【Mobile World Congress 2015】
ソニーモバイル担当者が語る、「Xperia Z4 Tablet」「Xperia M4 Aqua」の狙い
プレミアムタブレット、スーパーミッドレンジへの挑戦
(2015/3/4 14:10)
既報(※関連記事)のとおり、ソニーモバイルは3月2日(現地時間)に、プレミアムタブレットの「Xperia Z4 Tablet」と、“スーパーミッドレンジ”と銘打った「Xperia M4 Aqua」を発表した。3月3日(現地時間)には、Xperiaの商品企画を担当する統括部長 伊藤博史氏が、新端末の狙いを報道陣に語った。
また、同社はXperiaと合わせて、音声応答が可能で音楽に合わせて動くスピーカー「BSP60」も発表している。こちらについては、コンパニオンデバイスの商品企画部長 宮澤秀右氏がインタビューに応じた。なお、それぞれの商品の特徴については、(別記事)をご確認いただきたい。商品のハンズオン写真については、こちらの記事に掲載している。
報道陣との、主な一問一答は次のとおり。
Xperia Z4 Tabletについて
――このサイズになると、Windowsタブレットという選択肢もあると思います。Androidなのはなぜでしょうか。
伊藤氏
今のところは、Androidを中心にタブレット戦略を立てています。ソニーグループとして、Androidにはかなりのアセット(資産)を凝縮させています。まずはここに注力します。
――商品名ですが、10インチ台のXperiaタブレットが存在しない中で、なぜ「Z4」なのでしょうか。
伊藤氏
プラットフォーム(ここではチップセットの意)を含めて、大きな進化を果たしたところが大きいですね。CPUが64bitになり、LTEもカテゴリー6に対応しました。CPUの性能はXperia Z2 Tablet比で約2倍、LTEの接続速度もほぼ倍になっています。また、Wi-FiもMIMOに対応してほぼ倍の体感速度になっていて、明らかにZ2とは違ったものになっています。満を持して、Z4として出させていただきました。
――先にタブレットでZ4を出したことで、スマートフォンもここに近くなると思われそうですが……。
伊藤氏
薄さ、軽さに対するこだわりや、デザインのプレミアム感はZ4として検討しています。一部をここから感じていただければありがたいですね。
――別売のキーボードを接続するとメニューが出ますが、これはどのようなギミックなのでしょうか。
伊藤氏
キーボートと本体の間にマグネットがあり、そこが接続すると通信してドッキングされたことを認識します。その後は、Bluetoothでの接続になります。
――薄くなったことで、ねじれやすくなっていないのでしょうか。
伊藤氏
むしろベンディングに対しては、2割ぐらい性能を強化しています。
――充電用接点がなくなった理由を教えてください。
伊藤氏
この商品からキャップレス防水に対応しました。充電ケーブルを接続する手間もそこまでないので、ストップしています。
――タブレット市場は、グローバルで見ると縮小傾向です。そこにあえてタブレットを投入する意義はどこにあるのでしょうか。
伊藤氏
その中でも、プレミアムタブレットを使っている方は一定数いて、変動も大きくありません。Xperia Z2 Tabletのお客様からは、ソニーとしてどんどんエンターテインメントを追求してほしいという声も上がっています。コンテンツと技術に秀でるソニーの魅力をピュアに出したいと考えたとき、このタブレットがあるのは自然です。
――Galaxy S6/S6 edgeではSnapdragon 810に発熱の問題があって見送られたと聞いているますが、Xperiaでは大丈夫なのでしょうか。
伊藤氏
確かに熱の問題はプラットフォームのパフォーマンスが上がると表裏一体な部分はありますが、我々が実現したいエンターテインメント、動画、ゲーム、カメラなどを実現するにあたっては、いい形で機能しています。
――別売のキーボードにタッチパッドが搭載されている理由を教えてください。
伊藤氏
(タブレットをパソコンのように使う、パソコンの)ライトユーザーを狙っていると言いながらも、お客様のデマンドはどんどん高まっていきます。この先、資料を作るなどより高度な作業も求められるようになることを想定しています。そのためのステップアップを各社と議論する中で、先を見据えるとタッチパッドは必要になりました。
――Office 365をプリインストールするようなことはないのでしょうか。
伊藤氏
ありえない話ではありません。
Xperia M4 Aquaについて
――基本的なコンセプトを教えてください。
伊藤氏
おかげさまで「Xperia Z3」や「Xperia Z3 Compact」は、日本はもちろんグローバルでご好評をいただいています。シリーズでですが、Z3は過去最高のベストセラーです。我々がフォーカスした、カメラ、デザイン、防水、2日間持つバッテリーを高く評価していただけました。その次のフラッグシップを出す前に、Z3のいいところを、より多くの人に届けたいということで、Xperia M4 Aquaを出しています。
特徴の1つは薄さで、Xperia Z3に近いプレミアムデザインをしています。防水、カメラへのこだわりもあり、Xperia Z3の要素の一部をご体感いただけるものです。(社長の)十時が「スーパーミッドレンジ」と説明していましたが、プライス的にもフィーチャー的にも、マーケットの中で競争力があるものになっていると思います
――Xperia Z3との価格差は、どのくらいあるのでしょうか。
伊藤氏
299ユーロ(約4万円)なので、大体Z3の半額ですね。
――半額にできた理由を教えてください。
伊藤氏
プラットフォーム、カメラ、ディスプレイ、筐体のメカなど、全部がZ3と同じわけではありません。ストーリーは合わせていますが、メリハリは利かせています。
――ここから、上位の機種に移行させたい意図はあるのでしょうか。
伊藤氏
そういう意図もあります。マーケットの裾野は広がっていて、プレミアムもあれば、ミッドレンジからローエンドもありますから、間口は広く取っておきたいたいですね。
――製品名に「Aqua」とつけた理由を教えてください。
伊藤氏
日本だと防水が当たり前ですが、グローバルだとまだあまり認知されていない地域もあります。ミッドレンジのほかの端末と区別するためにも、あえてAquaとつけています。メインとしている欧州では、まだ防水が(一般的に)備わっていないですからね。
――Xperia Z3の半額ということですと、日本でもMVNO向けなどが考えられると思います。そちらについては、いかがでしょうか。
伊藤氏
今現在、予定はないというのが、正しい言い方になります。日本でも、MVNOを含め、いろいろな形でスマートフォンを買う方が増えているので、100%日本市場投入を否定するものではありません。
――ラインナップ全体に対する考え方を、改めて教えてください。
伊藤氏
ソニーとして大切にしているのは、フラッグシップやプレミアムラインの端末です。スマートフォンもタブレットも、ソニーの強みが活かせるZシリーズを中心に考えています。そこで得られたフィードバックを、ニーズを読み取って上手く下に展開していきます。
Mシリーズに関しては、Zシリーズ以上に地域性が高くなっています。地域を絞りながら、日本や欧州など、一番強い地域を考えていきます。
――Eシリーズについてはいかがでしょうか。
伊藤氏
Eシリーズは新しい市場を切り開く商品で、(ソニーモバイルが元々強い)欧州や日本ではなく、インドやブラジルなどを見すえての展開する商品です。
「BSP60」について
――OSは何が使われているのでしょうか。
宮澤氏
弊社独自のOSで、「SmartBand Talk」に近い形のものです。
――動くということに、どのような意味を持たせているのでしょうか。
宮澤氏
これは、新しいコミュニケーションを楽しんでいただくスピーカーです。話しかけるために、どういう工夫が必要か。動きや、耳のようなスピーカーの開け閉めで、バリューを提供したいと考えました。スピーカーなので、音楽を楽しんでいただきたいのですが、そこにモーションを付け足すことでより楽しめるストーリーになっています。
また、たとえば、「はい」というときにはうなずくように縦に、「いいえ」というときは首を振るように横に、少しだけ動く仕組みも入れています。
――音によって動きが変わることはあるのでしょうか。
宮澤氏
どこまでやるかはまだ分かりませんが、音圧や音域によって動きを変えることは、やろうとしています。
――なぜ、名前が型番なのでしょうか。
宮澤氏
お客様に考えがあると思うので、そこはフリーにしました。名前をつけていただけるお客様には、つけていただけるのではないかと思います。
――SDKの公開はあるのでしょうか。
宮澤氏
考えています。出荷に間に合うかどうか、追い込みをかけているところで、これが完成形だとは思っていません。エンドユーザーの方から、使い方を提案していただけるとありがたいですね。
――たとえば、Google Nowを受け取って、スピーカーから能動的に話しかけてくることはあるのでしょうか。
宮澤氏
そういったことも、先々考えられるシナリオです。
――つまり、アップデートで対応できるということでしょうか。
宮澤氏
対応できる部分はできます。SmartBand Talkに近い構成なので、通知機能の拡張は十分考えられます。
――ちなみに、緑色はないのでしょうか?(笑)
宮澤氏
今は、黒一色です(笑)。
――名前をつけて、呼ぶと反応するということはできるのでしょうか。
宮澤氏
今はまだできませんが、我々も狙っているところです。擬人化していただくことで、親しみを持っていただけると思いますからね。まずは小さなスコープでのローンチになりますが、ソフトウェアで発展させられればと思っています。
――ありがとうございます。