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スマホと連携、ハイエンドコンパクトカメラ「GR」

 ペンタックスリコーイメージングは、Wi-Fi内蔵メモリカード「Eye-Fi」連動機能に対応したコンパクトデジタルカメラ「GR」(ジーアール)を発表した。5月下旬にも発売される。

ペンタックスリコーの赤羽氏(右)

 「GR」シリーズは、1996年に登場したリコーのハイエンドコンパクトカメラブランド。2005年に最初のデジタル機が登場し「II」「III」「IV」と数字を積み増してきた。第5弾となる今回は集大成として「GR」という製品名で展開される。カメラのサイズは「GR1」と同じ。

 有効画素数約1620万画素のCMOS。レンズは5群7枚構成で、F値はF2.8~F16。35mmフィルムカメラ換算で約28mm。NDフィルターも搭載する。

 ディスプレイは3.0型の透過型液晶を装備する。画像処理エンジンとして新開発の「GR ENGINE V」を備える。GRシリーズとしては初のフルHD、30fpsの動画撮影に対応し、動画から静止画が切り出せる。約1秒の高速起動に加え、コントラストオートフォーカス(AF)で約0.2秒でピントが合う。大きさは117×61×34.7mmで、重さは約245g。

 側面部のボタンで、絞りプレビュー機能が呼び出せるほかこのボタンでスマートフォンへの転送が行える。Eye-Fiを利用することで、送りたい画像を選んで2クリックでスマートフォンに転送できる。

 撮影した写真を再生し、側面部のボタンを押すと、画像をそのまま転送するか、画像サイズを変更して転送するか選択する。画像はSサイズ(5M相当、2592×1944ドット)、XSサイズ(3M相当、1728×1296ドット)にリサイズして転送できる。送りたい画像のみを最大20枚までカメラ側で選んで転送できるほか、全ての画像を転送するといった使い方ができる。スマートフォンやタブレット端末などに転送後、SNSや写真共有サービスなどへ写真を投稿できる。

コンデジ市場をスマホが縮小するも、ハイエンドは急拡大。

 2012年に1億台を切り、デジタルカメラ市場は非常に厳しい。――ペンタックスリコーイメージングの代表取締役社長の赤羽昇氏は、冒頭にそう語った。中でもコンパクトデジタルカメラの市場は、世界的に大きく縮小しており、その要因となっているのがスマートフォンであるとした。

 赤羽氏は、「一眼レフやミラーレスは売れているが、スマートフォンによって、とくに安価なコンパクトカメラ市場が減っている。しかし、ハイエンドのコンパクトカメラについては、コンパクトカメラ全体の中でシェアは小さいものの、非常に伸びている。これは世界で共通だ」などと語る。

 説明によれば、スマートフォンの世界的な普及により、安価なコンパクトデジタルカメラがスマートフォンで代用されるようになった。これにより、スマートフォンの普及が写真を撮るユーザーの絶対数を大きく伸ばし、そうしたユーザーの中からより良い写真を撮りたい、より高性能なカメラで撮りたい、といった新たなニーズを掘り起こしているという。

 リコーのGRシリーズは、1996年にフィルムカメラとして登場以来、一環してハイエンドなコンパクトカメラブランドとして、ファンを獲得しているシリーズだ。デジタルカメラの「GR DIGITAL」シリーズとしては5世代にあたる今回、DIGITALの文字と数字がなくなり、シリーズブランド名「GR」のみを製品名とした。赤羽氏は「これまでのGRシリーズの集大成であり、最高峰。待望のブランドのいいカメラです」と語った。

森山大道がGRを語る

 このほか、発表会には、著名な写真家として知られる森山大道氏が登場した。通常、こうした製品発表会に顔を出すことはなく、本人は「初めて」と話していた。

 力強いモノクロ作品で知られる森山氏は、コンパクトカメラで街を撮り続けている。GRシリーズも初代のフィルムカメラから使い続けているという同氏は、「ストリートスナップにもっとも適していると思う。今回のは初代に近い。暗がりがスカッと撮れる。来月から本格的に撮ろうと思っているが、都市をスナップするのにいいよね」などと話した。

津田 啓夢