Androidへの転送を手軽に設定、「Eye-Fi」の新製品


 アイファイジャパンは、無線LAN内蔵メモリカード「Eye-Fiカード」の新製品として、デジタルカメラからNTTドコモのAndroidスマートフォンへ転送できる新製品「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」を4月13日に発売する。他社のAndroidでも利用できる。ドコモ製品の取扱店で販売され、オープンプライスだが、店頭価格は5980円程度になる見込み。

 アイファイジャパンの親会社であるEye-Fiは、NTTドコモと今年2月に提携。ドコモのクラウドサービスとEye-Fiの技術の融合を進めることを目指しており、ドコモからEye-Fiに対して出資も行われた。アイファイジャパンでは10日、都内で報道関係社向け説明会を開催した。

左からドコモの高原氏、Eye-Fi CEOのコーレン氏、アイファイジャパンの田中氏

“手軽に設定できる”新機能

「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」
専用アプリで認証キーを登録する

 「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」は、スマートフォンとの連携機能「スマホかんたん設定」を搭載した、無線LAN(WiFi)機能内蔵のSDカード。今回は、新機能「スマホかんたん設定」をサポートし、専用アプリをインストールしたAndroid端末と事前に設定を済ませておくことで、デジタルカメラで撮影した写真をスマートフォンへ転送できるようになった。

 これまでも「Eye-Fi」ではダイレクトモードと呼ばれる機能で、スマートフォンへの画像転送が可能だったが、この新機能では、より手軽にスマートフォンとの連携を設定できるよう、「スマホかんたん設定」用の認証キーが同梱され、初期設定で「ダイレクトモード」がすぐ利用できるようになっている。

 利用時には、転送先のスマートフォンに専用アプリをインストールし、パッケージに同梱される認証キー(QRコードで読み取り可)、メールアドレス、パスワードを登録する。

 Android 2.2以降のスマートフォン、タブレットで利用できる。製品名に「for ドコモ」と記されているが、ドコモ以外のAndroid端末でも利用できる。なお、既存のEye-Fi製品のユーザーについては、「既にダイレクトモードを利用し、その設定を終えている」として、「スマホかんたん設定」は提供されない。

 SDHCカードとしては4GBの容量を備え、デジタルカメラなどに装着して写真などのデータを記録できる。「Eye-Fi」シリーズの特徴として、デジタルカメラに装着し、撮影したデータをWi-Fi経由でパソコンやクラウドサービスへ転送できる。パッケージにはパソコン接続用のUSBカードリーダーが同梱される。購入すると、3カ月間無料で有料会員サービス「Eye-Fi Premium」(月額480円か年額4800円)として、Eye-Fiのクラウドサービスを無制限に利用できる。

ドコモのフォトフレームと連携、今後サービス開発も

 ドコモ以外のスマートフォンでも利用できるが、ドコモ製品のうち、デジタルフォトフレームについては、Eye-Fiで写真をすぐ送信できる機能が新たに実装された。10日のEye-Fiの説明会に登壇したNTTドコモ ユビキタスサービス部長の高原幸一氏は「今後、サービスについて協議したい」と述べ、今後も両社によるサービス開発を続けていく意向を示した。

 会見後、同氏にあらためて尋ねたところ、タブレットの活用が今後広まる中で、携帯電話やスマートフォン以上に大きなサイズの画面において、写真を一定程度のクオリティで楽しむにはデジタルカメラの役割が高まると説明。まずは小さな子供がいる家庭などでの利用を見込み、今後もEye-Fiとの協業を進めるとした。なお、Eye-Fiを利用してauが2011年夏より写真をパソコンに自動バックアップできるサービスを提供しているが、Eye-FiのコーレンCEOは今後も引き続き、サービスを提供する、とした。

パーソナルクラウドを進めるEye-Fi

 Eye-Fi CEOのユバール・コーレン(Yuval Koren)氏は、これまでさまざまなカメラメーカーと協業し、個人の写真・動画をアップロードできるパーソナルクラウド(個人ユーザー向けのクラウド)サービスに注力してきたと説明。特に写真については、他のコンテンツと比べ、パーソナルクラウドサービスにおいて、個人ユーザーの利用頻度が高いと指摘し、ドコモとの協業は、次のステップに繋がる重要な取り組みと位置付ける。

番号を登録し、アカウントを作成するこれまでEye-FiのAndroidアプリは50万ダウンロードを記録

 個人ユーザーにおける写真サービスの利用率が高い、ということを示す話として、先の週末(4月7日~8日の状況に触れたコーレン氏は、日本で桜が満開になったり、キリスト教でイースター(復活祭)という祝祭だったりするなど、世界各地で写真撮影の機会があった、として、特に4月8日だけで100万枚以上の写真がアップロードされたと語る。

 写真をパソコンというローカルな場所だけではなく、インターネット上のストレージであるクラウドへアップロードする、というニーズは今後も高まると見るEye-Fiだが、アイファイジャパン代表の田中大祐氏は会見後の囲み取材で、ユーザーが特に意識せずクラウドへ写真を保存できるような製品を目指してきた、として、今後もパーソナルクラウドに注力する方針を示す。

 そうした中で登場した「スマホかんたん設定」は、10桁の番号を入力するだけでEye-Fiとスマートフォンのペアリングが可能で、設定の手間を省き、より幅広いユーザー層での利用が期待されている。こうしたパッケージへのニーズについて、コーレン氏は「20カ国以上でEye-Fiを展開しており、今回の『スマホかんたん設定』を将来的にワールドワイドに拡げることを検討している。対応OSも拡大したい。ただし、こうした機能への期待感は、日本が非常に強かった」と語った。

 このほか、SDアソシエーションが「Wireless LAN SD」という規格に対してEye-Fiが異議を唱えたことについて、現在、Eye-Fi側から知的財産に関する情報がSDアソシエーションへ提出され、レビューを受けていることが明らかにされた。




(関口 聖)

2012/4/10 16:43