【Mobile World Congress 2017】

カードタイプの携帯電話や、スマホ連携の××なアイテム~スタートアップのユニークな製品が揃う「4YFN」を突撃取材してきた

4YFNの会場。2012年までMWCが開催されていた会場でもある

 Mobile World Congress 2017の併設イベントの「4YFN」(4 Years From Now)は、スタートアップ企業を対象とした展示会だ。ジャンルはモバイルに限定されておらず、オンラインサービスやビジネス向けのソリューションやインキュベータープログラムなど、さまざまな展示がなされている。

 個々のブースは段ボール製テーブル+椅子2個という超小規模構成がほとんど。これが展示会のホール一面に並んでいる。段ボール製のテーブルなどは主催者側が用意しているようで、ほぼすべてのブースで同じものを使っていた。スタートアップにとってはこれが初出展というケースも少なくないであろうから、必要な資材をなるべく主催者側が用意する、という配慮だろう。

各ブースの段ボール製テーブル

 出展者は欧米、とくにヨーロッパが多く、地元スペインやカタルーニャ地方の小規模スタートアップ企業も多かった。MWC本会場側でも同様だが、ここ数年、欧州スタートアップは非常に活気づいている印象だ。韓国もサムスンの社内ベンチャー「C-Lab」が出展するなど(VR系だったので今回は扱っていないが)、そこそこ見られて、一方で中国と日本の出展者はほとんど見られなかった。変わったところではスリランカが10個ほどブースからなるパビリオンを形成していた。

 展示の非常に数が多いが、モバイル関係の数はあまり多くないので、ここではモバイルやウェアラブル関連で目に付いた展示をいくつかピックアップしてご紹介する。

カードそのものな2Gケータイ「Light Phone」

Light Phone

 「Light Phone」はカード型のケータイだ。通話しか機能がないが、一見すると無地のカードのようなデザインで、使用時だけ電話番号を表示するディスプレイとダイヤルキーが点灯する。

 対応は2G(GSM)のみで、SMSなども使えない。側面にnanoSIMカードスロットがある。「スマートフォンは不要だけど、通話は必要」といったときに、スマートフォンの代わりに持ち歩くことを想定しているという。

 充電はmicroUSBで行ない、3日間の待受が可能。重さは38.5g。アメリカ国内で月5ドルで使えるSIMカードが同梱される。ほかの国ではSIMカードを用意する必要があるものの、国際出荷には対応する。ただし2Gしか使えないので、日本や韓国、シンガポール、オーストラリアでは利用できない。

非常に薄い、カードのような端末だ
ブラックとホワイトの2種類が展示されていた

水没デバイスを復活させる(かもしれない)ナゾの液体

Waterrevive

 Waterreviveは地元スペインの企業が手がける、スマートフォンなどの電子機器を水没させたとき、それを復活させられるかも知れないという製品だ。

 電子機器を水没させてしまったとき、すぐにその機器をWaterreviveに7分間漬け、その後とりだして24時間乾燥させると、機器を復活させられるとうたう。水没したとき、この種の措置を行なわないと、機器内に水溶物の析出したものがこびりついてしまい、機器故障の原因となってしまうが、Waterreviveではそうした析出を防ぐという。日本でも飽和一価アルコール類を使った製品が登場したこともある(※関連記事)。

 必ず回復する、といった保証があるわけでもなく、水没時点で電子的に壊れてしまえば復旧できない。そもそもこれで復活したとしても、メーカーの保証外行為になり、再びいつ壊れるかわからないわけで、ダメ元でトライする、といった、ある意味お祈り感覚のアイテムだ。

 通常販売価格は24.99ユーロで、展示会場では会場限定価格として20ユーロで販売されていたので、筆者も試しに購入してみたが、できればお世話になりたくない製品ではある。

磁気カードを疑似再現する機器「Spendwallet」

Spendwallet

 「Spendwallet」はクレジットカードの磁気コードを疑似再現し、決済などに利用するカード型デバイスだ。

 クレジットカードをスワイプするタイプの端末では、スワイプスロットの一部に磁気センサがあり、クレジットカードの磁気コードを端から検出している。そこで、その磁気センサの近くで磁気コードを端から電磁石で再現することで、カードを読み取ったと疑似的に勘違いさせている。Galaxy S6以降で「Samsung Pay」として搭載されているものと同じ仕組みだ。

 本体には左右カーソルのタッチセンサキーがあり、それをタップして使うカードを切り替える。Bluetoothを内蔵していて、スマホからカードの管理ができる。スマートフォンはiOSとAndroidの両方に対応。大きさは60.5×105×5.8mmで重さは54g。microUSBで充電して利用する。

 Indiegogoでのクラウドファンディングが成功していて、4月より製品出荷が予定されている。価格は119ドル+送料となっている。

ヤモリのように貼り付く「Gecko」

Gecko

 「Gecko」はスマホを貼り付けて使うスタンドだ。スタンドとしてだけでなく、ネックストラップに付けてぶら下げることもできる。

 Geckoは糊も磁石も使わず、滑らかな貼り付け面にスマホを押しつけるだけで、スマホが貼り付くようになっている。ヤモリの足のように貼り付くことから、ヤモリを意味するGeckoという名前が付けられている。開発中の展示品はスタンドのヒンジ部が上手く動かなかったりする一方で、貼り付け面だけはしっかりとスマホを固定し、逆さにしてもスマホが落ちることはなかった。

ウェアラブルサニタイザー「doobit」

 韓国のスタートアップであるgredooは、リスト型ウェアラブル機器の「doobit」を展示している。こちらはいわゆるサニタイザー、公衆トイレやイベント会場などに設置されているような、アルコールで手指を消毒する機器のウェアラブル版。霧状の消毒薬を吹き出すことができる。

 いちおうBluetoothによってスマートフォンと連動することができ、使うタイミングの通知などができるとのこと。本体価格は安く設定し、詰め替え薬剤で収益を上げるビジネスモデルを想定しているという。

doobit

Crescendo

Crescendo

 「Crescendo」は、なんと説明すべきか非常に迷うが、平たく言えばスマートセックストイである。6つのモーターを搭載し、スマートフォンからコントロールできる。6つのモーターは独立して動作でき、独自の良い感じな振動パターンをカスタマイズできる。震動は激しく、手に取ると「あふぅ」と声が出そうなレベルだった。

変形させるのにはけっこう力が必要なので、使用中にグネグネ動くことはない、と思うけど使ったことがないからわからない

 この手の製品の中には、遠距離にいるパートナーとのセックスライフをターゲットとした「Teledildonics」というジャンルがあるが、「Crescendo」に遠隔コントロールの機能はない模様。形状をある程度変形させることができるので、身体に装着して使うという、ある意味でウェアラブル機器となっている。ワイヤレスチャージにも対応し、端子類が露出しない防水仕様だ。

 価格は179ユーロで、国際出荷も送料無料。ただし日本の技適は取得していないようだ。