ケータイ用語の基礎知識

第814回:4G+ とは

 NTTドコモのスマートフォンユーザーのなかには、最近、アンテナ表示周辺に「4G+」と表示されていることに気付かれた方もいるのではないでしょうか?

 以前の機種では、LTEで通信している場合、「LTE」と表示されていましたが、2016年の冬モデルからは「4G+」(機種によっては「4G」)と表示されるようになりました。

ドコモ「LTE」から「Premium 4G」に

 ドコモでは、第3世代の携帯電話サービスを「FOMA」、第4世代は「Xi(クロッシィ)」と愛称を付けて普及を図ってきました。その一方で、スマートフォンのアンテナ表示周辺には「LTE」と表記されてきました。

 もともとLTEはモバイル業界が通信規格を指す言葉として使ってきましたが、auやソフトバンクは、LTEの商用サービスを展開する際に、特別な愛称ではなく、「LTE」という名称をそのままサービス名として使うようになりました。LTEという表記が増えたことで、ドコモも「LTE」と呼ぶことが増えたのです。

 LTEは、モバイル通信の規格では、第4世代にあたるとされています。次の第5世代(5G)は2020年ごろに商用化される見込みですが、現在、日本国内ではいわば“第4.5世代”とも言える技術を導入しています。これは、「LTE-Advanced」と呼ばれるものです。その特徴は、「第4世代から、設備・技術をできるだけ利用しつつ、ユーザーに意識させないまま、高速通信への移行を行う」ことにあります。

 LTE-Advancedの代表的な技術としては「キャリアアグリゲーション」があります。これは、複数の周波数を束ねて利用することで、高速化するというものです。LTE対応機種には影響を与えないまま、LTE-Advancedに対応した端末がより高速な通信サービスを享受できるわけです。また、複数のアンテナを同時に使って高速化する「MIMO」も、さらに進化させたものがLTE-Advancedから導入されました。これもキャリアアグリゲーションと同じように、MIMO非対応の端末でもそのまま使えます。

 こうした特徴を持つLTE-Advancedを利用した通信サービスを、ドコモでは「PREMIUM 4G」という名付けて提供しています。ドコモの場合、この「PREMIUM 4G」対応機種が、LTEまたはLTE Advancedのサービス圏内にいる場合、「4G+」という表示がされるようになったわけです。

他キャリア端末、SIMフリー機では意味が違う場合も

 それよりも以前に、海外で「4G+」といった表記がされていることがあります。本誌コラム「みんなのケータイ」でも、台湾でそうした表記があったことをお伝えしていますし、最近では英国で欧州初の商用サービスとなるギガビット級LTE(LTE-Advanced)が導入され、4G+ネットワークとも呼ばれています。国内ではNTTドコモがまず導入した「4G+」という表記は、2017年7月現在、auやソフトバンクではまだ対応していません。

 ちなみにドコモの「PREMIUM 4G」対応機種では、そのエリアがLTE-Advanced非対応であったとしてもLTEエリア内は「4G+」と表示するようです。ただ、こうした表記はSIMロックフリー端末などでは異なる、つまり「どちらのモードで通信しているか示すケースがある」のです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)