ケータイ用語の基礎知識
第813回:6DoF とは
2017年7月4日 11:41
3次元のどの方向にも動く
「6DoF」とは、“自由度6”という意味の英語、“Six degrees of freedom”の略です。ざっくり言うと、物体がどの方向にも動ける、といった意味で使われます。
スマートフォン関連では、2017年5月、台湾HTCが発表した、スマートフォン「HTC U11」に接続するVR用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)「LINK」において、6DoF対応がうたわれているのです。
VR製品で6DoFということは、VR空間内を自由に動き回れるという性能を意味になります。つまり、前後・左右・上下への移動に加えて、それぞれの軸にそった回転も可能なのです。
X、Y、Zの3軸での移動と、それぞれ回転で「自由度6」
3次元空間での位置は3つの軸、つまり、縦・横・奥行き(x、y、z)のどこにいるかでその場所を決めることができます。
VRのように自分が仮想空間のどこにいて、どのような動きをするか、といった表現を実現するには、縦、横、奥行きという3つの軸に関して、自由度があればよいか、といえばそうではありません。
たとえば、自分がHMDを被ってVR空間上を動いていると考えてください。前に進もうと思えば奥行きの位置を、平行に移動しようと思えば横に、もっと高く飛びたいと思ったら縦の位置を変えれば見られることになります。
ところが、よく考えてみると、これでどんな動きもできるかを考えると足りない動きがでてくることに気付くでしょう。たとえばこの場で、鉄棒の逆上がりのような、横軸を中心として回転運動はできるでしょうか? 縦、横、奥行きという3つの軸だけでは表現できないのです。同じように、縦軸を中心とした回転、奥行き軸を中心とした回転も、空間上で自由な動きを表現するためには必要です。
縦横奥行き軸に平行した動きの3成分、軸を回転する動きの3成分、合わせて6成分の自由度を合わせて自由度6、これを実現できることを「6DoF」と呼ぶわけです。
VRゲームのうち、特にFPS(ファーストパーソンシューティング、一人称視点のシューティングゲーム)などを想像してみると、これら6つの動きが表現できることが、どれだけ重要かわかるかもしれません。
たとえば横に平行移動で壁の影から出ます。開けた所に出たら上下左右に自分を狙う者がいないか確認します。そして前進する。何かいたらトリガーを引いて撃ち、また平行移動で障害物の影に隠れる。この動作を実現するのに6つの自由度のどれかひとつでも欠けていたらリアリティが著しく欠けてしまうことがわかるでしょう。
リアリティを実感させるための性能として、VR関連では6DoFを実現するための工夫が製品に盛り込まれています。たとえばクアルコムのチップセット「Snapdragon 835」では6DoFへ対応していることが案内されています。
VRだけではなく、AR(拡張現実)でも、6DoFは当然、欠かせない要素です。グーグルが開発したARテクノロジー「Tango」では、電子コンパス、加速度センサー、ジャイロスコープから構成されるユニットで、6DoFのアルゴリズムの情報を取得していることが明らかにされています。