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フリービット、キッズスマホをソフトウェアで実現した「PandA KIDs」

アプリなどをバズルのピースに見立てて親子でやり取り

 フリービットは、同社が展開する通信サービス「freebit mobile」の端末を子供向けスマートフォンにできるサービス「PandA KIDs」を12月24日より開始する。サービスの利用料は無料で、「freebit mobile」のユーザーが利用できる。対象年齢は7歳~15歳頃まで。これまで提供されてきた「PandA」シリーズの端末にソフトウェア更新を行うことで利用可能になる。保護者が「freebit mobile」を利用していない場合は、ブラウザでアクセスするWeb上の管理コンソールを月額200円(税抜)で利用できる。

「PandA KIDs」の画面

 「PandA KIDs」は、同社の「PandA」シリーズの端末のソフトウェアに、子供向けの機能を追加することで、保護者が許可したアプリやURLだけを利用できるようにするサービス。許可できる単位はアプリだけでなく、URLや特定の電話番号だけ、といったことも可能。こうした許可されるアプリなどはパズルのピースに見立てられており、子供が「おねだり」として保護者にアプリを申請したり、保護者から「プレゼント」の形で許可をもらうことも可能。

 保護者は「PandAファミリー」として提供されるWeb上の遠隔管理コンソールから、「PandA KIDs」の端末にインストールされているアプリの一覧を確認できる。「おねだり」されたアプリの許可や、許可したアプリの稼働時間などを確認でき、アプリの利用時間の制限や、アプリの削除も可能。

 例えば「PandA KIDs」が有効になった子供の端末で「Google Play」アプリが許可されていると、子供は好きなアプリをダウンロードできることになるが、許可されていないアプリはインストールできても起動はできないため、使いたい場合は「おねだり」にアプリを登録する。「おねだり」に登録されると、保護者にはメールで通知されるほか、管理コンソールにてGoogle Play上での評価や、レーティング情報なども参考情報として確認できる。動画サービスやWebサイトも、URL単位で“ピース化”しておねだりや許可ができる。動画サイトでは、URLが異なる“関連動画”にはアクセスできないなど、動画単位での許可も可能になっている。

 「PandA KIDs」では基本的に、保護者がアプリやURLを判断・管理する形。上記のように利用時間の制限や削除といった実効的な手段をとることも可能だが、「おねだり」の許可やその過程で、内容や利用時間の約束といった子供との対話が行えるとする。

 「PandA KIDs」では年齢に合わせた設定も行われ、年代の変更で、「PandA KIDs」としてプリインストールされるアプリの内容が変更される。ホーム画面は、パズルのピースを並べるイメージで、タイル状になったメイン画面のみで構成されており、サブメニューから「プレゼント」や「おねだり」といった画面を表示できる。

 同社ではすでに、端末の位置の確認や、必ず読まれる伝言板などの、見守り系の機能群「PandAファミリー」を無料で提供しており、これらも組み合わせて、「PandA KIDs」を子供向けスマートフォンとして展開していく。

 「PandA KIDs」は、技術的にはサンドボックス型バーチャルマシン「KIDs VM」をスマートフォン(PandA)に搭載することで実現し、ソフトウェア更新により実装する。端末は、これまでに販売した「PandA」シリーズのスマートフォンが対応する。「PandA KIDs」を利用している端末では、Google Playや通話といった機能が端末自体に搭載されていていも、「KIDs VM」の働きにより、保護者の許可なしにはアクセスできない、あるいは起動できないようになっている。

「PandA KIDs」のアーキテクチャ

「購入したくない理由」に、技術力で向き合う

 17日には都内で記者向けの発表会が開催された。登壇したフリービット 代表取締役社長の石田宏樹氏は、「freebit mobile」のサービスやスマートフォン「PandA」が、スマートフォンの利用を躊躇している40代以上のユーザーをターゲットにし、垂直統合型のビジネスで黒字化にもめどがつくなど、成功を収めていると紹介する。

「PandA KIDs」を披露するフリービット 代表取締役社長の石田宏樹氏

 石田氏はその上で、「次のターゲットは子供」とする。保護者の持たせたい、持たせたくないという相反する気持ちや、利便性への評価、不安といった点を挙げ、「“子供にはまだ早い”など、漠然としたところで止まっている。何が早いのか? 明確な答えを提供する必要がある。(子供に持たせる端末として)購入したいくない理由への対処は、これまでのPandAでは中途半端な対応だった。これを変えた」と語り、アプリの利用を中心に据えてアーキテクチャから開発した「PandA KIDs」を披露した。

 石田氏は、実際の端末を使って「PandA KIDs」のデモンストレーションを行い、端末上の見た目や管理コンソールから見た振る舞いを紹介した。同時に、ソニーが子供向けに展開していたAV機器「マイ・ファースト・ソニー」やそのコンセプトがインスパイアの元になったことも明かし、バーチャルマシンや管理コンソールなどの複雑な技術を、パズルのピースという子供向けのシンプルなメタファーで提供するとアピールした。

太田 亮三