車載用カメラでサイクリング動画!!

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


車載用カメラでサイクリング動画!!

 最近自転車にハマってる俺としては、やはりヤッてみたいというか、やらざるを得ないのが、自転車走行中の動画撮影である。走ってるときに見える風景とかを動画で撮って楽しむのダ!! というわけで、GoPro社HD HERO Nakedを購入。MOTO禅にて3万1500円だった。

GoPro社のHD HERO Naked。ハイビジョン動画を撮影できる車載用ビデオカメラだ。今回は自転車に取り付けて使ってみた。

 GoPro HD HERO Naked(以下、HD HERO)は、いわゆる=車載用カメラの一種ですな。クルマやオートバイのボディなどに装着して、走行中の大迫力動画を撮ったりなんかするハードウェアだ。

 拙者の場合、自転車で走行中の映像を撮りたいと思っての購入である。当初、手持ちのまめカムHDで撮影しよっかニャと思ったんだが、まめカムHDは防水でもないし、録画機構部とカメラ部を結ぶケーブルがミョーに太いし、かなり高価なので破損が怖いし……と、目的にマッチしない感じだったので、HD HEROを買うことにした。

 HD HEROはその名のとおり1920×1080ピクセルのフルHD動画が撮影可能であると同時に、水深約60mまでの防水性能を持つ。しかもレンズは170°の視野がある超広角(魚眼)。ダイナミックなオンボードカメラ映像を撮れるのだ。あと、各パーツは別途購入可能だったりもするので、たとえばハウジングのレンズ部が傷ついたりしても、その部分のみ購入&交換可能だったりもする。

 HD動画で防水で超広角でヘルメットとかに装着可能なサイズのオンボードカメラ……「おまえは今スグHD HEROを買って明日の朝サイクリング行って自転車動画撮りなはれ」と神もしくは悪魔が言っているような気が!! しかも日本での価格が3万1500円!! ぬ!! うぉりゃっ!! ポチッ!! てな感じで手を出したのであった。

 ということで以降、HD HEROの機能や使用感についてレポートしていくが、結論から書いちゃうと、拙者の目的にはHD HEROが全然合わなかった。結果的に激しくorzと言えるが、ともあれ、話を進めよう。

HD HEROってどーゆーモノ?

 GoPro社からはいくつかオンボードカメラが出ているが、そのうちHD HEROシリーズは1920×1080ピクセルのフルHD動画撮影に対応している製品となる(名前にHDが付かないSD動画撮影用もある)。

 拙者が買ったのはHD HERO Nakedで、カメラ本体防水ハウジングやマウントやバッテリーの必要最小限のセットとなる。ちなみに、このセットのみでは自転車への取り付けが難しいので、別売のロールバーマウントも購入した。

購入したHD HERO Naked。本体、リチウムイオン電池、防水ハウジング、クイックリリースバックルとマウント、各種ケーブルのセットだ防水ハウジングに本体を入れたところ。基本的にはこの状態で撮影することになる。電池は専用リチウムイオン二次電池、メディアはSD/SDHCメモリカードに対応するサイズは42×60×30mmで、質量はハウジングを含めて167g。コンパクトだが、ちょっと嵩張る印象もある

 これ以外にも、HD HEROシリーズ(パッケージ)はいくつかある。具体的には、ヘルメット装着用具一式が付属するHD Helmet HERO、クルマのボディなどへのマウントに向くHD Motorsports HERO、サーフボード上にマウントできるHD Surf HEROがある。さらに各種マウントや交換用ハウジングなど、周辺アクセサリも非常に豊富に揃っている。

 で、なんか、ハイビジョン動画を超広角で撮れるわ、専用マウントが豊富だわ、しかもHD対応オンボードカメラとしては安いわで、かなり定番的な製品になってるもよう。

 動画撮影モードは5つあり、主に画質が異なるわけだが、撮影モードによっては撮影画角やフレーム数が異なる。具体的には以下のとおり。

モード/画素数画角フレーム数ビットレート
SD/848×480170°60fps8Mbit/s
HD/1280×720170°30fps8Mbit/s
スローHD/1280×720170°60fps15Mbit/s
HD/1280×960170°30fps12Mbit/s
フルHD/1920×1080127°30fps15Mbit/s
※スローHDは2倍のスロー再生/編集時に超スムーズな再生がされる撮影モード

 記録メディアとしてSD/SDHCメモリカードが使用可能で、32GBのSDHCカードを使った場合は、SD/848×480モードやHD/1280×720モードで8時間9分、HD/1280×960モードで5時間26分、スローHD/1280×720モードやフルHD/1920×1080で4時間21分撮影できる(平均値)。なお、バッテリー持続時間は約2時間30分となっている。

 これらスペックはHD HEROシリーズ共通のもの。つまり、この小さなオンボードカメラをクルマやバイクあるいはヘルメットやサーフボードに取り付ければ、アクティブで迫力のあるハイビジョン動画をけっこー長時間にわたって撮れちゃうヨ、というわけだ。

自転車に取り付けてみた!! が……

 さてさて早速、HD HEROを自転車に取り付けてみる。前述のようにHD HERO Nakedは付属のマウント類は必要最小限のものとなっているため、それだけでは自転車に取り付けるのは難しい。そこで別売のロールバーマウントを購入して使用した。

別売のロールバーマウント一式。パイプにHD HEROを取り付けるためのアタッチメントですな。MOTO禅で4200円だった垂直の支柱に取り付けたところ。ガッチリ締まって安定感抜群。支柱を挟む部分はゴムが入っていて、対象を傷付けないようだアーム部品(付属)を使うとカメラの向きを90度変えられる。つまり垂直の支柱にも水平の支柱にもHD HEROを取り付けられるのだ
ロールバーマウントを使って自転車のハンドル部にHD HEROを取り付けたところなかなかイイ感じ!! 思った以上に安定して取り付けることができた乗車時、HD HEROはこのように見える。シャッターボタンは押せるが、カメラがどんな状態なのか確認するのが難しい

 ロールバーマウントを使ったら自転車にサクッとHD HEROを取り付けることができた、ところまでは良かったが、ひとつ、ちょいとした……いや拙者にとっては大問題と言える不都合が発覚した。

 それは、HD HERO、後方からのみのアクセスだと超使いにくいということ。上の写真のように前方を向けて自転車に装着したHD HEROを、その後方から操作すると、撮影状態なのか待機状態なのか、あるいは撮影モードがどうなっているのか、非常に確認しにくい(もしくは確認できない)のだ。

 なぜなら、HD HEROには液晶ファインダーみたいなモンが無く、モードなどの表示も本体前面の液晶上で行われ、撮影中を示すランプも本体前面にあるからだ。

HD HEROを後方から見たところ。現在、HD HEROがどういう動作をしているのか? 電源は入っているのか? 全然わからニャい!!本体前面の小さなモノクロ液晶画面上に、現在の動作モードなどが表示される電源オンオフや撮影開始/終了時にはビープ音が鳴る。また撮影中は赤ランプが点灯する。が、屋外/後方からだと判別しにくい

 こんな感じで、フツーのデジカメ/ビデオカメラのような感覚では操作できないHD HEROなのであった。ある程度騒音がある屋外で、後方からの操作(つまり液晶画面や赤ランプを確認しないでの操作)は、ヒッジョーに行いにくい。

 コレ、基本、本体前面をすぐに目視できるような状況で使うカメラですな。たとえばヘルメットに装着して、撮影ボタンを押してからヘルメットかぶるとか、誰かに電源や撮影の操作を行ってもらうとか。あるいは胸に付けて操作時だけ本体前面を覗き込むとか。

 サーフボード上にマウントしてサーフィンしつつの自分撮りならけっこー快適に扱えると思うが、本体前面がこちらに向かない状況で使うと不便が多い。現実的なのは、いちいちオンオフや撮影開始/終了をせず、撮影を始めたら長時間撮りっぱなしにすることかも。

 この使い勝手は置いといて、操作インターフェイスについてもかなり疑問を感じた。たとえば、撮影モードや設定状態を表示するモノクロ液晶および操作インターフェイスが非常に使いにくい。

 てか、それ以前に、HD HEROにはボタンが2個、[電源/モード]ボタンと[シャッター/選択]ボタンしかないのだ。この2個のボタンでメニュー項目を切り替え、内容を選択し、確定していくので、非常に効率が悪い。さらにモノクロ液晶の表示の多くが記号的な略語───FとかPとかr1とかr3とかCntとかUPdとかbLFとかLStとか、ある程度使い込んで多用する機能の略語を覚えないと、設定のたびに説明書を読む必要がある。

 しかも、これらボタンの押し心地がチョー硬ぇんである。スゲく硬ぇしメニュー表示~選択~設定変更まで激効率悪いインターフェイスだし略語忘れたし、アッタぁキた!! もう撮影ヤメ!! となる人もあるかもしれない。

 あと、これは最初からわかっていたことだが、撮影時のフレーミングは“勘”で行う。前述のようにビューファインダーの類がナイので、ライブビュー映像を見つつカメラの位置を決めるようなことはできない。また、試しに撮ってみて、その場で撮れ具合を確認して、セッティングを変える、てなことも不可能。でもまあ、画角が非常に広いので、勘でセッティングしてもそれなりの映像が撮れていたりはする。

 ちなみに、GoPro社の製品紹介ページには、Optional Expansion BacPacsの紹介がある。HD HEROの背面に装着可能なオプションハードウェア類ですな。そのなかにLCD BacPac for on-camera preview and playbackというのがあり、つまりライブビューや動画再生が可能な液晶のオプションが……予定されているようだ。が、まだ予約注文すら受け付けていない状態。ともあれ、これが出ればHD HEROの使用感はズニャーンと向上すると思うので、発売を期待したい。

走行中に撮ってみた!! が……

 自転車には取り付けてみたけどぉ~、走り出す前からぁ~、なんかぁ~、HD HERO使いにくい感じなんですけどぉ~、と微妙な気分になったが、実際にサイクリングロードを走って動画を撮影してみた。

 で、画質面での拙者的結論から言えば、超広角でのフルHD動画が予想以上に美しい!! 走行時の記憶がリアルに蘇る感じ。汗も筋肉の疲労も土手をそよぐ風の匂いも思い出すゼ的な良さがありますな。

 ただ、ロードバイクのような、こー、なんつーか、硬いっつーか、道路のデコボコがフレームやハンドルへダイレクトに伝わっちゃう自転車だと、映像もガタガタと揺れがち。ダートロードだともはや鑑賞などできないブレかたになる。

 ともあれ、どんなふうな映像なのかご覧いただきたい。なお、動画は全てHD HEROのフルHD/1920×1080モードで撮影している。最高画質ってコトですな。

クリックして動画をダウンロード:hhdnkd_d01.mov(H.264形式、34.1MB)
わりと滑らかな道を走行しているところ。ドットバイドットで再生すると細部の精細さがよくわかる。うまいシチュエーションで使えば美麗で迫力ある映像を撮れるだろう。
クリックして動画をダウンロード:hhdnkd_d02.mov(H.264形式、50.2MB)
滑らかな道→やや荒れた道→荒れた道へと進む。平地が滑らかな道で、その先の坂(橋の下をくぐるまで)がやや荒れた道。橋の下を抜けると荒れた道になる。後半はかなりブレた映像になった
クリックして動画をダウンロード:hhdnkd_d03.mov(H.264形式、43.9MB)
少し荒れていて、全体的になだらかなデコボコがある道。けっこーブレた映像になってしまった。でもポーズすると途中にある看板の文字が読めたりするあたりはサスガのフルHD

 表面が滑らかな道なら、ロードバイクのハンドルに装着してもまあまあ見られる映像になる感じ。だが、スムーズな映像のほうが少ない感じで、フレームから伝わるロードノイズも多々録音されてしまう。

 そこで「ならばヘルメットに装着して撮影しよう」と一瞬思ったが、ハンドル部にセットしても操作性の悪いHD HERO。ヘルメットに装着したら……操作のたびにヘルメット脱ぐなんて超面倒!! というわけで、結局、HD HEROは拙者における自転車走行撮影目的には全然合わないなぁ、ということになった。

 でも、上記のようなクセや使いにくさがあるということを知った上で、それらをうまく回避して使えば、非常にコストパフォーマンスが高いHD HEROシリーズだと思う。画質もイイし、超広角の迫力は楽しいし、泥かぶっちゃうようなアウトドアユースでもバッチリ使えるうえにわりと安いってのは、ほか一連のビデオカメラにはちょっとない、強力な魅力だと言えよう。

2010/8/16 06:00