頻度の低減
- (6)アプリの更新停止
- (7)5G通信制限
(1)と(2)に関しては、ディスプレイの消費電力をおさえる設定です。ディスプレイの明るさがスマートフォンの消費電力の一定の部分を占めていますから、まずここを抑えようというわけです。(3)~(7)は不急なデータ通信を制限することで、電力消費を抑えていると考えればよさそうですね。
Androidではメーカーによって呼び名が異なります。設定の「バッテリー」内に「スーパーバッテリーセーバー」「超省エネモード」「STAMINAモード」というような項目があると思いますので、これに切り替えましょう。
一例ですが、Google Pixelのスーパーバッテリーセーバーでは、スマートフォンが、以下のような制限をかけます。
- (1)画面消灯の30秒への短縮
- (2)画面ダークモードオン
- (3)[時間と情報を常に表示]をオフ
- (4)テザリング停止
- (5)ほとんどのアプリの一時停止(通知オフになる)
- (6)アプリのバックグラウンド実行停止
- (7)5G通信制限
- (8)CPUの処理速度低下
- (9)Wi-FiとBluetoothのスキャンをオフ
- (10)「OK Google」の認識をオフ
- (11)自動車事故検出機能をオフ
- (12)仕事用プロファイルオフ
(1)~(3)はiPhone同様画面の電力消費の削減、(4)~(7)は通信制限に相当するでしょうか。(8)はCPUの実行速度を落としての省電力、(9)~(12)はiPhoneにはなかったものと言えるでしょうね。なお、低電力モードでもiPhoneでは「Siri」を音声で呼び出せます。これが良いとするか、甘いとするかは判断の分かれるところでしょう……。
通信圏外でスマートフォンをつけっぱなしにすると……
ところで災害などによって、基地局などが止まってしまい、自分のいる場所が圏外になっている場合、携帯電話はどんな動作をするのでしょうか?
電波が届かない場合、スマートフォン・携帯電話はほかに通信できる基地局がないかと電波を発信し、返事を返してくれる局がないか確認するという動作を続けるように作られています。この動作は、スマートフォン・携帯電話の電力を消耗させます。
あらかじめ、長時間のサービス停止が分かっているような場合は、スマートフォン・携帯電話は通信をさせないほうが、電池を消耗させないですみます。
もし、大規模災害で地域全体が携帯電話の電波が届かず、かつあなたが避難所にいてWi-Fiだけが利用できるような場合は、スマートフォンを一度フライトモードにしてモバイル通信をオフにしてからWi-Fi通信をオンにして、Wi-Fiのみを利用することをお勧めします。そうすれば、スマートフォンは、不要なモバイル通信をする必要なく、最低限のWi-Fi通信とアプリ実行のみに専念できるでしょう。
逆に、携帯電話網の電波が届き、Wi-Fiが使えないような環境ではWi-FiをOFFにしておくべきでしょう。Wi-Fiを探知するにも電力を使用するからです。
「余裕があったら」編でやっていること
基本は、先に挙げた「低電力モード・スーパーバッテリーセーバー」「余分な通信をしない」を突き詰めるだけです。ただ、そのほかにもまだできることはあります。
たとえば、表示時のディスプレイを暗くすることです。携帯電話のバッテリー消費の大きな部分を占めるのが、液晶ディスプレイのバックライトや有機ELディスプレイの発光のための消費電力だからです。有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイよりもかなり消費電力は小さいですが、それでもディスプレイを全力で明るく表示するのとOFFにするのとでは負担が異なりますから、少しでも消費電力を減らそう、ということです。
あるいは、バックグランドタスクを閉じるということも考えられます。というのはAndroidの場合、「スーパーバッテリーセーバー」モードにしていてもまだバックグラウンドで動作しているアプリがいるので、これも停止させるよう、というものです。
画面を上から下に2回スワイプし、クイック設定画面を開きます。画面下に [◯個の有効なアプリ]とバックグラウンドで実行されているアプリの個数が表示されるのでタップ。アプリの[停止]をタップすれば閉じることができます(端末によりない場合もあります)。消費電力からすればシステムが無視するほど微々たるものですが、少なくともCPUリソースがこのタスクに割振られるのを阻止することができるはずです。