「Eye-Fi」のスマホ連携がとっても楽になった


 デジカメで撮影した写真をパソコンやオンラインストレージへすぐ転送できるメモリカード「Eye-Fi」の新製品が登場した。NTTドコモから出資され、提携したこともあって、製品名が「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」となってはいるが、他キャリアのスマートフォンとも連携できるようになっている。

 「Eye-Fi」は、無線LAN(Wi-Fi)機能を内蔵し、デジカメで撮影した写真をどんどんパソコンなどへ転送できるSDカード型の製品/サービスだ。登場から数年、そうした基本機能を知っている方は少なくないだろう。では、「Eye-Fi Mobile X2 4GB for ドコモ」のどこが新しいのか、それは「Androidスマートフォンとのペアリングが手軽になったこと」だ。

 スマートフォンへの画像転送機能は、「ダイレクトモード」と呼ばれ、デジカメに装着した「Eye-Fi」がアクセスポイント、スマートフォンが子機になって、デジカメで撮影した写真がスマートフォン側へ転送される。機能自体は約1年前から実現していたが、利用するにはパソコンでの設定が必要だった。

 しかし今回の新製品では、パソコンで行うべき事前設定が、工場出荷時に済んでいる。さらに、パッケージに同梱される「スタートカード」というプラスチックカードを使えば、すぐ「Eye-Fi」とスマートフォンのペアリングが完了する。ペアリングの手順は、スタートカードの裏面にあるQRコードをAndroidスマートフォンのアプリから読み込むか、QRコードのそばに記された10桁の数字(認証キー)を手入力するだけ。クラウドサービスへのアップロード設定はパソコン向けサイト(スマートフォンでもアクセスできる)で行うとはいえ、あまりパソコンに詳しくない人にとって、ずいぶん使いやすくなる。今回はAndroid向けとなっており、今後はiOSへの対応が待たれるところだ。

 連携した後は、デジカメで撮影した写真がどんどんスマートフォンへ転送される。スマートフォンにコピーされた写真をクラウドサービスにも自動的にアップすることもできる。複数の写真を選んで、インテントで共有先に「Eye-Fi」アプリを選ぶと、複数のクラウドサービスへアップロードすることもできる。

 自動アップロードはしたくない、という場合は、アプリ側でクラウドへのアップロードを一時停止して、クラウドへアップする画像リストを整理すればいい。個人的には、Facebookなどのソーシャルサービスで公開する場合、ある程度写真を選んで投稿したいので、公開範囲を「自分だけ」にした上でFacebookに自動アップ、あるいはcocoaなどのストレージへ自動的にアップロードして、それから公開する写真を選ぶ、といった使い方をするつもり。たとえば、一眼レフで撮影した写真をスマホに転送し、Instagram経由でFacebookやTwitterへアップする、といった使い方も楽しめる。

スタートカードとリーダーライターも同梱パッケージ

 さて、新製品と同じタイミングで、Eye-Fiの画像アップロード先として、ドコモのデジタルフォトフレーム「お便りフォトパネル」が選べるようになった。「お便りフォトパネル」は、ドコモの通信モジュールを内蔵したデジタルフォトフレームで、メールアドレスが付与される。そのメールアドレスに写真を送れば、「お便りフォトパネル」に表示される、という仕掛け。誰でも写真付きメールを送れるわけではなく、事前に送信できるユーザーを登録しておく必要がある。

 「お便りフォトパネル」への転送は、「Eye-Fi」のサイトで送信元のメールアドレス(お便りフォトのWebサイトで登録したメールアドレス)と、送信先のメールアドレス(お便りフォトパネルに付与されたもの)を登録するという形だ。ただ、設定直後は撮影した写真が全て「お便りフォトパネル」へ転送されるため、アプリ側で自動アップロードをあらかじめ一時停止しておき、アップする写真を選んでもいいだろう。

 「Eye-Fi」は、カード単体ではなく、個人ユーザー向けのクラウドサービス(パーソナルクラウド)を活用するツールだ。つまりメモリ領域がカード内だけではなく、クラウドと一体化するようなイメージ。ペアリングがよりスムーズになるという今回の新製品は、ちょっと地味なバージョンアップに見えるかもしれないが、友人や家族にもオススメしやすくなって、Eye-Fiの裾野が広がりやすくなった。パーソナルクラウドの新たな展開にもワクワクできる製品だ。

製品名提供元店頭価格(見込み)
Mobile X2 4GB for ドコモEye-Fi5980円程度




(関口 聖)

2012/4/25 06:00