ケータイ用語の基礎知識
第882回:SDUCカード とは
2018年11月20日 06:00
今回紹介する「SDUCカード」とは、最大128TBという大容量のSDカードです。SDUCの“UC”とは「超容量」を意味する英語“Ultra Capacity”が由来です。
2018年6月、SDカードの規格を策定し推進する団体「SDアソシエーション」によって、次世代のSDカード規格「SD7.0」仕様が定められました。その中でSDカードの超高速バージョン「SD Express」と共に、SDUCカードの仕様も策定されました。
2018年11月現在、容量で見ると、SDカードには、SD、SDHC(High Capacity)、SDXC(Extended Capacity)というの規格があります(SDEXは、物理・速度に関する規格なのでここでは省きます)。
SDカードは、ファイルシステムにFAT16を使用し、容量2GBまでです。
SDHCカードは、FAT32で32GBまでになります。
SDXCカードは、exFATで2TBという容量をサポートしています。これらはピン配置も同じで、後方互換性を有します。
そして今回紹介する「SDUCカード」は、SDXCカードよりさらに大容量なメモリカードの規格ということになります。
exFATというファイルシステム自体は2TBを超えても利用できるためそのまま利用し、物理的な形状、ピンの配置などもこれまでのSDカードシリーズと全く同じとしました。
ただし、内部ではフラッシュメモリ上の書き込み位置・読み込み位置を指す「アドレス」を38bitブロックに拡張しています。これにより、最大容量として128TBまで扱えるようになったのです。
大きさや寸法(フォームファクター)は、標準的なSDカード(24×32×2.1mm)だけではなく、いわゆるmicroSDカードサイズ(11×15×1mm)にも対応しています。スマートフォン向けにも、いずれmicroタイプのSDUCカードが登場する可能性があります。
利用する際の注意点
SDUCでも採用されている「exFAT」は、extendedFAT(拡張されたFile Allocation Table)という意味です。SDHC以前のSDカードで使用されていたFAT16やFAT32といったファイルシステムからは構造が大きく変わっています。
そのため、大きなデータを扱うことができる一方で、ファイル名での検索が高速になるといった特徴を備えています。
ファイルシステムの構造上、1ファイルあたり最大16EB(エクサバイト、1EB=10億GB)まで扱うことができますから、SDUCカードでは128TBすべてで1ファイルということも可能です。
ところで、SDカードシリーズは、それぞれのカードリーダーに後方互換性があります。つまりSDXC対応のカードリーダーライターであれば、SDHCやSDカードを読み書きできます。
SDUCカードリーダーライターも同様で、SDXC、SDHC、SDカードを読み書きできることになります。
ただし、注意してほしいのはその逆のパターンです。つまり上位規格のカードは、下位規格対応リーダーライターで、利用できるかというと、保証されていないのです。
通常、非対応のSDカードが挿入されれば「ディスクが読めません」とリーダーライターが拒否するのが正しい挙動です。ところが過去、上位規格のSDカードが挿入された際にデータ内容が破壊されるという事象も起きたことがあります。
その後、当該のデバイスでは対応パッチが配布され、現在はそうした症状は起きません。しかし、新たな規格が登場、普及する前には、何らかのトラブルが起きえます。SDカードの場合、先述したように上位・下位の規格に注意して、新しい上位規格に対応していないリーダーライター(スマートフォン含む)にSDカードを装着しない、といったことに注意する必要があるでしょう。