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Wi2とアクセンチュア、訪日外国人向け行動分析サービス「インバウンド・レーダー」

 ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)とアクセンチュアは、個人事業主や中小企業向けに、訪日外国人の日本での行動情報を把握する分析ツール「インバウンド・レーダー」(Inbound Radar)の提供を開始した。月額1980円(税抜)で、誰でも利用できる。12月31日までの登録者には2016年1月末まで無料で利用できるキャンペーンが実施されている。

「インバウンド・レーダー」

 「インバウンド・レーダー」は、訪日外国人をターゲットとしたプロモーションサービス群「インバウンド・サテライト」(Inbound Satellite)の第1弾。Wi2が「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」で大企業や自治体向けに提供していた分析ツールを簡略化し、個人でも使えるようにしたもの。パソコンやタブレット端末などのブラウザで動作する。

画面イメージ

 ユーザーは、ブラウザ上に表示された地図から自分の店などの任意の地点を選ぶと、そこを訪れた過去1カ月の「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」の利用者数が表示される。1カ月単位で過去6カ月まで遡って分析できるほか、利用者の使用言語、国籍別、日時・時間帯別で絞込みができる。地点は直径100m~3km単位の円形で指定可能。

 1地点につき3地点まで、関連する地点を登録できる。関連地点に駅や観光地などを選ぶことで、関連地点から最初に登録した地点への訪日外国人の流入状況を把握できる。

国籍はアプリ利用者が登録したもの。時間帯別表示はヒートマップ形式

 「インバウンド・レーダー」で表示される訪日外国人の行動データは、訪日外国人向けの無料Wi-Fiアプリ「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」の利用者の位置情報を統計的に処理したもの。Wi-FiだけでなくGPSを利用して取得したデータも含まれており、その地点を訪れた利用者(ユニークユーザー)の実数が表示される。

 Wi2では「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」アプリのダウンロード数は100万人を超える規模で、その利用者の99.9%が訪日外国人のため、ノイズのないデータが得られるとしている。統計データの分析を担当するアクセンチュア アナリティクスの日本統括、工藤卓哉氏は、「首都圏、地方に関わらず統計学的に有意なサンプル数が取れている」と話した。

訪日客3000万人達成には個人商店の受け入れ態勢整備が不可欠

 国内ユーザー向けには「au Wi-Fi SPOT」など、通信事業者を通して提供されるWi-Fiスポットサービスの運営に注力するワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)。訪日外国人向けではWi-Fiスポットを無料で開放し、その利用者に対するマーケティングサービスを企業や自治体向けに提供している。

ワイヤ・アンド・ワイヤレス 代表取締役社長 大塚浩司氏
アクセンチュア アナリティクス 日本統括 工藤卓哉氏

 発表会の冒頭登壇した同社代表取締役社長 大塚浩司氏は、政府が掲げた「2020年の訪日外国人観光客の受け入れを年間3000万人に拡大する」という目標に触れ、そのための課題として「受け入れ環境の見える化」を挙げた。

 一方で、外国人観光客へアプローチするための分析ツールは今までインバウンドビジネスを積極的に展開する大企業向けや大規模自治体向けが多かった。今回の「インバウンド・レーダー」は、商店主や店舗の従業員など、店舗レベルでの環境評価や分析に使えるサービスとした点が今までのマーケティングツールとの差別化点としている。

 Wi2とアクセンチュアでは、個人向けインバウンドマーケティングツール「インバウンド・サテライト」の第2弾として、年明けには「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」情報配信サービスの提供を予定している。

 また、「インバウンド・レーダー」でもアクセンチュアの持つ機械学習のノウハウを生かし、嗜好別の振り分け分析機能をオプション機能として「無理のない値段設定」(アクセンチュア工藤氏)で提供するという。

左から、ワイヤ・アンド・ワイヤレス取締役 副社長 南昇氏、同社代表取締役社長 大塚浩司氏、アクセンチュア アナリティクス 日本統括 工藤卓哉氏

石井 徹