ケータイ用語の基礎知識

第806回:Mopria とは

Androidスマホから各社のプリンタを使える

 「Mopria」(モプリア)は、スマートフォンやタブレットなどから、さまざまなメーカーのプリンターを同じような操作で印刷できるようにする規格です。

 2017年5月現在、Androidスマートフォン用のMopriaアプリが提供されています。これをインストールすると、各社のモバイルプリンターや家庭用のプリント複合機、オフィス用プリンターまでさまざまなプリンターで同じように印刷できるようになっています。

 Mopria規格の制定、普及活動などは、非営利団体「Mopriaアライアンス」が進めています。2013年の設立時は、キヤノン、HP、サムスン電子、ゼロックスの4社のみでした。それから4年経った2017年には、コニカミノルタ、Lexmark、京セラドキュメントソリューションズ、ブラザー、エプソン、富士ゼロックス、リコー、Dellといった企業も参加しています。

Mopriaに対応したプリンターには、この認定マークが添付されている

 そのためMopria対応プリンタも、現在では、各社の普及型モデル~高級モデルまで、対応機種が広がっています。Mopriaアライアンスによる認証は2014年から始まりましたので、現在、店頭に並んでいる製品であれば、多くのプリンタがMopriaに対応していると考えていいでしょう。

 Mopria対応のプリンタには、製品の外箱やマニュアルなどに、Mopriaのロゴが掲載されていますので、確認してみるのもいいでしょう。

Android 4.4以降で対応

 古くからコンピュータの周辺機器として、印刷機器であるプリンターが用意されていました。かつては、機種ごとのプリンターもありましたが、その後、さまざまなパソコンで利用できる汎用プリンターが登場しました。ただ、プリンターごとにドライバーソフトをインストールする必要がありました。プリンターによって、利用できるインクの色数や解像度、扱える紙の種類などが異なります。それに合わせたやり方を、コンピューターに「ドライバーソフト」という形で定義しておかないと、コンピューターはそれに合わせた印刷ができないのです。

 一方、Mopria規格では、技術的な要件が定義され、多くのプリンターが対応しています。スマートフォン/タブレット側でも、Android 4.4以降ではOSに組み込まれる形で、ユニバーサルプリントドライバー機能が提供されています。こうした取り組みにより、メーカーの垣根を超えて、数多くのAndroid端末とさまざまなプリンターを組み合わせて利用できるようになったのです。

 Mopriaの標準規格には、ユーザー体験を実現する最低要件を定めた「ユーザー体験(UX)ガイドライン」も含まれているため、操作方法も、どのメーカーのプリンタに対しても同じように行えます。

 利用する際には、Wi-Fi Directを使用して直接プリンターと接続するか、Wi-Fiルーター経由で同じネットワーク内にいるプリンターにアクセスすることになります。もっと簡単なのは「tap-to-print」という機能を使うやり方です。これは、スマートフォンの画面に印刷したい写真やテキストなどを表示しておき、プリンターに「タップ」、つまりある箇所に触れることで印刷させるというやり方です。このとき、Androidスマートフォンに内蔵されているNFCを用います。NFCを使って、印刷させたい内容などの情報をプリンターに伝え、写真データを送るためにWi-Fiでも接続し、印刷されるのです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)