【Mobile World Congress 2017】

コダックのカメラスマホ、カールツァイスのiPhone用レンズ~「MWC2017」で見つけたガジェットたち

 Mobile World Congressには大小様々な企業が出展している。本稿では会場で見かけた、見逃せない製品群をご紹介する。

HTC

HTC U Ultra

 HTCは最新機種「HTC U Ultra」などを展示。HTC U Ultraはデュアルディスプレイ搭載のユニークなスマートフォンだ。といっても新発表の機種はなかったので、このほかのモデルを含め、HTCのスマホはあまり注目は集めていなかった。

 HTCブースは3分の1が商談などのためのクローズドルーム、3分の1がスマホ展示、そして残る3分の1がVRゴーグル「HTC Vive」の体験コーナーに使われている。複数の体験コーナーが運用されていたが、体験希望の来場者による行列は最後まで賑わっていた。ここはモバイルの展示会なのだが、みなさんVRも大好きなようである。

GIONEE

M2017のディスプレイエッジ部分

 去年まで富士通が出展していた好立地に出展しているGIONEEは、数種類のスマホを出展していたが、中でもM2017は曲面ディスプレイっぽいデザイン。しかしよく見ると平面ディスプレイのフロントパネルの端だけを曲げている模様。

ハイセンス

E76 MINI

 日本にも白物家電が進出しつつあるハイセンスもスマホを出展。こちらはE76 MINI。家電メーカーらしい手堅いデザインといった印象だ。

トルコのVESTEL

VESTELのスマホモザイク

 トルコのVESTELはスマホ自体はわりと手堅いデザイン/性能だが、MWC初日にギネス公式記録と認定された「世界一大きなモバイルフォンモザイク」を壁面に飾っている。MWCではネームバリューがないと目立てないので、こうした工夫はむしろ正攻法だが、来場者の動線から死角に入りる位置で、集客力を発揮できてない感じがやや残念だった。

英STK

STKのHERO ONE。5インチディスプレイスマホ

 イギリスのSTKのスマホ/ケータイはきわめて普通なデザイン/スペックだが、3年保証を売りにしている。高価なスマホだけに、長く安心して使えるというのはありがたいポイントと言えるだろう。

中国nubia

Z11

 中国のnubiaが手がける「nubia Z11」は、びっくりするほどの狭額縁を実現していた5.5インチスマホだ。チップセットはSnapdragon 820を採用し、システムメモリは6GBというわりと豪華なスペック。

KODAK

EKTRA

 コダックブランドの「KODAK EKTRA」も展示されている。こちらは26.5mm相当の単焦点レンズを搭載するカメラ重視のスマホだ。コダックのカラーフィルム「EKTAR」を彷彿とさせるネーミングで、カメラらしいデザインを採用し、カメラ好きを狙ったスマホとなっている。

右下のモードダイヤルっぽいUIなど、随所にこだわりがある
オールドカメラっぽくて渋いホルダー。スマホホルダーとして使いやすいかは微妙だ

米Saygus

Saygus V SQUARED

 アメリカのSaygusは何でも入りスマホ「V SQUARED」を展示。防水やNFC、指紋認証は当たり前で、赤外線リモコンやFMラジオ、デュアルmicroSDカードスロット、マルチブート、非接触充電などなどに対応するが、このくらいでも目立たないのもMWCの恐ろしいところだ。

ポルトガルのikimobile

bless

 ポルトガルのikimobileは、本物のコルクを背面パネルに使ったスマホ「KF5Bless Cork Edition」を展示している。コルクなので耐衝撃性もあり、コルク部分を机の角などにぶつけても壊れないのと特徴。しかし側面は金属だったり、ディスプレイやカメラは保護されていないので、耐衝撃設計というわけではない。ちなみにコルクではない通常バージョンもあり、そちらは革が使われている。

正面から。上端と下端にも背面からのコルクが巻かれている
2色のモデルが展示されていた。

MediaTekのチップ

MediaTekのチップの展示

 スマホ向けチップセットを供給する台湾のMediaTekも、MWCには大きなブースを出展している。MediaTekのチップセットは、クアルコムのSnapdragonよりも導入しやすい面があったことから、中小メーカーの安価なスマホを中心によく採用されている。

 しかし今年、中小スマホメーカーブースを巡ったところ、意外とSnapdragon搭載率が高いとも感じた。一方で中小メーカーの最高スペックモデルとなると、MediaTekのHelio X25(10コアで最大2.5GHz構成)の採用例が多い。ローエンドとハイエンドですみ分けるのではなく、ロー~ハイまで、バランス良くすみ分けられるようになってきた印象だ。

ODMメーカーのSprocomm

ODMメーカーSprocomm

 MWCにはスマホのODMメーカーも出展している。昨今ではこうしたODMメーカーも充実していて、とくに小規模メーカーによるスマホを活発化させている。防水や指紋認証といった機能が小規模メーカーのスマホにも搭載されるようになってきたのは、こうしたODMメーカーの技術力向上があったのだろう。スマホのアクセサリを展示していたはずが、自社製スマホが難しくないことをこうしたODMメーカーブースで知り、スマホメーカーになってしまうメーカーもいたとかいないとか。

カールツァイスのiPhone向けレンズ

ExoLensシリーズ

 カールツァイスはiPhone向けの交換レンズ「ExoLens」シリーズを展示していた。望遠・広角・マクロの3種類がある。いずれのレンズもスクリュー式マウントを採用していて、このマウントをiPhoneに取り付けるためのマウンタも、ケース型、クリップ型、多機能マウンタの3種類が用意されている。それぞれ、iPhone 6/6s/7とPlusに合わせた製品が用意されている(一部兼用)。

広角レンズのカットモデル。大きな非球面レンズを惜しげもなく使用するあたり、ツァイスクオリティである
3種のマウンタ。右上のクリップ型はインナーを変えることでiPhone 6/6sと7の両方に対応
3Dプリンタで試作したアダプタを使ってのリングライト装着。多機能マウンタにはアクセサリシュー(形状のみ)がある
カール・ツァイスは別ブースでVRゴーグル「VR ONE」も展示していた

リコーの全天球カメラ

RICOH R

 リコーはMWCに合わせて発表した新製品「RICOH R」を展示していた。全球撮影カメラTHETAシリーズのプロ版とも言うべき製品で、本体内で前後の画像をつなげる処理(スティッチ)することが可能になり、それをHDMI配信機材につなぐことで、全球VR動画をリアルタイム配信することが可能となる。ブースではCerevoのLiveshell Xとスマホを一脚に集約し、歩き回りながら会場の全球動画を配信するデモが行なわれていた。

 なお、RICOH Rは一般販売もされるが、売り方はあくまで開発キットとしての位置づけとなり、普通の製品のように、買えば誰もが使える、というようには作られていない。

RICOH Rの表面

 ちなみにRICOH Rのボディはアルミ製。表面がデコボコしているのは放熱しやすくするためだとか。動画のスティッチの処理は非常に重たく、こうして放熱しないと連続撮影に支障が出てしまうらしい。

Giroptic

Giroptic iO

 GiropticはiPhone用全球カメラ「iO」を展示していた。こちらはすでに発売中で、日本からも購入できる。電波は発しないので、電波法的にも安心して利用可能だ。充電が必要な機器だが、ストリーミング配信にも対応するなど、地味に完成度が高い。iPhoneがあれば、前出のRICOH Rよりも簡単に動画配信できそうで面白い。

グラス型のウェアラブルデバイス

Glassup UNO

 こちらはイタリアのスタートアップのGlassupが手がける「UNO」。スマホ連動が基本で、スマホアプリと連動したり、通知情報などを表示できる。単色ディスプレイを採用。

 見ての通りディスプレイ部が目立たないようにかなり隠されている。しかしレンズ部にディスプレイがあるため、レンズ交換できず、度入りレンズには対応できないとか。まずは開発者向けの出荷を目指していて、日本語対応などはそのあとになるとのこと。

F4。まだ開発中で、筐体も3Dプリンタ出力、センサも一部未実装という状態だった

 MR/ARを想定した製品としては、開発中の「F4」も展示していた。眉間の部分にカメラも搭載している。ディスプレイは片眼透過型。製品化の時期などは未定。

 Glassupは数年前からCESなどで断続的に展示をしていて、まだ製品がでないのか、という状態が続いていたが、「UNO」は今年中には登場しそうである。

アナログ針だけど文字盤はデジタルなスマートウォッチ

アナログ針付きモデル(別会場にて撮影)

 リスト型デバイスを多数手がけるMYKRONOZは、アナログ針付きのスマートウォッチの試作品を展示していた。アナログ針があるだけなら珍しくないのだが、この製品、文字盤部分が全面、カラーディスプレイになっている。丸いだけでなく、中央にアナログ針のための穴が開いているのだ。9月頃に200ドル前後で商品化される予定とのこと。MYKRONOZは日本でも一部モデルを販売した実績があるので、こちらも日本での販売を期待したい。

別の表示(別会場にて撮影)。白飛びしちゃうくらい明るい
いちばんしっくりくる文字盤表示(別会場にて撮影)
分解モデル(別会場にて撮影)
MWC会場内のMYKRONZブース

どっこい生きてる「第3のOS」

Sailfish OSが載るXperia X

 元ノキアのメンバーが設立したJollaのSailfish OSは、「第3のスマホOS」と呼ばれた者たちの生き残りである。Androidが使えない、もしくは推奨されない環境で、Androidに代わる選択肢として生き残っている状況だ。

 Sailfish OSスマホとしては、Jollaがリファレンス的に端末を出していたが、最近はサードパーティもインドやロシア向けに端末を出している。そして今回のMWCでは、ソニーの「Open Device Program」により、オープン仕様のXperia XにSailfish OSが対応したことも発表されている。

 ちなみにSailfish OSは、上下左右の画面外からのスワイプにホームや戻る、アプリ終了などの操作を割り当てるなど、使い勝手を重視した独特なUIを採用していることが特徴で、Androidとアプリ互換性もある。

Ubuntuが動作しているFairphone

 LinuxのひとつであるUbuntuを手がけるCanonicalもブースを出展している。ブースの主役はサーバー側ソリューションだが、スマートフォンOSとしてのUbuntuも実機で展示されている。展示ではオープンなスマートフォン「Fairphone」にUbuntuがインストールされていた。

 ちなみにFirefoxのMozillaは、商談ルームは持っていたようだが、ブースは出展していなかった。