【Mobile World Congress 2013】

赤い2画面スマートフォン、注目集まるNECカシオのプロトタイプ

 NECカシオのブースでは、折りたたみ型の2画面ディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン「MEDIAS W」の海外向けプロトタイプが大きな注目を集めていた。

 「MEDIAS W」は、バックホールド型の折りたたみ構造を採用したAndroid 4.1搭載のスマートフォン。国内ではNTTドコモより「MEDIAS W N-05E」の名称で発表され、そのユニークな構造と2画面を活かした仕組みに話題が集まった。4月中旬発売予定とされている。

 今回、ブースに並んだのは、NTTドコモの「MEDIAS W」ではない。搭載されたAndroid 4.1はドコモ仕様にカスタマイズされたものではなく、素の状態のAndroid 4.1を採用している。

 そして、もっとも違うのは目に飛び込んでくる印象的な赤いボディだ。国内発売のブラックボディはスタンダードなカラーリングだが、今回披露された赤は、質感が高くしっとりとなまめかしい印象のあるものだった。では、どうしてこの先進的な印象の赤いモデルを日本で出さないのか。そんな質問を率直に担当者に疑問をぶつけてみると、国内でもそういった声が多く集まれば検討するとのことだった。

アクションによりカメラ機能のシャッターを切る仕掛けが用意されていた

 ブースでは、「MEDIAS W」の展示された一画だけ非常に大きな人だかりができており、なかなかタッチ&トライができないような状況だった。想定以上に海外から注目が集まり、日本の担当者も驚きを隠せないでいるようだ。

 担当者によれば、来場者の多くはまずバックホールド型の2画面構造に注目し、日本と同様に商品説明を行うと2画面にこめたNECカシオの考えに納得してもらえるという。MWCは一般コンシューマーよりも携帯関係者企業が多く集まるイベントだ。このユニークな端末は、海外メーカーの担当者らの目にも新鮮に映るようで、黙々と構造を調べる研究熱心な見物人が後を絶たないという。

 聞けば、「MEDIAS W」は社内でも8割のスタッフに反対されたモデルという。個性に富んだラインナップで華やかなりし一時代を築いた“折りたたみのN”は、元気がないと言われる日本企業の閉塞感を打ち破るべく、「MEDIAS W」で大きなチャレンジに出たことになる。

 このほか、国内で既に発売されているAndroidタブレット「MEDIAS Tab UL」も展示されていた。

 海外の反応は、日本と同様にその軽量なボディとハプティクス技術に関心が寄せられているという。iPad miniやNesus 7といったタブレット機器を所有するユーザーにこそ、この端末の魅力が伝わる。しかし、Androidタブレットとして考えた場合、価格競争力ではどうしても海外メーカーには及ばない。NECグループのソリューションを統合し、ワンストップの業務端末などとして海外でも活路を見いだしたいという。

津田 啓夢