ケータイ用語の基礎知識
第807回:SMSゲートウェイサービス とは
2017年5月23日 12:07
「SMS」(ショートメッセージサービス)は、全角文字最大70文字相当程度までの短いメッセージをやりとりするためのサービスです。
一方で、企業が提供するサービスでは、SMSを活用して、数千~数万単位でメッセージを送りたい場合、自動的な応答メッセージを送りたい場合、本当に有効な携帯電話番号を所持しているか確認したい場合などで活用されることがあります。そうした場合、利用されるのが「SMSゲートウェイサービス」です。
今回紹介する「SMSゲートウェイサービス」は、企業などに代わり、SMSを送信したり、預かったりしてくれるサービスです。この機能の「送信側」のみを指して「SMS送信サービス」と呼ぶこともあります。
SMSゲートウェイサービスを提供する企業(SMSゲートウェイサービス事業者)は、携帯電話会社と契約して、SMSのメッセージセンター(SMSC)と、自社のSMS用送受信設備を接続します。この設備は、携帯電話会社からすると外部に存在するため、「外部ショートメッセージ設備」を意味するESME(External Short Message Entity)と呼ばれることもあるようです。
SMSゲートウェイサービスの持つ外部装置は、コンピュータープログラムがアクセスできるインターフェイス(API)や、管理用のWeb用画面といったソリューションであったりしますが、これを含むSMSを扱うサービスがSMSゲートウェイサービスと呼ばれるわけです。
設定や事業者の規制で、おかしなSMSが来たり届かないことも。
SMSは最近、本人確認代わりとして、携帯電話の番号認証で使われることが多くなりました。SMSが、認証によく使われるのは「一般のユーザーがSMSを受信できたら、おそらく携帯電話を使っているだろう」と推測できるからです。つまり、有効な電話番号のある携帯電話を使っていることを、証明するわけです。
SMS認証は、基盤を一から準備すると非常にコストがかかります。そこで、SMSゲートウェイを専門にするSMSゲートウェイ事業者が存在します。SMSゲートウェイの設備を用意し、ソリューションとして提供するわけです。ちなみにSMSゲートウェイ事業者は、SMSと同時に相手に自動音声で電話をかけて認証を行う“IVR認証ソリューション”を手がけるなど、電話関係のソリューションも同時に提供していることが多くあります。これは設備や電話会社との契約などで共通性が多いためです。
SMSゲートウェイサービス事業者としては、たとえばTwilioやNexmoといった有名どころから、零細な再販業者も含めて、非常に多くの事業者が世界中に存在します。
そのサービスレベルもさまざまです。日本の携帯電話事業者に直収できるレベル、世界に知られるほど大きく有名な事業者から、あるいはたとえば規制の緩い国や携帯電話事業者と接続して利用者にとっては、あまり便利ではないサービスを提供するケースもあります。
SMSメッセージは、日本語文字なら70字程度までの短いメッセージを、相手の電話番号に向けて送るという仕組みになっています。プロトコル的には、発信元も自分の正当な携帯電話番号、もしくはそれに準ずるものを送ることになっています。050番号や03番号といった日本で使われる番号を通知するのに、海外からの電話発信同様、先頭の「0」を省いて、結果として無効な番号を通知する業者がいます。ユーザー(受信側)の使用する携帯電話回線によっては、このような番号は非通知扱いにすることもあります。
SMSゲートウェイサービス事業者業者の中には非常に安価、あるいは無料でSMS送受信をできてしまうところもまれにあります。
一般ユーザーにとって、SMSの利用料は通常、受信が無料、送信が1通3円です。ところがSMSゲートウェイサービスの中には、海外の電話番号を使うものもあります。つまり国際SMS(海外SMS)を送ることになり、その際には送信料が1通50円~100円など、普段のSMSよりも格段に高い料金になることが一般的です。SMSの利用料は通常、パケット定額とは別に請求されますのでこうしたサービスの利用は注意が必要ですし、ユーザーにとって料金の高さなどが、わかりやすく案内されたり、高額な請求にならなったりしないよう、企業側にも何らかの取り組みが必要でしょう。