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テレビ周波数帯のホワイトスペースを利用したLTEフェムトセル、NICTが実証実験

 情報通信研究機構(NICT)は、テレビ放送波で用いられている周波数帯の空き帯域(ホワイトスペース)を活用する、LTE通信に対応したフェムトセル(小型基地局)を開発した。

 テレビ放送で用いられている周波数帯(470~710MHz)には、チャンネル同士の干渉防止などの理由で、これまで用いられていなかった周波数(ホワイトスペース)が存在する。NICTでは、このホワイトスペースを利用して、テレビ放送に影響しない形でモバイルネットワークの利用帯域として活用する研究を進めている。

 今回NICTが開発したフェムトセルは、ホワイトスペースを利用してTDD-LTEネットワークを展開できる、主に屋内向けの超小型基地局。A4ノートサイズの基地局で、ハンドオーバー機能を備えており、地下街やイベントホールなどの人の多い場所に高密度で設置することで、トラフィック分散を効率よく行えるとしている。

 このフェムトセルは「EPC」(Evolved Packet Core)と呼ばれる、LTEのデータ通信システムの管理装置により制御され、それぞれのフェムトセルに異なる運用周波数や送信出力、運用帯域幅の割り当てが可能。

 NICTでは以前に、ホワイトスペースに対応したLTE通信端末やスマートフォンを開発している。これらと今回開発したフェムトセルを用いて、ホワイトスペースの利用効率を向上させる方式の評価を行っていくという。

 今回開発されたフェムトセルを含むシステムは、5月27日~29日に開催される無線技術の展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2015(WTP2015)」でNICTのブースにて展示される。

石井 徹