山根康宏の「言っチャイナよ」

シャオミの激安「1000元5G機」やキャリアブランドモデルが登場

 世界最大のスマートフォン市場、かつ最大の5G加入者数を誇る中国で毎月発売された5Gスマートフォンを香港在住の携帯電話研究家、山根康宏が紹介する。

 2023年6月に発表・発売された5Gスマートフォンは前月までの多数の新製品と比べると4機種とわずか。なお6月以前に発売された2機種も今月発表になったため合わせて紹介する。合計6機種の内訳はシャオミ1機種、vivo 1機種、その他4機種。

 シャオミは1099元(約2万1000円)の激安機を投入、vivoはカメラフォンをマイナーチェンジ、中国キャリアの中国電信が自社ブランドモデルを2機種投入した。ZTEの衛星対応AXON 50 Ulrraは4月に発表された製品で、今月発売になった。

キャリアブランドのセキュリティ強化5Gモデル「Tianyi Platinum 10」

 中国キャリアの中国電信は自社ブランド端末「Tianyi / 天翼」シリーズをこれまで毎年1-2機種製品化してきた。

 過去のモデルは1000元を切る格安機だったが、2023年モデルの「Tianyi Platinum 10(天翼鉑頓10)」は国産をうたうUNISOCの上位チップセットを搭載し、Android OSと中国国産の高セキュリティOSをワンタッチで切り替え可能な安全設計を売りにしている。

 政府や金融機関などビジネス層をターゲットにしており、本体はカメラ性能も高めて価格もミドルハイレンジクラスとなっている。

項目内容
発表日2023年5月17日
価格3099元(約6万1000円)から
チップセットUNISOC T820
ディスプレイ6.67インチ2400 x 1080ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万広角+800万超広角+200万深度測定
インカメラ画素数1300万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB、12GB+256GB
バッテリー5000mAh、65W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ164.3 × 75.4 × 8.6mm。198g

ZTEの新ミドルレンジシリーズ「V70」

 ZTEから突如登場した「V」の型番をつけたモデル「V70」はミドルレンジスペックの5Gスマートフォンだ。遠航シリーズとして展開しているキャリア向けモデルを一般販売向けとした製品と考えられ、トリプルカメラに1600万画素のフロントカメラと写真性能も悪くはない。

項目内容
発表日2023年6月4日
価格未定
チップセットMediaTek Dimensity 810
ディスプレイ6.67インチ2400 x 1080ピクセル、90Hz
リアカメラ画素数6400万広角+800万超広角+500万マクロ
インカメラ画素数1600万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー5100mAh、65W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ163.9 x 76.2 x 8.3mm。192g

ファーウェイエントリー機を5G化したキャリアモデル「Maimang A20 5G」

 中国電信が販売するもう1つのブランド「Maimang」シリーズ最新モデルが「Maimang(麦芒)A20 5G」だ。

 Maimangはファーウェイ製品の派生モデルとして販売されており、Maimang A20 5Gもファーウェイ「Enjoy 50z」をベースに同モデルを5G化したエントリーモデル。なお中国国内のファーウェイストアの一部店舗ではこのMaimangシリーズが展示販売されている。また2023年4月に「Maimang 20 5G」と名前の似たモデルを出しているが、こちらのA20 5Gとは別製品だ。

項目内容
発表日2023年6月15日
価格1299元(約2万5000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.52インチ1600 x 720ピクセル
リアカメラ画素数5000万広角+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数500万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンド不明
サイズ164.28 x 75.8 x 8.94mm。188g

カメラフォンのチップセットのアップグレードモデル、vivo「X90S」

 2022年11月に発売したvivoのフラッグシップカメラフォン「X90」のチップセットをマイナーアップグレードしたモデルが「X90S」だ。X90のチップセット「Dimensity 9200」を最新の「同9200+」へ換装。

 本体のカラバリはX90の4色のうち青の代わりに緑を加えた。最低メモリ構成はストレージ128GBを廃止、同じ8GB+256GBモデル構成ではX90より200元の値上げとなった。

項目内容
発表日2023年6月26日
価格3999元(約7万7000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 9200+
ディスプレイ6.78インチ2800x1260ピクセル、120Hz
リアカメラ画素数5000万+1200万超広角+1200万2倍望遠
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB、12GB+256GB、12GB+512GB
バッテリー4810mAh、120W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n3 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77(3300-3800MHz) / n78
サイズ164.1x74.44x8.48mm、8.88(赤)mm。197.5g(赤)、201.5g(黒)、202.2g(緑)、203.5g(白)

シャオミからも激安5Gスマホ「Redmi Note 12R」登場

 1000元前後の激安5Gスマートフォンが他社から毎月のように発売される中で、シャオミから1099元の「Redmi Note 12R」が登場した。シャオミは1000元以下の格安機は4Gモデルで対応していたが、市場はすでにエントリーユーザーも5G機を買う時代になっているわけだ。

 チップセットはメディアテックではなくクアルコムのエントリー向けであるSnapdragon 4 Gen 2を初搭載。格安ながらメインカメラは5000万画素と、このクラスの製品では高いコスパを誇る。

項目内容
発表日2023年6月29日
価格1099元(約2万1000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 4 Gen 2
ディスプレイ6.79インチ2460x1080ピクセル、90Hz
リアカメラ画素数5000万+200万マクロ
インカメラ画素数500万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成4GB+128GB、6GB+128GB、8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n5 / n8 / n28A / n41 / n78、NSA : n41 / n78
サイズ168.0 x 76.28 x 8.17mm。199g

ZTE初の衛星通信対応ハイエンド機「AXON 50 Ultra」

 2023年4月に発表されたZTEのフラッグシップ「AXON 50 Ultra」が6月に発売となった。6400万画素を含む高画質トリプルカメラを搭載、ディスプレイは144Hz駆動、80W急速充電にも対応。またZTEとして初の衛星通信にも対応し緊急時に携帯ネットワークがなくともSMSの送信が可能だ。

項目内容
発表日2023年4月13日
価格6299元(約12万2000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、144Hz
リアカメラ画素数6400万+5000万超広角+5000万2倍望遠
インカメラ画素数3200万(パンチホール)
RAM/ROM構成12GB+256GB、12GB+512GB
バッテリー5000mAh、80W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ161.83 x 73.1 x 8.92mm。199g
山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。