ケータイ用語の基礎知識
第778回:Apple Pay とは
2016年10月25日 12:53
「Apple Pay」は、アップルがiPhoneやiPad向けに提供している電子ウォレット(財布)機能です。非接触、つまり店頭のリーダーライターにかざしてショッピングの代金を支払う、決済手段として利用することもできます。
「iPhone SE」「iPhone 6」、「iPad Pro/Air 2」といった従来のiOSデバイスでは、たとえばApp Storeでの有料アプリやコンテンツ、あるいはWebサービスの支払いでも利用できます。
日本国内ではiPhone 7/7Plus、Apple Watch Series 2(Apple Watch 2)を使って、リアル店舗でのショッピングや交通手段の乗車券として利用できます。これをアップルでは、「タップ&ペイ」と呼んでいます。
海外では、2014年10月の米国でのスタートを皮切りに利用エリアが拡がっており、日本は12カ国目です。
レジでは「iD/QUICPayで支払う」と告げて
Apple Payの基本機能は、クレジットカードと連携する「iD」や「QUICPay」といった非接触決済サービスを管理します。たとえば、iPhone 7/Plusの場合は実際の店舗・交通機関での支払いでは、iDか、QuicPayで支払うと告げることになります。
日本国内では、実際の店舗では、Apple Payのマークのほか、QUICPay、iDのマークが掲示されている店舗やレジで利用が可能になります。
実際の使い方としては、店舗での支払いの場合、店員に「iD」か「QUICPay」を利用することを告げ、ホームボタンに指を載せた状態でiPhone 7/Plusをレジのカードリーダーにかざす(Apple Watch 2の場合、サイドボタンを2回クリックしてリーダーにかざす)と、決済完了の音が鳴り、支払いが完了します
また、Web上のオンライン店舗などでの支払いにApple Payを利用する場合も、同様にホームボタンに指を載せるTouch IDで支払いが可能です。このため、ユーザー自身がクレジットカードの番号を憶えたり、カードを持ち歩く必要がないというのもApple Payのメリットのひとつです。
なお、国内の場合は、Apple Payが利用可能なiPhone 7/Plusを、電子マネー「Suica」の互換カードとして、一部機能を利用することができます(iDやQUICPayの場合と異なり、Suicaはプリペイド型の電子マネーで、事前にチャージした金額のみ鉄道の運賃や売店・コンビニなどでの支払額に充てることができます。
この場合も、クレジットカードやポイントカードを登録するのと同じで、Apple Payには紐づくSuicaを登録しなければなりません。ただしSuicaの場合、iPhone 7/Plusでは、かざすだけでカードデータを読み取ってApple Payへ登録します。
日本でのApple Payこのタップアンドペイで使用するNFC通信は、日本国内の場合、これまで国内で利用されてきたサービスもあって、NFC Type-F、いわゆるFeliCaを使います。海外でのApple Payとは異なるもので、海外で販売されているiPhone 7/Plusは、日本国内での店舗での支払いには利用できません。
海外版のApple Pay同士でも、利用できない店舗やエリアもあります。たとえば中国のユーザーが、中国の銀行が発行したキャッシュカードを登録すると、決済カードの種類は「銀聯カード」となります。このApple Payでは、銀聯カードを利用できない場所では使えません。
ちなみにAndroidなどの「おサイフケータイ」の場合、通信方式が同じで、同じ種類の電子マネーや提携している電子マネー同士でなら日本国内で使用していたスマートフォンを海外での支払いに利用可能なケースがあります。たとえば、iD/NFCが利用できる日本のおサイフケータイでは、iD/NFCと提携しているMasterCardコンタクトレスが利用可能な香港や米国のスーパーやコンビニなどで支払いが可能です。
Apple Payのセキュリティ対策は、多くのクレジットカードの場合、Apple Payにカードを追加する際、携帯電話のSMSやE-mailを利用したワンタイムパスコードなどを利用するというようなカード会社側の認証が行われます。また支払いのタイミングでは、指紋認証の「Touch ID」によるセキュリティを利用できます。iPhone、iPadの場合、指紋認証によるセキュリティがOSに標準で組み込まれているので、このようなアプリ側の認証も統一した指紋認証などのセキュリティ管理方法を利用できるのが、Androidなどと比較した場合の強みであるといえるでしょう。
ちなみに、Apple Payでクレジットカードを登録しても端末上ではカード番号は下4桁のみしか表示されない、決済の際には通信データにはトークンを利用し実際のカード番号が利用した店などには残らないといった仕組みは、前々回に説明したAndroid Payとも同様です。
iPhoneやApple Watch 2を紛失した場合、「iPhoneを探す」機能で紛失モードに設定することでApple Payの利用を停止させることもできます。あるいはPCなどからiCloud.comにログインしてApple Payの支払いを停止させることも可能です。